「これを見たら分かるようになっています」という言葉を、聞いたことはありますか?
もしくは、自分で言ったことはありますか?
これは「伝える技術」という観点でいくと、まさにNGワードです。
「これを見たら分かるようになっている」ということは、別の言い方をすると「これを見ないと分からない」ということです。
ということは「見ているか」ということが、とても大切になってきます。
つまり「見ていない」ことを嘆くよりも「どうやったら見てくれるか」を考えないと、伝わらないということです。
目次
- 高すぎるハードル
- 相手の立場に立つ
- 優しく巻き込む
高すぎるハードル
まずは、よくある事例をご紹介します。
上司:この前お願いしたことはできているかな?
部下:はい、この前メールで送ったように、あれを見ていただいたら分かるようになっています。
部下のこの答え方も問題ありですが(笑)その点はここではスルーしていきます。
上司:あ〜あれね。それで結論から言うとどうなのかな?
部下:それも見ていただければ分かるのですが・・・。
部下のこの答え方も問題ありですが(笑)「見てくれていない」苛立ちもあると思いますが、その点はここではスルーしていきます。
上司:そうか〜。正直あれはちょっと分かりにくいんだよね〜。
部下:そうなんですか・・・。
これはまさに「これを見て」という行為が、この上司にとってはハードルが高すぎるという事例です。
この時「なんでこんなことが分からないの!?」と思ったとしても、それを言ってしまったら、伝える技術という観点ではNGワードです。
相手の立場に立つ
伝える技術の大原則は「相手に目線を合わせる」ことです。
「これを見たら分かるんですけど」と言う言葉の裏には「なんでこれを見てくれないのか」という思いが存在します。
しかし、ほとんどの場合は相手にも「見ない理由」があるのです。
相手が不真面目な人であれば問題外ですが・・・。
多くの人は「見なければいけない」という認識があるのに「見ていない」のです。
一言で言えば「見たくない」のです(笑)
もちろんほとんどの人は「見たくない」という言い方はしませんが、突き詰めていくと先程の事例のように「ちょっと分かりにくい」というようなコメントが返ってくるのです。
このように、相手の立場に立って相手の気持ちを理解することが大切です。
詳しくはこちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」もご覧ください。
「これを見たら分かるのですが」と、愚痴を言っている時には、相手がそれを見てくれるような工夫をしなければなりません。
優しく巻き込む
では、どうやって相手に見てもらうようにすれば良いのでしょうか?
キーワードは「優しく巻き込む」です。
ただ「巻き込む」ではなく「優しく」がつくのがポイントです。
「これを見たら分かる」と言われても、見ていないという自覚がある人にとっては、輪の中に入るという意味を持つような巻き込むというお誘いはちょっとHeavyで嬉しくないのです。
だから「どの辺が見にくいのかを教えて」というアドバイザーの役割を伝え、優しく巻き込むのです。
その時の聞き方も大切です。
「どうやったらいいと思う?」という聞き方は、人間関係ができてからの聞き方です。
なぜならば、自分の意見を言うというのは、ちょっとした勇気がいる行為だからです。
もちろん、自分の意見をすぐに言えそうな人に対しては「どうやったらいいと思う?」と聞いてもいいでしょう。
しかし、ちょっと勇気がいるなという人に対しては「どの辺が見にくいかを教えて」と聞いて、相手の気持ち(本音)を知ることが先決です。
自分の意見ではなく、自分の思ったことを言うという行為は、正解がありませんので「どうやったらいいと思う?」という問いよりは「どの辺が見にくいかを教えて」という問いの方が、答える側にしてみるとハードルが低いのです。
「これを見たら分かるようになっています」と言いたくなったら、相手が「見ていない」ことに目を向け、見てもらうための工夫が必要です。
そして「優しく巻き込む」ことで、伝えたいことが伝わる土台が築かれていきます。
常に変えられるものは、相手ではなく自分ですね!!
伝える力については、こちらもぜひご覧ください。
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