仕事をする中で「提案する」人と「提案しない」人がいますが、なぜこのような違いが生まれてくるのでしょうか?
ちなみに、あなたは仕事の中で提案をしていますか?
「提案する」という行為から、その違いを説明すると、積極性とか主体性というキーワードが出てきます。
確かに、誰かから「提案してくれ」と言われない限り、積極的な姿勢がないと「提案する」という行動は生まれないでしょう。
では、その積極性や主体性が「ある人」と「ない人」とでは、何が違うのでしょうか?
そこには、より良くしたいという熱量の違いや向上心、時には責任感というものも影響してくるかもしれません。
そう考えると、会社で幹部と言われる人は「提案する」という行為がないと、その役目を果たしていないとみなされてしまうかもしれません。
しかし、ただ提案すれば良いというわけではないので、そのコツをご紹介します。
目次
- とある事例
- 提案する時のコツ
とある事例
ここで、反面教師として使える「とある事例」をご紹介します。
この会社では、営業所の新規出店を検討していました。
そのために、必要な条件の1つが良い物件です。
しかし、なかなか良い物件が見つからずに数ヶ月が経過してしまいました。
当初はこのような物件が良いというイメージを関係者で共有して情報収集を始めたのですが、その条件に見合うものが見つかっていませんでした。
そこで、一度今までに集めた情報をもとに方向性を再検討しようということで、ミーティングが開かれました。
そのミーティングでは、担当者が社長に今までの活動を報告し、今後の方向性を「提案する」という流れで行われました。
そして、そのミーティングにおける提案の出だしは、次のような感じでした。
・・・・・
それでは、早速本題に入らせていただきます。
まず今までに集めた情報の中で、候補として3つを選ばせていただきました。
まず1つ目ですが、場所は○○○でして価格は○○○という物件です。
そして、その他の条件としては○○○でして・・・。
・・・・・
このような形で提案を進めていくと、次第に社長の顔が険しくなっていき、聞いている周りの人たちのまぶたも少しずつ重たくなっている様子でした。
結論からいうと、この提案の出だしはとても良くないパターンとなります。
では、何が良くなかったのでしょうか?
そして、どうすれば良かったのでしょうか?
ここで具体的な課題を伝えられると、幹部や上司としての必要条件を1つ満たすことができるかもしれません。
提案する時のコツ
それでは「提案する」時の大切なコツをご紹介します。
先程の事例で「早速本題に入らせていただきます」というコメントがありましたが、この事例では本題に入る前に必要なことがされていなかったのです。
それは「フレームワークを共有する」ということです。
これが、提案する時の大切なコツになります。
具体的には、次のような図を頭に思い描くことが大切です。
この図を常に頭の中に描くことができると、提案のストーリーから外れずに話すことができます。
そしてこの「フレームワークを共有」することで、その場にいる人(この事例であれば、ズバリ社長)の共感を得ることが大切なのです。
それでは、何に対して共感を得られれば良いのでしょうか?
それは理想(ゴール)と現状です。
今回の事例をもとに、具体的な伝え方をご紹介します。
【ゴールの共有】
まず営業所の新規出店を検討する背景として、関東エリアの販売を強化していこうという大枠の方針があったかと思います。
(ここで社長が首を縦に振り、そうだそうだと共感してくれればオッケーです)
万が一、このゴールイメージがずれていたとしたら、その後の提案は全く無意味なものになってしまいます。
【現状の共有】
新規出店の背景を踏まえた上で、物件探しを進めてきましたが、正直なところベストな情報を得られていないのが現状です。
(ここでも社長が首を縦に振り、共感してくれればオッケーです)
この2つの共感を得られるだけで、その後の提案を受け入れてもらえる土壌をつくることができます。
さらに具体的な物件情報を紹介する前に、次のように話すことで、ミーティングの目的を再確認し、このミーティングでどんな結果を得たいのかということを共有することもできます。
それではこれから、今までに集めてきた情報の中で3つの候補物件をご紹介します。
そして今日は、その中から1つ選び出店活動を進めていくのか、それとも引き続きその他の物件情報を集めていくかの判断をこの場でさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
このように「提案する」という行為は、話し方を考えるだけでなく、全体のストーリーを考えた上で課題を共有するだけで、提案力が全く変わってくるのです。
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