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顧客視点

顧客満足のベースは「相手の立場に立つ」こと

相手のために良かれと思ってやったことなのに、相手が喜んでくれないような経験ってありませんか?

喜んでくれないだけならまだしも、相手が嫌がってしまうようなことも過去にあったりしませんか?

私はありますよ(笑)

 

相手のために良かれと思ってやったことなのに、結果的に関わる人が誰も喜ばないというのは少し寂しいですよね。

そんな時に、仮に誰も悪くなかったとしても、何が良くなかったのでしょうか?

そんな時に「相手のために」という視点と「相手の立場に立つ」という視点の違いを理解しておくことが大切です。

この2つの違いは、こちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」をご覧いただき、ここでは3つの事例(エピソード)をご紹介します。

目次       

  • F7100キブラ
  • Apple社の訴訟
  • ファーストクラス

F7100キブラ    

2004年にとても注目された携帯電話がありましたが、あなたは知っていますか?

これだけのヒントだと難しいかと思いますが、ちなみに2004年にスマホはまだなかったので、いわゆる携帯電話です。

 

その注目された機種とは、韓国のLGエレクトロニクス社が発売した「F7100キブラ」という携帯電話です。

私はこの事例をだいぶ時間が経ってから知ったのですが、ちょっとしたことなのに、すごいアイディアだと感心した記憶が鮮明に残っています。

 

なぜこの携帯電話が注目されたかというと、イスラム教徒の人に大人気だったからなのです。

では、なぜイスラム教徒の人に大人気だったでしょうか?

20秒ほど考えてみてください。

私の場合は、20秒ほど考えてみましたが大したアイディアが出てこなくて、その後に答えを知った時に「相手の立場に立つ」という思考がなかったな〜と感じたことを覚えています。

 

その人気の理由は、次の2つです。

 

1つ目は、この携帯電話では、イスラム教徒の聖地であるメッカがどの方角かを瞬時に知ることができます。

さらに携帯電話の電波が届かないところでも、コンパス機能を使って砂漠でも使えたそうです。

 

2つ目は、この携帯電話は、イスラム教徒のお祈りの時間を常にアラームで教えてくれます。

イスラム教徒は1日5回、聖地に向かって礼拝しなければならないので、この2つの機能はとても便利で嬉しいものなのです。

 

ちなみに、携帯電話の名前にある「キブラ」とは、メッカのカーバ神殿の方角を表すアラビア語です。

この2つのアイディアは「相手のために」という視点ではなく「相手の立場に立つ」という視点だからこそ生まれたものなのです。

たったこれだけのことと思う人もいるかもしれませんが、イスラム教徒の立場に立ってみないと生まれてこなかった携帯電話なのです。

Apple社の訴訟    

今から10年以上の話ですが、韓国のSamsung社がiPhoneやiPadのデザインや操作性を真似たとして、Apple社が世界各地で特許侵害の訴訟を起こしていました。

 

オーストラリア、アメリカなど一部の地域ではSamsung社のGALAXYモデルの一部が販売停止になったところもありますし、アメリカではApple社が勝訴し、多額の賠償金の支払いが命じられたこともありました。

 

そんな中2015年に、イギリスでも同様の訴訟がありました。

しかし、結論からいうとそのApple社の訴えは退けられてしまったのです。

 

ということは、Samsung社は模倣品だと訴えられた商品をこれからも販売できるということになります。

しかし、その退けられた理由が素敵で、それが次のようなものでした。

 

Samsung社の製品はApple社のものと見間違うほどカッコ良くはない

この判事の言葉には色々な背景があったと思いますが「相手の立場に立つ」というテーマでこのコメントを見ると、両サイドの立場に立った素晴らしい言葉だと感じましたし、ユーモアがあるところも印象深かったので、ご紹介させていただきました。

ファーストクラス   

最後の事例が、飛行機内でのお客様のクレームの事例です。

それは次のような内容です。

 

50代とおぼしき白人女性が機内で席につくと、彼女は自分の隣が黒人男性であるということに気がつきました。

 

周囲にも分かる程の声で激怒した彼女は、アテンダントを呼びました。

 

アテンダントが「どうなさいましたか?」と訊くと「分からないの?」とその白人女性は言った後に「隣が黒人なのよ。彼の隣になんか座っていられないわ。席を替えて頂戴」と口にしたのです。

 

「お客様。落ち着いていただけますか」とアテンダントは一度のその女性を落ち着かせてから「当便はあいにく満席でございますが、今一度空席があるかどうかを調べて参ります」と言いました。

 

そう言って立ち去ったアテンダントは、数分後に戻って、次のように言いました。

 

「お客様、先ほど申し上げましたように、こちらのエコノミークラスは満席でございました。ただ、機長に確認したところ、ファーストクラスには空席があるとのことでございます」

 

そして、白人女性が何か言おうとする前に、アテンダントは次のように続けました。

 

「ファーストクラスに席を替えるということは通常行っておりません。しかしながら、あるお客様が不愉快なお客様の隣に座って道中を過ごさざるを得ないということであれば、当然事情は変わって参ります」

 

そして黒人男性に向かってアテンダントは、次のように言いました。

 

「ということで、お客様、もしお差し支えなければお手荷物をまとめていただけませんでしょうか? ファーストクラスのお席へご案内します」

 

白人女性は呆然とアテンダントを眺めるだけでしたし、周りのお客様の中にはスタンディングオベーションを送る人もいました。

このように顧客満足のベースは「相手の立場に立つ」ことなのです。

コミュニケーション能力の基本については、ぜひこちらもご覧ください。


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