コミュニケーション能力を高めるにはたくさんの要素が必要です。経営コンサルタントとして学んだこと・経験したこと・日々の業務で感じることなど「コミュニケーション能力」に関する情報を中心に配信しています。皆さまの未来に少しでも貢献できれば幸いです!

コミュニケーションスキル, コミュニケーションの仕組み化

「聴く力」のおかげで相手が本音を語る時 〜コミュニケーション能力を高めるためには〜

私は「聴く力」とは「相手が思っていることを表に引き出す力」と定義していますが、コミュニケーション能力を高めるためには、どのようなことが必要なのでしょうか?

まず「聴く力」を高めるためには、課題を知ることと共に、技術を理解することが大切だということです。

その技術を理解し、それを意識して実践をすると「聴く力」が向上していきます。

ここでは「聴く力」によって、相手が予定していなかった本音を語った事例をご紹介します。

目次         

  • 採用面接の事例
  • 「聴く」に繋がる
  • 気持ちを表に出した理由

採用面接の事例    

この事例は、ある中途採用面接での出来事です。

面接は段階に応じて目的が異なりますが、この事例は一次面接であり、この時の目的は、お互いをよりよく知るということでした。

応募者(Kさん)は、自分が働く場所としてこの会社が良いのかどうかをよく知る必要があり、人事担当者(H部長)は、一緒に働く仲間として会社にとって相応しい相手かどうかをよく知る必要があるのです。

そんな一次面接も順調に進み、お互いに好印象を持ったまま、入社可能時期についての話に移っていきました。

するとKさんから「可能ならば、5月以降でお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」とコメントがありました。

それを受けてH部長が「何か理由があるのですか?」と問いかけると、Kさんが「この時期を利用して職業訓練校に通う予定で、そこで大型免許を取りたいと思っています。昔から取りたいと思っていた資格ではあるのですが、入社してからも役に立つと思い予定をしております」と言いました。

「なるほど」と理解できるような理由であるし、会話を言葉にすると何もおかしいところはありません。

しかし「聴く力」とは、対話の中で活かされる技術なので、そこには言葉以外の情報もあり、五感が大切になってきます。

「聴く」に繋がる   

この時にH部長は、雰囲気に違和感を覚えたので、次のような問いかけをしました。

資格を取ってから入社したい気持ちはよく分かりましたし、問題ありません。

しかし必要な資格であれば入社してから取ることも出来ますが、いかがでしょうか?

するとKさんから、次のような返事が来ました。

資格を取りたいのは嘘じゃないのですが、実はもう一つ理由があります。

それは私の息子のことです。実は、中学の途中から不登校になってしまいました。そしてこの4月から高校へ入学が決まり、本人も行くと頑張ろうとしています。
私は今まで仕事を優先してきて息子に寄り添ってやれなかったので、父親としてゴールデンウィークまでは彼の高校生活を全面的にサポートしたいと思っています

ここで「聴く力」という観点でポイントを補足すると・・・

①相手の立場に立つ

応募者の背景に何があるかをイメージしながら対話をする。

知りたいことだけを集めようというスタンスでは、この返事は得られなかったでしょう。

②気づく力

相手の雰囲気に違和感があるという異変に気づかなかったら、この返事は得られなかったでしょう。

③問いかける

「いかがでしょうか?」と疑問形で問いかけることがなければ、この返事は得られなかったでしょう。
気づく力はあっても、行動に移さないと未来は変わらないのです。

気持ちを表に出した理由

この事例のように「相手が思っていることを表に引き出す力」が「聴く力」なのです。

では今回の「聴く力」には、どのような要素があったのでしょうか?

実はKさんの奥さんが、既存社員の友人だったこともあり、Kさんの奥さまから次のようなコメントが届きました。

面接のH部長という人がとても物腰が柔らかく話しかけてくれたので、緊張していたものの、本音で答えられたみたいです。

そして息子のことは話すつもりもなかったし、話さなくても良かったと言っていましたが、この人だったら自分の思いを伝えた方がいいと思ったようです。

本当にありがとうね。これからもよろしくね

ここで「聴く力」という観点でポイントを補足すると・・・

①見た目

面接会場に入った時の一瞬の見た目で、人は相手に対してある程度の判断を無意識に行います。

②雰囲気

相手の雰囲気に「話しても良いという安心感」がないと、人は心のガードを下げられません。

③信頼関係

「この人になら話しても良いという安心感」がないと、相手を信用することが出来ないし、心の奥にしまっておいたものを話すことはありません。

今回の事例のように「聴く力」といっても、ただ相手の話していることを「どうやって聞こうか?」と考えるだけでは力不足であり、ここに「訊く力」が加わると、その力は存分にされるのです。

次の3つの分類で「傾聴力」について書いている【ビジネスの必須スキル「傾聴力」を発揮する3つの「きく力」】もぜひご覧ください。

「訊く力」:相手に問いかけて、相手に話してもらう力

英語でいうと「Ask」です。

「聞く力」:相手が心地よく話すことをキャッチする力

英語でいうと「Hear」です。

「聴く力」:相手が思っていることを表に引き出す力

英語でいうと「Listen」です。

 

「きく(訊く・聞く・聴く)力」に興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。


あなたの・・・コミュニケーション能力の課題が分かる本4: ビジネスの必須スキル「傾聴力」を発揮する3つの「きく力」

コミュニケーション能力を高めるためには「聴く力」が大切なのです!