創業以来初の1億円の赤字予測。
そしてもし来期も1億円超の赤字になると、ひょっとしたら・・・、倒産の危機が!?
これは、とある業界シェア日本一企業の実話です。
大企業であれば、潤沢な資金がある会社であれば、「1億円の赤字」は数年で取り返せば良いという判断になるかもしれません。
しかしそんな余裕のない中小企業にとっては、まさに崖っぷちです。
崖っぷちの中小企業にとって、「危機感の共有」は避けて通れない道なのです。
目次
- はじめに
- 人を動かす
- キーマンの重要性
- さいごに
はじめに
そしてもし来期も1億円超の赤字になると、ひょっとしたら・・・、倒産の危機が迫っていました。
「危機感の共有」という大きな壁を乗り越えたこの会社は、1年でV字回復を果たします。
様々な取り組みの中で大切なポイントが3つありました。
①トップの姿勢
会長、社長、専務の役員報酬を50%カットするという宣言をして、経営陣の自責の姿勢と、今後に向けた確固たる決意を社員に伝えました。
②対策の絞り込み
やれることはたくさんあっても、全てができるわけではありません。だから対策を絞り込むことは大切で、この事例でのメインテーマは「原価と経費の削減」でした。
ここまでが前回「危機感の共有 〜組織改革の事例 3/4〜」でご紹介した内容で、この後、いよいよ最後の「3つ目に大切なこと」をお伝えします。
③人を動かす
どんなに良い戦略があっても、それを実行する人がいなければ結果は伴いません。
姿勢を示し、対策を絞り込み、やるべきことを明確にしたら、後は行動あるのみです。
四の五の言わずにやるということです。それ以上でも以下でもありません!!
しかし、「やろう」と思っていてもなかなか「できない」、もしくは「続かない」というケースが少なくありません。
だから、「やると決めたことをチェックする」ことが必要です。
いわゆる「PDCAサイクルを確立しましょう」ということです。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、管理業務を継続的に改善していく手法のことです。
PDCAサイクルを確立し、人を動かすのです。
しかしV字回復には、これだけでは不十分だったのです。
なぜならば、瞬発力が必要だったのです。
キーマンの重要性
「やると決めたことをチェックする」だけでは、発揮する力の上限が100%だからです。
ここでは120%の力が必要でした。
そのために、各自の眠っている潜在能力を引き出すことが必要でした。
そのために組織に火をつけることが急務でした。
そのきっかけとして研修なども活用しましたが、絶対的な要素として必要なのはキーマンです。
プロジェクトリーダーには、この「キーマンを見誤らないこと」、そしてこの「キーマンを動かすこと」、さらに常に「キーマンの視点でものを見ること」が求められます。
そしてキーマンには、メインキーマンもいればサブキーマンもいます。それぞれの役割を明確にすることで、人や組織が動いていきます。
この事例でのメインキーマンは、Iさんでした。
だからIさんとは、共通目的・共通目標とそこに向かう進捗状況を、常に共有しました。
そして、Iさんが動きやすいチームをつくり、そのチームで物事を決めて発信していくような流れをつくっていきました。
また、Iさんの上司であり、同年代であり、後継者でもある常務には、常にチームミーティングにも入ってもらいました。
では、総責任者である社長は??
要所要所で我慢していただきました。
今までは全ての決定事項に関わっていた社長にしてみれば、きっと私には想像できないくらいの我慢をしていただいたと思います。
感謝すると共に、大好きな大尊敬の社長です!!
結果的に、様々なチャレンジをした中で、この3つのポイントを押さえることでV字回復を果たすことができました。
3つのポイントとは・・・。
- トップの姿勢
- 対策の絞り込み
- 人を動かす
ここの会社の皆さんは、本当に素晴らしい方たちばかりです。
私自身もV字回復を通して、組織改革をリアルタイムで体感することができ、貴重な体験でした。
いつでもより良い会社になって欲しいと、今でも心から祈っています。
さいごに
本気で取り組む人が生まれると、それまでの組織に「改革」という大きな変化が、「歪み」という形で現れてきます。
根本的に「変化」よりも「現状維持」に安心感を感じる人間にとって、この「歪み」は受け入れたくない「変化」です。
そして生じた「歪み」を元の流れに戻さずに、「改革」を実行していくと、その「変化」についていける人と、ついていけない人に分かれてきます。
これまで「変化」についていけなかった人も、今までの組織であればぶら下がることができましたが、「改革」が進んでいくと、「変化」ついていけない人は会社にいられなくなっていきます。
これが組織改革です!!
そこには想定内の退職も発生しますが、これが健全な組織改革であり、必然の通過点です。
痛みを伴うのが改革であり、痛みの先に真の改革が待っているのです。