先日戦略会議で、次のようなやりとりがありました。
その会議では、新たなサービスの伝え方を検討していました。
その検討の背景には、このサービスは同業者と一線を画するものでありながらも、伝え方によっては同業者のシェアを奪い取るように伝わってしまう可能性がありました。
その状況を踏まえて、Aさんは「結果的に同業者のシェアを奪うことになるかもしれないけど、正々堂々と思っていることを伝えればいいんじゃない!?」と発言をしました。
それに対してBさんは「結果的に同業者のシェアを奪うことになるかもしれないので、同業者を刺激して起こり得るリスクを踏まえて、したたかに考えることが大切じゃない!?」と発言をしました。
このやりとりを見て、あなたはどう思いますか?
ビジネスシーンで良く見られる、「あるべき論」を踏まえながら、相手の立場に立って柔軟な姿勢が求められる場面です。
このような場面に出てくる「したたか」という言葉ですが、漢字で書くと「強か」と書きます。
あなたは、知っていましたか?
私は、今から15年ほど前に初めて知りました。
「したたか」という言葉を漢字で書くと「強か」と知った時には、思わず「なるほど~」と唸ってしまいました。
ちなみにあなたは、強か(したたか)という言葉から、どのようなイメージをしますか?
先日、知人に『「したたか」ってどういう漢字だと思う?送り仮名は「か」で、漢字はきっと「したた」って読めないから、イメージで漢字を当ててみて』というと、次のような漢字を出してくれました!
- 「豪か」
- 「弱か」
- 「卑か」
どうですか?
私も「したたか」という言葉を漢字で書くと「強か」だと知るまでは、どちらかというと「ずる賢い」とか「腹黒い」というような少しネガティブなイメージを持っていました。
しかし、漢字で「強か」と書くと知ってからは、見方がだいぶ変わりましたし、今では好きな言葉の1つになっています。
例えば、歴史に名を残す強い戦国武将は、おそらく皆「強か(したたか)」です。
また、0から1を生み出しさらに企業を発展させる創業者も、同様に皆「強か(したたか)」です。
つまり、強い人は「強か(したたか)」であり、「強か(したたか)」な人は強いのです。
だから、「したたか」という言葉を漢字で書くと「強か」と書くのだろうと思っています。
強か(したたか)という言葉の意味を調べてみると、デジタル大辞泉には次のように書かれています。
1 粘り強くて、他からの圧力になかなか屈しないさま。しぶといさま。
「世の中を―に生きる」「―な相手」
2 強く、しっかりしているさま。
「―な後見役」「―な造りの家」
3 強く勇猛であるさま。
「力が強く勇気があって―な豪傑である」
4 程度がはなはだしいさま。
5 分量がたいへん多いさま。
「したたか」を漢字で「強か」と書くと知るまでは、その言葉の意味を「ずる賢い」とか「腹黒い」と思っていた自分が恥ずかしく感じました。
やっぱり、日本人として日本語を正しく理解しなければいけませんね。
では次に「強」という漢字の成り立ちには、どのような背景があるのでしょうか?
調べてみると、次のように書かれていました。
まず「強」という字は、象形文字です。
「強」は、本来「弓」と「弘(ひろい、大きい)」の組み合わせから成っていて、古代中国では、弓は重要な武器であり、弓の弦が強く張られ、弓自体が大きく、そして広くしなる様子を表現していました。
そこから、物理的な「強い」とか「力がある」とか「頑丈」という意味が生まれたとのことです。
では「強い」と「強か」では、どのような意味とニュアンスの違いがあるのでしょうか?
「強い」という言葉には、物理的、精神的、あるいは能力的に「力」や「芯」が優れている状態を指し、真正面から受け止める、圧倒的なイメージがあります。
物理的な強さ:腕力がある。頑丈で壊れない。攻撃力が高い。
精神的な強さ:意志が固い。信念を貫く。動じない。
能力的な強さ:英語が強い。数学が強い。勝負に強い。
イメージとしては「硬い鉄の棒」のようなもので、真正面からの大きな力にはびくともしませんが、許容量を超える力が加わると、ポキンと折れてしまうことがあるかもしれません。
一方で「強か」という言葉には、単に「力がある」だけでなく「粘り強い」「簡単にはくたばらない」「抜け目がない」といった、より複雑で奥深い柔軟なイメージがあります。
精神的な強かさ:失敗してもすぐに立ち直る(復元力)。逆境をバネにする。
戦略的な強かさ:状況を冷静に分析し、自分に有利なように立ち回る(計算高い)。
社会的な強かさ:厳しい競争社会や複雑な人間関係の中で、自分のポジションをしっかり守り抜く。
「したたか(強か)」という言葉のイメージは「しなやかな竹」のようなもので、強い風が吹くと大きくしなって風の力を受け流し、風が止めば再び元の真っ直ぐな姿に戻り、折れることなく、どのような環境でも生き残るようなものかもしれません。
このように「したたか」という言葉を漢字にすると「強か」と書くという事実を知るだけで、捉え方やコミュニケーションにおける言葉選びも変わっていきますね。
やはり日本人として生まれ、日本語に触れられるって、幸せだと改めて実感します。
「親」という漢字の成り立ちに興味のある人は、こちら「親という漢字の成り立ちから学ぶこと」をご覧ください。
