私が経営コンサルタントを本業としていた時に、最も多い問い合わせの1つが・・・
「人事評価」に関する内容でした。
もちろん、人事や組織の仕組みづくりが得意なコンサルティング会社だったということも理由の1つにはあったと思いますが、経営者の抱える大きな悩みの1つが「人事評価」であることは間違いないかと思います。
そして人事評価に悩む原因は、人材育成です。
目次
- 創業社長の勘は鋭い
- カンピューターの限界
- 人事評価の絶対条件
創業社長の勘は鋭い
人事評価導入絶対条件をお伝えする前に、まずは当時どのような形で人事評価に関する問い合わせがあったかをお話しします。
1番多いのは、次のようなパターンでした。
問い合わせをされるのは、主に創業社長です。
そして、それまでの社員の評価はどうしていたかというと、社長自らが行っていました。
根拠は自分の目で見た仕事ぶりで、いわゆる鉛筆なめなめの評価です。
しかし私の経験上、この人事評価はかなり妥当であることが多いです。
つまり人事評価は当たっているということです。
それだけ創業社長は観察力があり、社員に対する関心と愛着があり、応援する気持ちが強い人が多いということです。
そして・・・
何よりも創業社長は1から10まで業務を理解していますので、本人の力量を評価するための指標を社内の誰よりも正確に理解していることが多いのです。
例えば、ある社員が残業をしていたとします。
- その残業は、仕事量が多いのかそれとも本人の作業効率が悪いのか。
- その指導をすべき上司の教え方は、適切なのか。
- そもそも上司自身は、業務をしっかりと理解できているのか。
- そもそも上司として、到達すべきレベルに達しているのか。などなど。
ほとんどの場合、創業社長が一番分かっています。
ではその根拠はどのように提示されているかというと・・・。
そうです!!・・・、創業社長の頭の中です。
これをカンピューターなどと揶揄する人もいますが、私の経験上このカンピューターはかなり正確です。
変に人事評価制度をつくるよりも、創業社長と社員のコミュニケーションの仕組みづくりを構築するほうが、はるかに組織に良いインパクトを提供できます。
カンピューターの限界
しかし、そんな創業社長もある時から人事評価に関して悩みだすようになります。
それは、ある一定規模を超えて、社員を見切れないとか、現場が分からないなどの状況が訪れるときです。
ではその一定規模とは、どのくらいの規模なのでしょうか?
もちろん、組織体制や拠点数など様々な状況が考えられますので一概には言えませんが、私の経験上社員数が30名というのが1つの分岐点になります。
そこでどんな評価制度をつくっていけばいいかを悩み出します。そんな背景があって、人事評価に関する問い合わせが多くありました。
つまり人事評価をしたいけど、直接見られなくなってきたらどう評価したらいいかが分からない。
だから適正な評価ができるような制度をつくりたいということです。
きっかけはもちろんオッケーですが、このまま制度を構築すると、ほぼ望んだ結果は得られません。
それはなぜでしょうか?
きっかけは適正な評価制度をつくりたいということですが、本当に望んでいる結果は適正な評価制度ではなく、社員が育つということだからです。
鉛筆なめなめで評価をしていた頃は、「こういうところがまだまだなんだよな〜。でも頑張っているし自信は持ってほしいな〜。そんなことを伝えたいし、何とか成長してほしいな〜」という気持ちを持って、「評価」を行っていました。
しかし「適正な評価をできるようにしないといけない」という気持ちを持って「評価」を行ってしまうと、「育ってほしい」という想いがない人事評価制度になってしまいます。
つまり・・・、
人を評価するためにつくる人事評価では、人を評価するためだけの仕組みが出来上がります。
しかし・・・、
人を育てるためにつくる人事評価では、人材育成のための仕組みが出来上がります。
そのための手段として評価制度が機能します。
これはとても大きな違いであり、企業で間違ってしまう最も多い例です。
人事評価導入の絶対条件
だから、人を育てるために人事評価制度という手段を使いたいのであれば、絶対的に必要なことがまず3つあります。
①会社ビジョンの明確化
それは、どんな会社にしたいのかという理想像です。
なんのために会社は存在するのかという理念や、そのためにこれから◯年後にこんな会社にしていくという目標などを含め、会社の未来を社員にも見える状態にすることが大切です。
②理想の社員像の明確化
会社ビジョンを明確にした上で、ではうちの会社で働く社員はどんな人であって欲しいかという理想像です。
これを明確にした上で、人事評価制度の構築に着手するのが基本的な考え方です。
③社員に評価制度を構築する目的を説明
「人を評価する」という行為は、とてもセンシティブです。
さらに「評価される」側の人にしてみれば、なおさらです。だからこそ、どんな目的で評価制度を構築するかを共有することが重要です。
制度だけつくって機能させればいいというような仕組みだけを考えていても、仕組み化はできません。
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