「満足」と「感動」、この2つの言葉にどのような違いがあるでしょうか?
そしてその2つの言葉の頭に「顧客」をつけたらどうでしょうか?
たかが「言葉」ですが、されど「言葉」です。
「顧客満足」と「顧客感動」の違いってなんでしょうか?
この言葉の違いを知ることで、顧客に対する考え方や接し方が変わってきます。
目次
- Nくんからの電話
- Nくんの問い合わせ内容
- Aくんの対応
- 満足を超える提案
- さいごに
Nくんからの電話
ここでの事例は、ある男子大学生(Nくん)からの電話に関する応対のお話です。
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登場人物(4名)
Nくん:K会社に電話で問い合わせをする男子大学生
Fさん:電話を最初に受けた総務部の女性社員
Aくん:新卒対応社の入社3年目の男性社員
S部長:K会社の人事部長
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男子学生のNくんから会社(K会社)に電話が鳴ったのは、お昼前の11時過ぎでした。電話を取ったのは総務部の女性社員(Fさん)です。
その内容は、「ぜひインターンシップに参加させて欲しい」と言う内容でした。
しかし応対しているFさんのやりとりを見ていると、何か答えに困るような様子で、すぐに担当者から折り返すと言うコメントも聞かれないような応対でした。
新卒対応は入社3年目の男性社員(Aくん)に託していましたが、そこに居合わせた人事部長(S部長)がこのまま電話を切るよりも1度直接話した方がいいと直感で思い、電話を変わりました。
Nくんの問い合わせ内容
Nくんの問い合わせは、以下のような内容でした。
政府機関が企画している留学生派遣のプログラムに、Nくんは日本代表として選ばれたとのことです。そしてNくんは、中東に留学したいと言う希望を持っていて、その留学プログラムには2つの条件がありました。
① 現地で語学学校に通うこと。
② 現地で民間企業のインターンシップに2社参加すること。
Nくんは既に1社は決めており、もう1社を探していて、中東に子会社を持つK会社に電話をかけてきたとのことでした。
なぜK会社に電話をかけてきたかというと、自分の地元の企業であることと、地球環境に貢献できる事業内容であったからとのことで、彼は地球環境にも興味を持っていました。
Nくんの問い合わせを要約すると、中東にあるK会社の子会社で半年間インターンシップをさせてほしいということでした。
K会社としても前例はありませんでしたが、S部長の判断としては即オッケーでした。
しかしその事はNくんには伝えず、担当者(Aくん)より折り返し連絡をすると言って、一旦電話を切りました。
Aくんの対応
さて、あなたが新卒担当のAくんだとしたらどのように対応しますか?
Aくんの対応は、以下の通りでした。
まず最初に、中東に出向している日本人の社員に状況を説明し、問い合わせをしました。
そして、このような業務であれば受け入れられるという条件を確認しました。
そこでNくんに「インターンシップを受け入れられます」と返事をしたいと、S部長に提案しました。
この対応はどうでしょうか?
返事をするという観点であれば、決して間違いではありません。
しかし相手が「満足する」もしくは相手に「感動を与える」という観点で見ると不足しています。
Nくんの未来とK会社の未来が融合するとすれば、優秀な社員を獲得できるということに繋がります。
そして何よりも、Nくんの人生に貢献するという観点から考えると、もっと違った対応が考えられたはずです。
現代はインターネットで色々と情報が取れる時代です。
Nくんの名前をインターネットで検索すると、高校時代から学校の枠を超え、主体的に地域貢献に繋がる活動をしていました。
つまり、Nくんには主体性があり積極性があり、率先してチャレンジすることに喜びを感じる人間であることが想像できます。
そんなNくんの立場に立って考えることが重要です。
満足を超える提案
例えば・・・。
半年間で弊社の「ビジネスモデルを発展させる提案をしてほしい」という課題を与えたらどうでしょうか?
- 最初の1ヵ月は業務をしながら、業界や事業の理解を深めてもらいます。
- そして次の1ヵ月では同じく業務をしながら、K会社が行っているオークションの理解を深め理解してもらいます。
- そして次の3ヶ月では、ビジネスモデルの発展のために提案書を作成してもらいます。
- そして最後の1ヶ月で、それを業務に落とし込むためにK会社のスタッフと行動計画を作成します。
さらに返事をする際には、選択肢をいくつか与える内容でNくんに「問い」を投げかけることで、さらなる化学反応も期待できます。
もちろんこれは仮の話ではありますが・・・。
さいごに
目の前にお客様がいなくても、顧客感動を提供できるスキルを高めるチャンスはいくらでもあります。
いかに上司がその視野を持ち、部下に伝えるかで部下の成長スピードは変わってきます。
社員1人1人が顧客の立場に立ち、思考し行動する。そのきっかけやチャンスはどこにでも転がっています。
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