ある人が、50人の前で30分ほど話をする機会がありました。
本人にしてみれば不慣れなことでしたが「話がつまらない」と言われないように、事前に準備をしていたこともあり、無事にその役目を終えました。
するとその直後に口から出たのは、次の言葉でした。
「話すってめっちゃエネルギーがいるし、すごい疲れたわ〜」
この言葉は、なんとなく分かりますが、なぜ疲れるのでしょうか?
敢えて言葉にしてみると、次のようなものでしょうか。
- 慣れていないから
- 緊張したから
- 不安だったから
- 見られているから
- 真剣だったから
間違いなく言えることは、このような「話がつまらない」と言われないために準備をして話をした経験が人を成長させていくということです。
では、話す側がとても疲れることに対して、聞く側はどうでしょうか?
目次
- 聞くためのエネルギー
- 聞く力の限界
- 口と頭の連動
聞くためのエネルギー
話すことが疲れると感じるように、相手に何かを伝えようと話すことは、とてもエネルギーを要するものです。
さらにその相手が、慣れない人だったりするとなおさらです。
それに対して聞く側はどうかというと、話す側ほど疲れないというのが一般的な意見かと思います。
しかし、果たしてそうでしょうか?
見方を変えると、聞く側は話す側ほど真剣に聞いていないとも言えるかもしれません。
ではもし聞く側も真剣に聞こうと思ったら、どのくらいのエネルギーが必要なのでしょうか?
例えば、1対1であなたの上司が目の前で語りかけているとしたらどうでしょうか?
さらにただ語るのではなく、その話し方が熱く真剣そのものだったとします。
そして聞く側のあなたもそれに負けずに、相手の目を見て大きく頷きながら、さらに一語一句聞き漏らさないようにメモを取りながら、真剣に聞いていたらどうでしょうか?
おそらく真剣レベルが同じであれば、話す側よりも、聞く側のあなたの方がエネルギーを使うでしょう。
そう思いませんか?
なぜならば、話す側の上司は上下関係という安心感もあり、自分のペースで時間を使っているのに対し、部下である聞く側のあなたは、聞く姿勢に気をつけ、相手に気を遣いながら、さらに後で聞かれても答えられるように、真剣に話を聞いているからです。
この気持ちは、サッカーなどの試合で、攻めている時はいくら走っても疲れないのに対して、相手にペースを握られて守っている時は、同じ距離を走っていても、ものすごく疲れを感じるような気分と似ているかもしれません。
聞く力の限界
このように、時と場合によっては、話す側よりも聞く側の方が疲れることもあるのです。
当然疲れるということは、いつか限界が訪れるということです。
「90 20 8 の法則」が示すように、人は納得をしながら、もしくは理解をしながら、そして何よりも飽きずに聞こうと思ったら、時間という物理的な限界があるということです。
「90 20 8 の法則」については、こちら「上司と部下のコミュニケーションにおけるタブーとは!?」をご覧ください。
このような時間の限界を超えてしまうと、いくら良い話だったとしても、話が耳に入って来なかったり、何よりも心に残るようなことは少なくなってしまうのです。
だから話す側は、聞く側が自分よりもエネルギーを使って聞いているのかもしれないという認識を持って接することが大切なのです。
それを忘れていると、ひょっとしたら「話がつまらない」人というレッテルを貼られてしまうかもしれないので、要注意ですね。
口と頭の連動
先ほど、相手に何かを伝えようと話す時には、聞く側の負担を考え、時間を意識することで「話がつまらない」と言われにくくなるとご紹介しました。
しかし、熱量を持って何かを伝えようとする時には、どうしても時間を超えて話してしまう時もあります。
相手が飽きずに聞ける時間が8分だと頭では分かっていても、いつも要領よく話せるわけではありません。
そんな時には、どうしたら良いのでしょうか?
そんな時には、問いを入れながら話すことで「つまらない話し方」を回避することができるのです。
聞く力の限界とは、聞き続ける時間に比例します。
だから、相手が聞いている間に何か問いを投げかけ、相手の口を開かせることによって、聞き続ける時間を一旦止めることが大切なのです。
人間は自分の口を開き、声を発することで、主体的なモードに切り替わります。
なぜならば、何かを話す時には、話す内容を脳で考えなければいけないからです。
そうすることによって脳のリズムが初期化され、再び飽きずに聞ける土壌が作られるのです。
こうすることで、同じ話をしていても、相手が飽きずに聞いてくれるようになり「つまらない話し方」を防ぐことができるのです。
「伝える技術」に興味のある方は、こちらもぜひご覧ください。
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