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コミュニケーションスキル, コミュニケーションの仕組み化

否定する話し方は時に人をダメにしてしまう 〜叱咤激励は激励が条件〜

「なんでこんなことができないの?」

「なんでこんな風に考えられないの?」

「なんでこんなことも分からないの?」

こんな風に「まったくも~(怒)」って思うことってありますよね。

そんな時に、その気持ちをどうやって伝えますか?

そのまま伝えたい気持ちもあるかもしれませんが、少し注意が必要です。

なぜならば、この時の話し方によって、伝わり方が変わってくるからです。

伝わり方が変わるということは、相手の受け止め方が変わるということです。

相手の受け止め方が変わるということは、相手の行動が変わるということです。

だから、もし否定する話し方をしたいという時には、相手の行動がどう変わる可能性があるのか、どのように変わって欲しいのかを考えて話すことが大切です。

また、伝える力とは「情報を正しく伝える力」ではなく「目的に沿って情報を届け、相手の感情や行動に好影響を与える力」であるという理解も大切です!

目次         

  • 否定する話し方
  • 否定しない話し方
  • 話す目的

否定する話し方    

叱咤激励という言葉があります。

どんな意味かを知らない人はいないと思いますが、念のため辞書を引いてみると、次のように書いてあります。

「叱咤激励」という言葉は「叱咤」と「激励」という2つの言葉が1つになって構成されている四字熟語です。

「叱咤」には「大声で叱りつける」という意味があり「激励」には「相手を励ます」という意味があります。

つまり冒頭でご紹介した「なんで◯◯ができないの?」という叱咤をする背景には、相手を励ますという激励が伝わると、叱咤激励になるのです。

しかし「なんで◯◯ができないの?」という叱咤を受けて「そうだよな、もっと頑張らないとだめだな」と受け止める人であればいいのですが、そのように受け止められない人もいます。

だから、話し方は時と場合に応じて変えていく柔軟さが大切になってきます。

そして何よりも相手を見て、相手の立場に立った話し方を考えていく冷静さが大切になります。

詳しくは、こちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」をご覧ください。

また「なんで◯◯ができないの?」という否定的な話し方を続けると、次のような影響も出てきます。

それは何度も同じように否定的な話し方をされることで「僕はできないんだ」とか「私はダメなんだ」という認識を知らず知らずのうちに思い込んでいくという危険性です。

だからもし相手の成長を望む話し方をしたいのであれば、引き出しを増やしておくことが大切です。

否定しない話し方   

では否定しない話し方をするには、どうしたら良いのでしょうか?

簡単な解決策は「なんでこんなこともできないの?」ではなく「なんでこんなこともできるの!!」と言うことです。

確かにそれは理想ですし、人の長所に目を向けることは大切ですが、常に褒めるだけというのはなかなか難しいものです。

人の成長を望む時には、敢えてその人の改善点や課題に目を向けることを優先すべき場面もありますよね!

そのようなことも踏まえて、否定しない話し方をするには、どうしたら良いのでしょうか?

そんな時には大切なことは「伝える」のではなく「問いを投げる」ということです。

具体的には次のような感じです。

  • 私はこうしたらいいと思うけど、あなたはどう思う?
  • これを追加したらもっといいと思うけど、あなたはどう思う?
  • こんな考え方もあったらいいかなと思うけど、あなたはどう思う?

あるべき論で「あなたは◯◯しなければならない」と言い「なんでこんなこともできないんだ!」という話し方もありますが、それとは別に「あなたはどう思う?」という「気づきボール」を投げるバリエーションも持っていると伝わり方は変わっていきます。

伝える目的      

伝える価値は、伝える目的によって決まります。

つまり「情報を正しく伝える」という目的であれば「どれだけ情報が正しく伝わったか」ということで「伝える価値」が決まっていきます。

一方で「目的に沿って情報を届け、相手の感情や行動に好影響を与える」という目的であれば「相手の行動がどれだけ変わったか」ということで「伝える価値」が決まっていきます。

叱咤激励の意味で「否定する話し方」をする時もあるでしょうが、ひょっとしたらそのメリットはあまり大きくないかもしれません。

言い方を変えれば、家族や心の通い合った信頼関係がある人に対して話す時や、心からの激励の思いが溢れるような時以外は、一度相手の立場に立ってから話し方を検討する方が得策かもしれません。

力関係や立場が上だと、どうしても「否定的な話し方」をして、頭をフル回転させずに楽をしてしまうことがありますが、そんな時こそ要注意ですね。

改めて話し方というのは、とても難しいものです。

もし相手の成長を望む話し方を意識するのであれば、バリエーションを増やすことが大切なのです。

なぜならば世界に同じ人は、1人としていないからです。

だから日々勉強ですね!!

「目的に沿って情報を届け、相手の感情や行動に好影響を与える」という伝え方については、こちら「話が分かりやすい人になる 〜「伝える力」をグングン伸ばす5つのステップ〜」をご覧ください。