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伝える技術の基本【設定を合わせる】 〜コミュニケーション能力を高めるには〜

伝える技術の基本とは、相手の目線に合わせることです。

では、何を合わせるのかというと色々あります。

例えば、言葉遣い・・・。

詳しくはこちら「伝える技術の基本  【言葉遣い編】」をご覧ください。

伝える」という行為は、伝える側と受け取る側の双方の条件が整って、はじめて「伝わる」という結果に結びつくのです。

そして仕事においては「伝えたつもり」という結果が、問題を引き起こしてしまうことが少なくないのです。

そこで、今回ご紹介する伝える技術の基本は「設定を合わせる」です。

目次         

  • 響かない伝え方
  • 設定を合わせる
  • 伝わる話し方

響かない伝え方    

まずは、相手に「響かない」というある会社の事例をご紹介します。

この会社では、3ヶ月後から全面禁煙を実施しようとしていました。

ちなみに、ここでの全面禁煙とは、会社にいる間は休憩時間も含めて、どこでも禁煙にしようという取り組みです。

そこで全面禁煙に向けたプロジェクトチームを作り「タバコがいかに体に悪いか」ということを説明する動画を作ったり、メールを配信したりと様々な呼びかけをしていました。

その一環としてプロジェクトチームメンバーのTくんが各部門の朝礼に参加し「タバコの害」を伝え、3ヶ月後からの禁煙について告知を行っていました。

そしてこの日は総務部の朝礼に参加して、7人に対して次のように話し始めました。

今日はみなさん、貴重な朝の時間をありがとうございます。3ヶ月後の全面禁煙に向けてプロジェクトチームでは動画を流していますが、ご覧いただけましたでしょうか?タバコというのは本当に体に良くないです。それも吸っている本人だけでなく、副流煙と言いまして周りの人にも・・・

しかしこのトークが総務部の7人に対して全く響かなかったのです。

それは、なぜだか分かりますか???

それは7人全員が、タバコを吸っていない禁煙者だったからです(笑)

設定を合わせる    

プロジェクトチームのメンバーは、全面禁煙の取り組みを推進するために様々なことを考え、その中で喫煙者に対して「タバコの害」を伝え、危機感を煽り禁煙に誘導したいと思っていたのです。

この進め方自体は決して悪くありませんが、これはあくまで「タバコを吸っている人」というのが大前提の話し方です。

しかし「タバコを吸っていない人」にとってみれば、そんなことはとっくに分かっている話なのです。

このように良かれと思って話しても、設定がズレていると・・・

  • 「そんなこと言われなくても分かってるわよ〜」
  • 「私たちが迷惑しているのよ〜」
  • 「私たちにどうしろっていうの?」

という、マイナスのリアクションに繋がってしまうかもしれません。

では、相手が聞く耳を持つような話し方をするためにはどうしたら良いのでしょうか?

この場合であれば「設定を合わせること」なのです。

つまり「伝えたい相手はタバコを吸っている」という設定ではなく「伝えたい相手はタバコを吸っていない」と設定を合わせることです。

事前に用意していた原稿は「私はタバコを吸っていないが、あなたは吸っている」という設定だったかもしれませんが、今回の総務部の7人の時には「私もあなたもタバコを吸っていない」という設定に合わせることで、相手の聞く耳が開くのです。

Tくんは朝礼の前にしっかりと「カンペ」をつくり、準備をしていましたし、それ自体は大切ですし、素晴らしいことですが、最も大切なことが抜けていたのです。

それが伝える技術の基本である「設定を合わせる」ということなのです。

言い方を変えると「相手の立場に立つ」という思考が大切になりますが、詳細はこちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」をご覧ください。

伝わる話し方     

ではその設定を合わせた上で、どんな話し方だったら良いのでしょうか?

正解は1つではありませんが、例えばこんな話し方だとどうでしょうか?

今日はみなさん、貴重な朝の時間をありがとうございます。3ヶ月後から全面禁煙をする予定で、今は動画などでもタバコの害について呼びかけています。皆さんはタバコを吸っていないと思いますが、会社内の喫煙で何か困ったこととか、残念に思ったことはありませんか?これから3ヶ月の間、禁煙を呼びかけていく中で、皆さんの意見も参考にさせていただきたいので、ぜひ教えていただけないでしょうか?

もちろん他にも適切な答え方はあると思いますが「設定を合わせる」話し方とはこのようなことです。

このような「設定を合わせる」という伝える技術を使うと、話を聞いてくれた相手は共感をしてくれます。

  • 「そうだよね~」
  • 「タバコって良くないよね~」
  • 「全面禁煙に賛成です」

という心の声が生まれるということです。

その共感があると、相手の心のガードは下がり「言っていることを受け入れよう」という心の準備が整い、結果的に相手の心に響く伝わり方になるのです。

伝える技術の基本は「相手に目線を合わせること」ですが、コミュニケーション能力を高めるには「設定を合わせる」ことも大切な要素になってくるのです。

伝える力にさらに興味のある方は、こちらもぜひご覧ください。


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