「メールをもらったのですが、訪問すればいいですか?」
この一言から始まる出来事で、学んだことをシェアします。
人間はやる気になったら、予想以上の力を発揮することがあります。一方で、些細なことであっさりやる気を失ってしまうのも人間というものです。
そんな人間のやる気を引き起こしたり、呼び起こすためには色々な方法がありますが、ここでは・・・。
人材育成において、羞恥心を活用した手法を事例と共にご紹介します。
目次
- はじめに
- 目的を明確にする
- やることを明確にする
- 刺激を与える
はじめに
約5分で読める物語です。
登場人物は次の3人です。
- A部長:勤続年数11年の兼務部長です。
- Bさん:勤続年数2年のパート社員です。
- C課長:勤続年数23年のベテラン課長です。
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Bさんが、お客様から次のようなメールをもらいました。
「御社の商品に興味があるので、詳しく教えていただけますでしょうか?」
これを聞いたBさんは、C課長に「対応をお願いします」とメールを送りました。
するとC課長から「訪問すればいいですか?」とメールが来ました。
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このC課長は、ベテラン課長ではありますが、普段の業務は仕入れの営業です。だから「販売に関することが不得意なのは仕方がないけど、パート社員のBさんにこのように聞くのはいかがなものか?」とA部長は頭を抱えていました。
しかし、ダメなところを指摘するだけでは物事は前に進みません。
ではどうしたらよいでしょうか?
皆さんもぜひ一緒に、考えてみてください。
それではここから事例の紹介と共に、学びを3つご紹介します。
①目的を明確にする
営業マンの目的は、営業活動(ここでは販売)を通して、お客様に喜びを提供することです。
ですから、訪問するかしないかは極論どちらでもいいのです。
言い方を変えれば訪問するかどうかは、お客様の状況次第なのです。
どんな業務でも、目的を理解することが大切です。
②やることを明確にする
目的を明確に伝えるだけで、「後は自分で考えて〜」というコミュニケーションの取り方もあります。
ちなみに私はこのコミュニケーションが好きです。
なぜならばそうすることで、相手の「思考力」と「創造力」が磨かれるからです。
しかし、これが成り立つためには、相手のレベルが伴っていないといけません。
今回の事例であれば、「後は自分で考えて〜」というのは難しいレベルなので、「やることを明確に」する必要がありました。
【例えば、訪問の場合】
相手の状況が分からなければ、説明はしないこと。
そのかわり、次のことを聞くように指示をします。
①相手の理想を聞くこと
相手が「こうしたい」と思っていることをヒアリングします。
ただの欲求という目先のことではなく、未来に描く理想です。
ここを聞かずに話をすると、問題しか見えず課題が見えなくなります。
②現状を把握すること
相手の「お困りごと」をヒアリングします。
①を聞かずに、②を一生懸命聞く人がいますが、それでは商談が進みにくくなってしまいます。
③課題を整理すること
課題は、「理想」と「現状」のギャップです。
だから「理想」のないところに「課題」は存在しません。
相手に「問い」を与えながら、課題を整理します。
④課題解決のサービスを提案すること
ここで、相手企業様の課題解決に自社の商品が貢献できることを提案します。
⑤クロージングをすること
相手に「問い」を与えながら、交渉で不足している内容を整理します。
相手が「Yes」と発する条件(ステップ)を把握し、クロージングをします。
⑥Noの返事であればYesまでのロードマップを共有すること
Noの返事をもらってからが、本当の交渉(営業)です。
ロードマップを作成しながら、①〜④のおさらいをします。
⑦はじめの一歩をお互いにコミットすること
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人は何をしていいか分からないと、パニックになります。
そうならないために「やることを明確にする」は大切なのです。
③刺激を与える
ここでいよいよ、人材育成における羞恥心を活用する手法の紹介です。
C課長が今後、新しい営業ができるようになるためには、必須条件があります。
それは「C課長の成長」です。
では、どうやってその成長の機会を創出すればよいでしょうか?
それを考えるのがA部長の仕事ですが、皆さんだったらどうするでしょうか?
一緒に考えてみてください・・・。
今回の事例では、A部長が、Bさんを育てることに注力したのです。
つまり、C課長の人材育成のためにBさんを育て、羞恥心を活用する手法をとったのです。
C課長は社歴も長く、素直にそして謙虚に受け止める姿勢がないと、成長は期待できません。
だから社歴が浅いパート社員のBさんにそのお尻たたき役を期待したのです。
例えば次の場合、どちらが「やらなきゃ」って思いますか?ということです。
- いつも怒られている社長から「しっかりやれよ〜」と怒鳴られる
- 3ヶ月前に入った新人が自分を追い越す勢いで成長している
モチベートの方法は人それぞれです。
だから、今回の事例が正解というわけではありません。
ただ今回は、C課長の「羞恥心」を人材育成に繋げようとしたのです。
もちろん、「羞恥心」をきっかけに成果が出せれば、「自尊心」という1ランク上のモチベーションを獲得できるのです。