この人(Yさん)との出会いは、前職の経営コンサルタント時代に遡(さかのぼ)ります。
私がマネジャーの手本にしたいと思ったエピソードです!!
Yさんは、マネジャーとしての在り方を教えてくれた人で、人との接し方や課題の与え方なども含めて、それまでに私が出会ったマネジャーとは少し違うタイプの人でした。
目次
- Yさんとの出会い
- ラポールの重要性
- 知識の重要性
- 「問い」の重要性
- ご縁は人生の宝
Yさんとの出会い
私が入社後すぐに配属となった名古屋オフィスで、当時名古屋の支社長を務めていたのがこのYさんでした。
事前に聞いているYさんの情報は「とにかく忙しい人で支社にあまりいない」というものでした。
案の定、Yさんと初めて会ったのは名古屋に赴任してから2週間以上経ってからのことでした。
とにかく忙しい人で、その初めて会った日も会社が休みの日曜日でした。
会社が休みといっても、経営コンサルタントの仕事は、時間から時間まで働けば給料があたるというような職種ではありません。
日曜日であろうが、当時は仕事をしている人はたくさんいました。
今でいうブラック企業かもしれませんが、進んで仕事をしている人にとってはブラックでもなんでもないのです。
当時の私も、全く業務が追いつかず日曜日に会社で仕事をしていたところ、後からYさんがオフィスに入ってきました。
顔は知っていましたので挨拶をすると「よろしくね〜」と一言返してくれました。
その第一印象はとても柔らかく、一瞬で話しやすい雰囲気を感じる人でした。
その印象を与えているのは、マネジャーの手本となる人間性とスキルであることを後になってから学びます。
その後、心地よくナチュラルなトーンで色々と質問をされました。
入社の動機や現在の楽しいことや困りごと、そして今までに経験してきたことや学んだことなど、仕事に直結する内容もそうではない内容も含めて、会話の中で話の輪が広がっていく雰囲気です。
その雰囲気をつくるのも、マネジャーの手本となる人間性とスキルであることを後になってから学びます。
今までに私が接してきたマネジャー像の大半は、強いリーダーシップで、部下に叱咤激励をして、負けん気の心を煽るようなタイプでした。
私も負けず嫌いなので、よく問い詰められ、負けん気を煽られ、成長もさせてもらいました(笑)
しかし、Yさんは全く正反対でした。
社内では強面のマネジャーが多い中で、Yさんのキャラクターは少数派でした。
ラポールの重要性
そのキャラクターを厳しさが足りないという見方をする人もいましたが、私の中では、まさにラポールの達人であり、多くの学びと気づきをいただきました。
ラポールとは、もともと精神科医の先生がクライエントとの間に生じた関係を表現するために用いた後です。セラピストとクライエントとの間に、相互を信頼し合い、安全に自由に振る舞い、感情の交流を行える関係が成立している状態を表す語として用いられるようになったとのことです。
もう少し分かりやすく言うと、「心が通い合っている」「どんなことでも打ち明けられる」というような状態です。
ちなみに・・・。
クライエント(Client)とは、臨床心理学を学んだ心理カウンセラーが使う呼び方で、それ以外では、クライアント(Client)と呼ぶそうです。一般的には、クライアントが多いですよね。
そんなラポールをつくることができると、人間同士の距離はあっという間に縮まります。
知識の重要性
私も、どんどんYさんに質問していき、質問に対する答えはもちろんのこと、関わる中で答え方や課題の出し方など一挙手一投足を注意して見るようになりました。
そして何より実感したことは、圧倒的な知識不足です。
知識のある人が良い仕事をするかどうかは分かりません。必要十分条件ではなく、あくまで必要条件です。
しかし知識のない人は、どんなに意欲があり、モチベーションが高くても、ある一定レベルのサービスしか提供できません。
だから当時の私は当然、知識不足を補う努力をしなければいけなかったのです。
それまでの人生であまり読まなかった本を、率先して読むようになりました。
今でも本はよく読みますが、小説のようなものを読むことはなく、仕事に関わるような本ばかりを読んでいます。
周りから「本が好きですね〜」と言われることがたまにありますが、私の読書の原動力は「好き」ではなく「このままではヤバイ」と言う恐怖感です(笑)
残念ながらその気持は、今でも全く変わっていません(笑)
「問い」の重要性
Yさんとのやり取りで思い出すのは、質問の言葉です。
会話の最後には、必ずといっていいほど質問があります。
その質問は、マネジャーの手本となる好奇心とコミュニケーションスキルであることを後になってから学びます。
よく覚えている質問は次のようなものです。
「それで何が嬉しいの?」
つまり顧客目線です。
自分で精一杯考えて良いものを準備したとしても、果たしてそれは顧客の立場に立ったら喜ばれるものなのか?ということに気づかされる質問です。
「それで社長は嬉しいの?」
つまり経営者目線です。
経営コンサルタントのサービスを受け入れるかどうかを決断するのは、経営者です。
その人が納得するような、唸るような提案ができないと契約は取れません。
この質問は、経営者目線を促すものですが、キーマンを見間違えるなというメッセージも含まれています。
「それで会社は嬉しいの?」
つまり俯瞰の目線です。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、全体像を把握せずに物事に取り組むと、期待される成果が得られない場合がよくあります。
特に経営者や幹部やプロジェクトリーダーなどの立場にいる人には、大切な質問になります。
ご縁は人生の宝
Yさんは、久しぶりに会っても、いつでも当時と変わらない接し方をしてくれます。
相手によって態度を変えないそんな素晴らしい先輩です。
こんな素晴らしい人との出会いが、今の自分を支えてくれています。