「どうでもいいから黙って俺の言うことを聞け」なんていうセリフが通用したのはいつまででしょうか?
今の20代の人などは、そんなことが通用していた時代なんてあるの???なんてビックリしてしまう人もいるかもしれません。
そして、通用していたと思っていた時も、実際は通用していたのではなく、まかり通っていただけなのかもしれません。
実際に数年前にはなかった様々なハラスメントという言葉が当たり前になっています。
例えば、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)などという言葉は、子どもでも知るようになり、さらにテクノロジーハラスメントなんていう言葉も出てきました。
しかし今は時代も変わり、上司としても強烈なリーダーシップよりも「聞く力」が求められているのかもしれませんし、コミュニケーション能力を高めるためには、大切なポイントなのです。
ハラスメントはもちろん考慮しなければいけませんが、その定義や線引きに費やす時間の一部でも、モラルや「聞く力」の向上に使えればと思っています。
目次
- 聞く力は2つの力
- 死ぬ選択肢もあった
- 聞く力は見える
聞く力は2つの力
聞く力とは「相手が心地よく話すことをキャッチする力」と私は定義していますが、これは2つの力に分けられます。
1つは前半部分の「相手に心地よく話をさせる力」であり、もう1つは後半部分の「その話をしっかりとキャッチする力」なのです。
ちなみにあなたの周りに「この人とだと心地よく話せる」という人はいますか?
そんな人がまさに「聞く力のある人」なのです。
その人はどんな人でしょうか?
例えば、雰囲気、表情、しぐさ、言葉遣い、第一印象などに注目すると良いでしょう。
「聞く力」は、様々な技術が必要というよりは、普段の振る舞いや習慣が成果となって現れてくるものです。
周りにいる「心地よく話せる人」の真似をするだけでも「聞く力」は、レベルアップするでしょう。
死ぬ選択肢もあった
「聞く力」は受動的(受け身)だという印象があるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。
その理由と共に「聞く力」が命をも救うという事例をご紹介します。
この事例に登場する人は、Gさんです。
Gさんは農業を営んでいましたが、その取り組みを本にまとめて出版したところ、それが大変好評でその後、講演依頼なども舞い込んでくるようになりました。
すっかり気を良くしたGさんは、すべての依頼を受け入れ、すべてに全力を注いでいきましたが、いつしか周りが求める人物像と、生の自分とのギャップに苦しむようになりました。
今までは農業にすべての時間を費やしてきましたが、その農業の現場が乱れてしまい、本人が最も望まない現実が起きてしまいました。
しかし周りからは素晴らしい人であるという強い認識が生まれ、そのギャップに苦しむことで最終的には鬱状態になってしまいました。
この時のGさんは「車ごと崖から落ちたほうがいいのかもしれない」とか「このままでは死んでしまうかもしれない」などと思うこともあったそうです。
そんな時に知り合いのYさんがSNSで投稿した内容に対して「1回くらいはサッカーでも見てみたいな~」と呟いたそうです。
するとそのコメントを見たYさんは「え〜そうなんですか~。嬉しいです。では今度ぜひ一緒に行きませんか?」とさっそくお誘いをして、その2週間後には、実際にGさんを連れてサッカーを見に行ったそうです。
しかしその時のGさんは、どん底の状態だったようで、本人に言わせると何かをきっかけに「死」を自ら選択する可能性はあったし、本当に不安定で危ない時だったそうです。
ではなぜその時にYさんに、それまで特に興味がなかったのに「今度サッカーでも見に行きたいな〜」なんて呟いたのでしょうか?
後からGさんに聞くと「何でもいいから何か変えないといけない」と思っていたそうです。
ではなぜその時に呟く相手が、Yさんだったのでしょうか?
それは「話しやすい人」だったからだそうです。
この時のGさんは「死ぬ」という選択肢もあったとのことですから、ある意味では「聞く力」が、1人の命を救ったのです。
「聞く力」は「相手が心地よく話すことをキャッチする力」ですが、この事例では「話しやすかった」という印象を与えているところが「相手に心地よく話をさせる力」であり「一緒に行きませんか?」とお誘いしているところが「話をしっかりとキャッチする力」なのです。
聞く力は見える
このように「聞く力」は一見、受動的(受け身)の印象があるかもしれませんが、とても尊い力であると共に「聞く力」は見えるのです。
しかし、見えにくいのも事実です。
だから「聞く力」は、技術などよりも、普段の振る舞いや習慣が大切なのです。
少し具体的なことをご紹介すると、次の5つを意識するだけでも「聞く力」はレベルアップしますので、参考にしてみてください。
①雰囲気
「暗い」よりは「明るい」方が良いです。
②表情
「しかめっ面」よりも「笑顔」の方が良いです。
③仕草
「腕を組む」よりは「相手に手を見せる」方が良いです。
(腕を組む癖のある人は要注意です)
④言葉遣い
「荒っぽい」よりは「丁寧」な方が良いです。
⑤第一印象
「完璧」な印象よりも「少しスキのある」印象の方が良いです。
ちなみに、今の5つを全て合わせると次のようになります。
「聞く力のない人」
いつもしかめっ面をして腕を組んでいる彼って、仕事は出来るかもしれないけど、言い方も荒っぽいし話しづらいよね・・・。
「聞く力がある人」
あの人っていつも笑顔で明るくて言葉遣いも丁寧だし偉そうな態度もしない上に、ちょっと抜けているところがあるから、なお話しやすいんだよね~。
いかがでしょうか?
これだけでも「聞く力」のレベルアップに向けて、課題が見えてくるのではないでしょうか?
このようなことを普段から考え意識し、習慣化すると、その人はいつの間にか「聞く力がある人」に、なっているのです。
「聞く力」については、ぜひこちらもご覧ください。
あなたの・・・コミュニケーション能力の課題が分かる本4: ビジネスの必須スキル「傾聴力」を発揮する3つの「きく力」