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目標設定, 目標の仕組み化

目標設定のコツ / ある部門の事例

目標設定のコツとして、どのような手順を踏むのが良いのでしょうか?

これは一概に定義することが難しく、時と場合によって異なってきます。

しかし、原則はあります。

今回ご紹介するのは、ある会社の、ある部門の、実際にあった「目標設定のコツ」に関する事例です。

仕事でもプライベートでも、目標設定の際に参考になれば幸いです!

目次         

  • 部門の現状
  • 3つの対策
  • ①全体像を捉える
  • ②数字の因数分解
  • ③責任と役割の明確化
  • さいごに

部門の現状      

この会社は、自動車のリサイクルをしている会社です。

つまり中古車としては販売できなくなった自動車を仕入れ、そこからまだまだ使える部品を取り外し、中古部品として販売している会社です。

そしてここは国内向けに販売している部門で、部門目標は、売上と粗利です。

全社目標を設定する際に、部門目標も同時に決定します。

そしてこの部門は、過去2年近くの間、毎月目標未達と不調が続く部門でした。

そんな状況の中で、まず目標設定という課題に直面しました。

要は、部門目標を達成するために、何を頑張ればいいのかが全く明確になっていない、という大きな問題がこの部門には存在していました。

スポーツで例えるならば・・・。

チームのメンバーは勝利を目指して試合に臨んでいますが、勝つために何をしようという戦略や戦術が全くないという状況に似ているかと思います。

もちろんそれでは、勝利を掴み取ることはできません。この部門もまさにそんな状態でした。

3つの対策      

では、どうしたら良いのでしょうか?

皆さんだったらどうしますか?

ここの部門では、主に3つのことを実行しました。

そして結果的に、その2ヶ月後には2年ぶりに月次目標を達成し、翌月も連続で達成することができました。

①全体像を捉える   

まず行ったことは、状況を大局的に見るということです。

例えば・・・。

業界の分析

自社が落ち込んでいる時にマーケット自体が縮小していれば、シェア占有率を高めるか、もしくはイノベーションが必要であるというシグナルかもしれません。

顧客別の分析

「パレードの法則」のように8割の実績を2割の顧客が生み出している際には、2割の顧客別の動向を確認しないといけません。

営業別の分析

たとえ商品やサービスが良くても、顧客に受け入れられるとは限りません。最前線で顧客と接している営業が苦戦している場合も多くあります。

商品別の分析

ここで紹介する事例では、簡単な商品分析をしました。こちらをご覧ください。

自社解体品の3年間の実績がこちらです
他社品の3年間の実績がこちらです

業務を知らない方でも、こちらのグラフを見て、目標未達の課題が「他社品ではなく、自社解体品にある」と理解できるかと思います。

目標設定のコツは、全体像を捉え課題を共有することです。

②数字の因数分解   

課題となる項目が明らかになっても、それが日常の業務に結びつかないことが多くあります。それでは、なかなか成果に結びつきません。

そこで課題を掘り下げていき、課題と「業務を繋げる」ことが必要です。

そして、その「繋げる」作業に、数字を使うことで具体的な対策につながっていきます。

例えば・・・。

自社解体品を販売するまでの業務を、逆算していきます。

  • 問合せが多いと良いけど、在庫がないと問合せに応えられません。(販売に繋がりません)
  • 在庫が多いと良いけど、商品登録をしないと在庫は増えません。

(もちろん、売れる商品を登録しないと、在庫数だけ増えて、販売には繋がらないことは言うまでもありません)

  • 商品登録が多いと良いけど、登録できる商品を取り外さないと、商品登録数は増えません。
  • 登録できる商品が多いと良いけど、取り外す指示を出さないと、登録できる商品は増えません。
  • 取り外す指示が多いと良いけど、指示を出せる元となる自動車の仕入れがないと、指示は増えません。

成果が上がっていないということは、上記のどこかの数字に問題があるということです。

目標設定のコツは、課題を掘り下げ数値化することです。

③責任と役割の明確化 

やるべきことが見えて、どのぐらいやればいいかも見えて、どのくらいのスピードでやればいいかも見えれば、後はやるだけです。

この事例では、誰が何をいつまでにどのくらいやるのかということを明確にしました。

各自が関わる業務で、責任を持てる項目は変わってきます。

販売に直接関わっていないのに、売上目標の責任は負えませんし、もし負わされたら決してモチベーションは上がらないでしょう。

目標設定のコツは、責任と役割を明確にすることです。

さいごに       

ここでご紹介した3つの取り組みで、数字は変わります。実際に変わりました!!

しかしこれを継続していくためには、さらに改革が必要です。

それは、目標管理の仕組み化です。

その仕組みができることで、マネージメントが機能していきます。

この仕組み化ができないと、どんどん業務量が増え、気合と根性の勝負になっていきます(笑)

気合と根性というフレーズは、嫌いではありませんが、生産性の高い組織を目指すなら、仕組み化がとても大切です。

数字力に興味のある方は、こちら【「数字に弱い」社会人のための苦手意識を克服する方法】もぜひご覧ください。