問う技術には、様々なものがあります。
全て簡単に実践できるわけではありませんが、知識として理解しておくことで成長の礎が築かれます。
知識として理解していることで、意識もできるし、チャレンジもできます。
ここでは「問う技術の基本 ~相手の背後に問いかける~」をご紹介します。
ビジネスにおける交渉ではもちろん活用できますが、家庭において親子のコミュニケーションなどでも応用できます。
目次
- 誰に問いかけるか?
- どこに問いかけるか?
- 俯瞰する力
誰に問いかけるか?
問いかけは、大きく2つに分けられます。
①疑問を解消するための単発的な問いかけ
②自分の思いを実現するための問いかけ
ここでは、②に関しての話になります。
それでは2つの事例と共に、考えてみましょう。
まずは、仕事における事例です。
Aさんは商談中で、Bさんに営業をかけています。
あの手この手で一生懸命頑張って、話は弾んでいますが、なかなか成約には結びついてはいません。
この場合、残念ながらこのままでは商談は成立しません。
なぜなのでしょうか?
次の図を、ご覧ください。
商談相手はBさんですが、残念ながら決裁権がありません。
だからいくらBさんと良好なコミュニケーションが取れていても、成約には結びつかないのです。
では誰が決裁権を持っているかというと、Bさんの上司であるC部長になります。
つまりこの交渉では、BさんではなくC部長に問いかけなければいけないのです。
ついつい話しやすいからといって担当の人(ここでいうBさん)とばかり商談をして、決裁権のある人(ここでいうC部長)とのパイプづくりを怠り、成果を上げられない営業の人が多くいます。
そんな人は「誰に問いかけるか?」を、考えてみるといいかもしれません。
では次に、仕事以外の事例です。
AさんはBさんに指摘したいことがありますが、親しい人間関係がなく、悩んでいます。
どんな話し方をしたら相手を傷つけずに柔らかく伝えることができるだろうかと・・・。
こういうことで悩むことって多くないですか?
そこで、次の図をご覧ください。
AさんはBさんと親しくはないのですが、Bさんには信頼できる友達がいて、それがCさんなのです。
つまりAさんから伝わる指摘よりも、Cさんから伝わる指摘のほうが、Bさんは受け入れてくれる可能性が高いのです。
だからここでは、BさんよりもCさんと人間関係ができているのであれば、Cさんに相談(問いかけ)することが、得策かもしれません。
このように誰に問いかけるかを意識することで、結果が変わってくる場合が多くあります。
問う技術では、問いかける内容だけでなく「誰に問いかけるか?」を考えることも大切なのです。
どこに問いかけるか?
次は「どこに問いかけるか?」という問いかける技術です。
これも頭の理解は簡単ですが、実践するには意識と実践を繰り返しながら習慣化していくことが大切で、その先にある結果は間違いなく変わってきます。
事例から紹介したほうが分かりやすいので、2つご紹介します。
①どうしても15分時間が欲しい時に、次のように問いかけます。
あなた:何とか1時間いただけないでしょうか?
上司 :今忙しいからそれは無理だわ~
あなた:それでは15分だけでも時間をいただけないでしょうか?
上司 :じゃ〜15分だけだよ
あなた:ありがとうございます。
最初から「15分お時間をいただけないでしょうか?」と聞いていたら、相手の返事はこのようにいかなかったかもしれません。
②商品Aをお試しで使って欲しい時に、次のように問いかけます。
あなた:商品AかBを、まず一度使ってみていただきたいのですが、どちらが気になりますか?
お客様:どちらかといえば、商品Aかな〜
あなた:そうですか~ありがとうございます。それではまず商品Aをお試しで使ってみて、あとで感想を教えてください。
お客様:分かりました。
最初から「商品Aをお試しで使ってみませんか?」と聞いていたら、相手の返事はこのようにいかなかったかもしれません。
このように「目の前に問いかける」のではなく、一度「相手の背後に問いかける」ことで、目の前のYESがもらいやすくなります。
俯瞰する力
今回ご紹介した「誰に問いかけるか?」と「どこに問いかけるか?」は、どちらも俯瞰する力がなければ、臨機応変に活用できません。
そのためには、目の前の「問いかけ」だけではなく、頭の中でシミュレーションする力が必要です。
まさに、俯瞰する力なのです。
詳しくはこちら「木を見て森を見ず 〜コミュニケーション能力を高めるには〜」をご覧ください。
純粋な疑問を解消する問いかけではなく、何か意図を持った問いかけの時には「誰に問いかけるか?」そして「どこに問いかけるか?」を考えることが重要です。
問う技術の基本である「相手の背後に問いかける」を意識して、仕事や他の人との会話に活用してみてください。
交渉に興味のある方は、こちら「相手に喜ばれる交渉術」もぜひご覧ください。