「賢者は最悪を想定して、前向きに生きる」という言葉があります。
ここには2つの要素があり、前向きに生きるだけでなく、最悪を想定するということが大切なのです。
会社でいえば、いくらヒット商品を生み出し、世の中の注目を集めたとしても、倒産をしてしまったら、その先の未来を創り出すことはできません。
だから経営者は、常に最悪を想定して行動しなければいけないのです。
最悪を想定するというと、ネガティブな印象を持つ人もいるかもしれませんが、それは決して後ろ向きなのではなく、したたかなのです。
ちなみにしたたかという言葉は、漢字にすると「強か」と書きます。
だから、最悪を想定することは、賢者の条件の1つなのです。
ここでは、ゴルフがビジネスに通じる理由をご紹介します。
目次
- ミスショットでつくる
- プロテストの事例
- リスクマネジメント
ミスショットでつくる
私はゴルフの研修生時代に、コーチである先生から、ゴルフは「ミスショットでつくるゲーム」だと教えてもらいました。
正直最初はピンと来ませんでしたし、ゴルフは「ナイスショットでつくるゲームなのではないか」と思いましたが、そうではないのです。
そのことを今は実感していますし、ビジネスにも活かされています。
ちなみに、プロゴルファーでも1ラウンドでナイスショットだと自覚できるのは、3打程度だそうです。
つまり1ラウンドを72打で計算すると、ナイスショットが打てる確率は約4%ということになります。
「そんなことはないでしょう〜」と思われる人もいるかもしれませんし、私も最初はそう思いました。
しかしプロは技術が高いので、ミスショットのレベルも高いため、周りの人が見るとミスショットに見えないのです。
つまり先程の数字でいくと、プロであっても1ラウンドで69打はミスショットだということです。
つまり、プロであっても69打のミスショットでゲームをつくるのがゴルフなのです。
プロテストの事例
「ミスショットでゲームをつくるのがゴルフ」だとすれば、大切なことは「いかにミスをするのか?」ということです。
これがプロの思考であり、大切な考え方であることを私は実感しています。
そして、そんなことを痛感した事例をご紹介します。
共に練習をしていて、私よりもはるかに上手だったSさんが、プロテストを受けるにあたって、先生と事前にコースマネージメントの作戦会議をしている時のやりとりをご紹介します。
私も横でそのやりとりを聞いていました。
その時にフォーカスしていたのは次のようなホールでした。
このホールを前に、あなただったらどんなことを考えますか?
まず大切なことは、最悪を想定することです。
ではここで最悪のケースはどのような場面でしょうか?
多くの人が林に打ち込むことだと答えますが、その林とはどこのことでしょうか?
林であればどこでも同じではないのです。
最悪の場所は、左の林です。
なぜならば、左の林に打ち込んでしまうと、前にも右にも打つことができず、後ろにしか打つことができない可能性が高くなるのです。
そして後ろにしか打つことができなければ、次のショットもグリーンに向かって打つことができないばかりでなく、右前方に少し打つことしかできないかもしれません。
ちなみに、右の林だとどうでしょうか?
仮にそこに入っても、右の林は距離が遠いため、奥まで入る確率が下がり、左に出せる可能性は高いですし、左に打てれば次にグリーンを狙える可能性は高いのです。
では「右のバンカーはどうなの?」と考える人もいるかもしれませんが、ここからは自分の技術と相談して、いかにミスするかを考えることが大切です。
仮に自分の技術が低い時には、右のバンカーでもOKだという戦略も前向きなものになるのです。
何よりも大切なことは、最悪を想定することなのです。
では左の林に打たないために、どうすれば良いのでしょうか?
技術的なことは割愛しますが、基本的には左に曲がるドロー(フック)ボールで打つことです。
ドローで狙うことで、打ち出しのラインが右になり、仮に曲がらなかったとしても右のラフか林であり、予定通りに曲げられればフェアウェイに球を運ぶことができるのです。
そのことを頭で理解していたSさんですが、本番では右に曲がるフェード(スライス)ボールで狙い、左の林に入れてしまったのです。
では、なぜフェードボールで狙ったのかというと、それはフェアウェイの良いポジションに打つためには、フェードボールしかイメージができなかったからだそうです。
試合後にこの報告を受けて、先生が落胆し失望したことは言うまでもありません。
そしてこれはショットのミスではなく、マネジメントのミスであるという分析ができると、未来のスコアアップは期待できますが、その反対であればゴルフにおける成長は望めないのです。
リスクマネジメント
ゴルフには「一発逆転」がありません。
仮にボクシングであれば、いくらポイントを取られても、一発でノックアウトすることができれば、勝利を手にすることができます。
仮に柔道であれば、技有りや有効のポイントをいくら取られても、1本をとることができれば、それまでのマイナスポイントを帳消しにすることができるのです。
しかし、ゴルフはそうはいきません。
1打1打の足し算でスコアを積み上げていき、その合計の打数で競い合うスポーツなのです。
だから、大きなミスをしてはいけないのです。
ゴルフをしていると「ナイスショットをした時が気持ちいい」とか「ジャストミートした時の感覚がたまらない」と言う人もいますが、良いスコアで回りたいと思うのであれば、大きなミスをしないリスクマネジメントが大切になってくるのです。
だから、ゴルフは「ミスショットでつくるゲーム」であるという理解が大切であり、それがゴルフの醍醐味であり、ビジネスにも通じることなのです。
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