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危機感の共有 〜組織改革の事例 2/4〜

創業以来初の1億円の赤字予測

そしてもし来期も1億円超の赤字になると、ひょっとしたら・・・、倒産の危機が!?

これは、とある業界シェア日本一企業の実話です。

「危機感の共有」を組織改革に繋げた事例です。

今回お伝えすることは、危機感の共有が大切ですということではなく、危機感の共有は正しいステップを踏むことが重要ですという内容です。

目次         

  • はじめに
  • まず大切なこと
  • 経営者の想い
  • 会社の現状
  • 今後の目標

はじめに       

危機感の共有 〜組織改革の事例 1/4〜」でもお伝えしたように、カリスマ社長と膝を突き合わせて話していたことは、次の3つです。

  1. 会社のビジョン
  2. 会社の現状
  3. 社長の反省と考え

膝を突き合わせて話す中で実感したことが2つありました。

それは・・・、

  1. 社長のビジョンは間違っていない
  2. 危機感の共有なくしてV字回復なし

社員へのヒアリングからも、社長への信頼が抜群であることは確認できました。

「この人は凄い」という尊敬と、「この人についていけば大丈夫」という信頼が感じ取れるヒアリング内容でした。

一方で、社長に対する尊敬と信頼が、社長への依存にも繋がっていました。

従順で指示待ちな社風です。

そんな組織において、危機感を共有しようとすれば、パニックが起こります。

危機感を共有するときには、大切なことがあります。

それはその影響を予測し、配慮することです。

この時に考えられる最悪のシナリオとは・・・。

危機感を共有した途端・・・、

  • 社員が、不安になってしまう。
  • 社員が、パニック状態に陥ってしまう。
  • 社員が、何に集中して良いかが分からなくなってしまう。
  • 社員が、今までやっていた仕事も疎かになってしまう。
  • 社員が、希望を失ってしまう。
  • 社員が、この会社にいては自分自身の未来がないと決めつけてしまう。
  • 社内で、退職者が続出してしまう。
  • 社内で、働き手がいなくなってしまう。
  • 会社が、・・・。

ではそうならないように、どうしたらいいのでしょうか?

ここで書いていることは、決して正解ではなく1つの事例です。

まず大切なこと    

この状況に限ったことではないですが、会社の数字やその構造を理解していない人に、結果である数字だけが伝わってしまうと、たくさんの誤解を招く恐れがあります。

だから情報の扱い方が大切になります。

情報は正しく共有しないと、誤解を招いたり、不必要な時間を費やしてしまう恐れがあります。

例えば・・・、

明日の「(午後の)5時集合」が、本当は「15時集合」だった、とか(笑)

さらにその情報がより機密性が高かったりすると、なおさらです。

例えば・・・、

会社の決算情報など。

絶対に「誤解のないように伝えないといけない」

さらに今回のような場合にはさらに「伝わってほしいように伝えないといけない」

だから、今回の情報の扱い方は極めて大事なことでした。

全社員を集め、これから「一人一人の未来に影響のある大切な話があるので、30分間しっかり社長の話を聞くように」と伝えました。

その後、社長に話していただいたことは次の3つです。

①経営者の想い    

会社の先頭に立ち、会社の成長を牽引し、社員の生活を支えてきた今までの想いをなるべくストレートに語っていただきました。

社員の皆さんも社長が思っていることは何となく理解しているつもりでしたが、改めて話を聞くことで、その想いの深さと愛情を感じ取った雰囲気でした。

ちなみに、こういう時は場の雰囲気もとても重要で、いつも使う社内のミーティングルームではなく、近隣の施設をお借りしました。

②会社の現状     

まずは、数字の説明です。

この時の注意点は、感情移入しないことです。

事実を正しく共有することに重点を置きます。

だから、ここでは外部の人間である私が再登場ということになりました。

しかし今回のような決算書という数字を理解するためには、前提の予備知識も必要なので、事前に「計数勉強会」なるものを開催していました。

この時、初めて今期が赤字予測であることを伝えました。

それも1億円の赤字予測です。

その瞬間に危機的なことになっているなと感じ取った人が多く、その場の雰囲気が変わったことを覚えています。

次に、数字の要因分析です。

分析は私の担当で、ここでは主に在庫の増加を課題にあげました。

それは関わる人が多く、かつ一番業績にインパクトのある課題だったからです。

  • 売上が増えていないのに、在庫が増えている!!
  • 製造したものが売れていない。
  • 売れていないものを製造している。
  • つまり、ムダな在庫が生じている。
  • そしてその在庫の中には、不良品もある。

では、どうしたら良いのか?

再び社長の出番です。

社長は現場あがりです。

だから現場の社員さんも、みんな真剣に耳を傾けます。

数字の説明で「危機感の共有」はできましたが、それだけで終わると「ヤバい」という感情だけが残ってしまいます。

そこで、数字の分析と対策をセットで伝えることで、「ヤバい」けど「〇〇をすれば大丈夫」と前を向き、組織のベクトルを合わせることができます。

③今後の目標     

具体的に何をすべきかを明確にします。これが曖昧だと混乱を招きパニックを起こします。

人は不安になると「マイナス」のエネルギーが増大します。

しかし、その「マイナス」のエネルギーをぶつける先を示すことができれば、そのパワーを大きな「プラス」のエネルギーに転換することができます。

そしてこの時の目標設定において大切なことは、次の3つです。

  • 具体性
  • 期限
  • 責任者

結果的にこの会社は、一部の退職者(想定内の必然の退職)を出したものの、1年でV字回復を遂げました。

その背景には社長の求心力があり、一枚岩にまとまった組織がありました。

そして何よりも「危機感の共有」が、組織改革に繋がったのです。

つづく♪