これまでの「交渉術の仕組み化①〜⑤」では、交渉に臨む前の心構え、必要なスキル、トレーニング、武器の整備(営業資料の整備)、情報収集、仮説思考などをお伝えしてきました。
では、実際に交渉の現場では、何を気をつけたらいいのでしょうか?
ここでは実戦で大切な交渉術をご紹介します。
しかし細かいことを書けるほどのスペースも、文章力も私にはございません(笑)これって逃げですかね!?(笑)
ですからここでは交渉の実戦で大切なポイントを5つだけご紹介します。
目次
- 場数を踏む
- 事前にシナリオを描く
- 現場で仮説を立てる
- クロージングは直球
- 契約行為は大切に
①場数を踏む
交渉の現場において重要なことは、場数を踏むこと。
交渉の現場でしか学べないことが多くあります。
経験をしないと分からない、経験をしないと得られないスキルが多々あります。
交渉術に限らず、多くのスキルはある一定の量を超えてから、質の向上に転化していきます。
ですからまずは量を増やすこと、経験値を上げることが重要です。
②事前にシナリオを描く
交渉は、どのような展開になるかは分かりません。
しかし、シナリオを事前に描いておくことで、ゴールに向かって一直線のイメージだったものが、仮に途中で曲線になっても再度ゴールに向かうように修正力が働きます。
そしてそのシナリオの先には「最高のゴール」があります。
そのゴールは、自分が望む「最高のゴール」であることはもちろんですが、交渉相手が望む「最高のゴール」を踏まえておく必要があります。
最高のゴールとは、交渉に望む双方の共通のゴールです。
一方で「最悪の結末」を想定しておくことも重要です。
「賢者は最悪を想定し前向きに生きる」です。
イメージとしたら、次のような絵になります。
③現場で仮説を立てる
交渉では、事前にシナリオを描いていても、その通りにはいかないことが多くあります。
先程の修正する力を発揮するためにも、交渉現場での仮説思考が必要になります。
では、その仮説の元となる情報とは・・・。
- 会話内容
- 言葉遣い
- 表情
- 行動
- 仕草などなど
今いる交渉の現場で得た情報をもとに、相手の心理を想像します。
現在は、ポジティブな捉え方なのか、それともネガティブなのか・・・。
ポジティブであるならばそのまま交渉を進め、ネガティブであるならば修正するための「問い」が必要になります。何度も同じことをいいますが・・・、
交渉術において「問い」は常に重要です。
④クロージングは直球
人は新しいことに挑戦する時や、変化を受け入れる時に、大きなエネルギーを必要とします。
それは、なぜかというと「変わる」ことよりも「現状のままで変わらない」ことの方が、安心であり未来が予測できるからです。
では先ほどご説明した、「挑戦」や「変化」を選択する時に必要な、大きなエネルギーの源はどのようなものでしょうか?
例えば・・・。
- 夢
- 情熱
- 熱意
- 憧れ
- 恐怖
- 危機感などなど
しかし、このような大きなエネルギー源があってもなかなか決断できないのも人間です。
だからクロージングとは、相手の決断を後押しする行為なのです。
そしてクロージングは端的に直球勝負です。
「契約は問題ないですか?」
ここで大切なことが1つあります。
それは、クロージングの先に相手が望む未来が待っているかどうかです。
「相手の望む最高のゴール」に向かっていれば、相手の立場に立ってためらわずにクロージングをかければいいのです。
もし、こちらの提案が「相手の望む最高のゴール」に向かっていなければ、心のどこかに罪悪感を持ちながらクロージングをすることになります。
どこかに罪悪感を持ちながら営業をして、「私は営業が苦手です」という人がいますが、このパターンが多いのではないでしょうか。
だから企業の理念や、商品コンセプトや、営業資料はとても大切になります。
自分たちの儲けや利益のためだけであれば、相手の心に響く営業活動は難しいでしょう。
⑤契約行為は大切に
せっかくクロージングが成功し、相手から「YES」の決断をもらったのに、時間をおくと「やっぱりやめます」という場合が少なくありません。
先ほどもご説明したように、クロージングでは大きなエネルギーを必要とします。
だから「挑戦」や「変化」を選択した時は、ちょっとした高揚状態になっています。しかし、その時点ではあくまで口約束です。
人の決断とは、脆く儚いものです。
時間が経てば経つほど見えてくるのは・・・。形の見えない想像の未来ではなく、確実に形の見える目先の出費です。
だからクロージングの後に契約行為を交わし、すぐにその先の未来に向けた話が必要です。
未来をイメージして共有する作業が必要になります。
なぜならば、目の前で「挑戦」や「変化」を選択した理由は、これから先の未来のためだからです。
交渉の現場では、これ以外にもたくさんの必要なことがあります。
そして多くを学ぶ貴重な機会が、交渉の現場にはあります。
そして、組織として成果を上げるためには、交渉術の仕組み化が大切になります。
交渉に関して興味のある方は、こちら「コミュニケーション能力の課題が分かる本3 〜相手に喜ばれる交渉術の5ステップ〜」もぜひご覧ください。