「改善提案」という言葉は、聞かれたことはありますでしょうか?
何となく聞いたことがある人もいれば、会社で実際に運用していますよという人もいるかもしれません。
もし「うまくいっていない」という会社があるのであれば、少しは参考になる事例かと思います。
「改善提案」という企画において、最も大切なことは「目的」です!!
なんのために「改善提案」をするのか??
目次
- 運用の失敗例
- 目的の変更
- 意識では変わらない
- さいごに
運用の失敗例
そもそも「改善提案」ってなんでしょうか??
簡単に説明すると「会社で改善したほうが良いということを各自提案しよう」という制度といったところでしょうか・・・。
この会社では5年以上前から「改善提案」を運用していました。しかし、なかなか提案件数が増えないという課題がありました。
具体的な件数で言えば、月に2〜3件。社員数で計算すると、「改善提案」の提出率は、5%という状況でした。少ないですよね〜。
聞けばこの会社には、こんな過去があったそうです。
全体会議(全社員参加の会議)で提案内容を全社で共有していると、社長が一言。
「こんなレベルの低いものは提案でもなんでもない!もっとしっかり考えて出せ〜!」と一喝したそうです。
すると、どうなるでしょうか?
「分かりました〜!!!」と奮起して、翌月からもの凄い量の「改善提案」が出るという会社もあるかもしれません。
しかしここの会社は、そうではありませんでした。
それ以来大多数の人はビビってしまい、誰も「改善提案」を出さなくなってしまったそうです。
この状況を踏まえて、もしあなたがこの「改善提案」の企画運営者だったら、どうしますか?
目的の変更
今回の事例では、「改善提案」という企画の目的を見直しました。
つまりこういうことです。
以前の「改善提案の目的」は「経費削減」でした。
何か無駄なことや、もったいないことを見つけて、改善できないだろうか?という感じです。
その無駄を改善できれば、これだけ経費が下げられるから素晴らしい提案ですね、そして金額に換算すると年間100万円以上の効果がある提案ですね、素晴らしいです(パチパチ♪)
多くの企業では、このような目的で運用しているのではないでしょうか?
もちろんこの目的はおかしくありません。しかし、運用が機能していない状況を踏まえて、どんな目的を周知すればいいのでしょうか?
この会社では、次のように目的を変更しました。
「改善提案の目的」は次の2つです!!
① 気づき力アップ(人間力アップ)
常に周囲に関心を持つことで、人としての気づき力が向上します。
改善提案を継続して行うことで、気づき力が向上します。
気づき力が向上することで、提案力が向上します。
個々の提案力が向上することで、会社としての提案力が向上します。
② 利益向上(経費削減)
細かいムダに気づき、小さな工夫を重ねることで、生産性の高い、会社創りをしていきましょう。
つまり「改善提案」という企画を行うことで、「社員は育ったし、会社の利益も上がりました」という結果に繋がると嬉しいわけです。
意識では変わらない
では、この気づき力はどうやったらアップするでしょうか?
意識すれば変わります。はい、そうですよね。やっぱり意識ですよね。
しかし、常に意識するってなかなか大変なことです。自分で律して意識を変えるってなかなか大変なことです。
だったら、どうしたら良いのでしょうか?
良い習慣づくりが必要です。
そして、その習慣づくりをサポートする仕組みが必要です。
習慣化されていないものは、意識することも行動することも大変です。
しかし、習慣化されていれば、無意識に行動が伴ってきます。その癖づくりが重要です。
今までだったら「良い提案があったら提案しましょう」でしたが・・・、
これからは違います。
毎月1人1件は必ず出しましょう。
もし良い提案が見つからなかったら、自分で探しましょう。そうすることで、気づき力がアップします。
その活動を毎月継続することで、良い習慣がつくられていきます。だから、毎月1人1件は必ず出してください。
「提案内容」ももちろん大切ですが、「提案するという行為」はそれ以上に大切です。「提案するという行為」そのものが尊い行為なのです。
さいごに
あとは「改善提案」の企画運営者がどれだけ人を巻き込めるかです。
企画の目的は、気づき力アップであり人間力アップ。つまり人の育成です。
この目的を企画運営者がどれだけ理解し実践するかで、企画の充実度は変わっていきます。
ある高卒社員は、毎月5件出していました。
気づき力がアップすると、気遣いができるようになり、そうすると素敵なご縁が生まれてきて、人生がハッピーになるという理解をしているそうです。
素晴らしいですね♪
「毎月1人1件は必ず出してください」という言葉を義務として伝えることもできます。
しかし、その目的を大切にして言葉を選ぶだけでも、受け取り側の反応は変わってきます。
「強制と感じさせない強制力」って大切ですね。