言葉遣いが、人の感覚に与える影響は様々です。
「それが面白いんだ」という一面もありますが、一方で「そこが難しいんだよ~」という場面も多々あります。
これは個人の感情の話ですが、ビジネスにおいても同じことが言えます。
ここでは、言葉遣いが悪いこととコミュニケーション能力とプラスαの関係をご紹介します。
目次
- ある人のある一言
- コミュニケーション能力
- 言葉遣いは心の映し鏡
ある人のある一言
これはある会社の事例です。
Y社長(46歳)がH部長(61歳)に依頼していた案件があり「あれはどうなりましたか?」と聞いていました。
しかし、なかなか返事が来ないので、たまらずY社長は同じ部署のJ課長(45歳)に「あれはどうなった?」と聞いていました。
ちなみにここでは、Y社長がJ課長ではなく、もう一度H部長に催促していれば、この後に起こる混乱は防げたかもしれませんが、それはさておき話を進めます。
J課長はその案件のことがわからないので、H部長に「社長から言われているあの案件はどうなりましたか?」とメールを送ると「あれは◯◯になったよ」と返事が返ってきました。
実はY社長がJ課長に聞いた直後に、H部長がY社長に報告をしていたのです。
案件としては問題なく済んだのですが、J課長が「あれは◯◯になったよ」という返事をH部長からもらった後に、次のようにメールをしました。
「Y社長には、報告済みでしょうか?」
この一言はどう思われますか?
コミュニケーション能力
ちなみにこのメールをもらったH部長は「はぁ〜、なんだ~この言い方は!?」と口にして、怒っていました。
もしあなたが、H部長の立場だったらいかがでしょうか?
このJ課長の言い方は、とてもシンプルにいうと失礼なのです。
年配者に対して、そして上司に対して、配慮がないのです。
人間関係ができていたら「なんて言い方してんだコラ~!!」と直接明るい雰囲気で冗談を言って、その後に「これから気をつけるよ~」となっていたかもしれませんが、このH部長とJ課長の間にそのようなフランクな人間関係はなかったのです。
要は「あなたは義務を果たしたのですか?」「あなたはやるべきことをやっていますか?」と、とても偉そうに上から目線のイメージで伝わってしまったのです。
例えば、次のような対応をすればH部長を怒らせることはなかったかもしれません。
お返事ありがとうございます。実は社長からも聞かれているので、社長とも共有しておきます。
このように返事をしておけば、怒ることはないでしょうし「社長とは既に共有しているから大丈夫だよ~」と普通に返事が返ってきたでしょう。
また言葉だけで伝えるのはとても難易度が高いので、電話をするとか、もしくは会って直接伝えればこのような問題は起こりにくかったでしょう。
今回の事例ではJ課長のコミュニケーション能力不足により、大したことではない出来事が、場合によっては人間関係の決裂にまで繋がってしまうかもしれない出来事になってしまいました。
言葉遣いは心の映し鏡
今回の事例の原因は、J課長のコミュニケーション能力不足にありますが、この事例はもう少し奥が深いのです。
「Y社長には、報告済みでしょうか?」
この言い方の背景には「H部長はいつも報告をしっかりやってくれない」という不満がありました。
そうなのです。普段の思いが言葉遣いに現れるのです。
言葉には心が映ってしまうのです。
よくよく考えるとそのような伏線がないと、H部長もそんなに怒らなかったかもしれません。
だから普段から気をつけなければいけないのです。
どんなことに対して気をつけなければいけないかというと、もちろん「考え方」です。
相手の欠点を見出しその人を評価することで終わるのではなく、それを踏まえて自分がどのように行動すればいいかを考えることが大切なのです。
しかしこの「考え方」を正していくという行為は、決して簡単ではないのです。
だから「考え方」を意識するだけではなく「言葉遣い」に気をつけることも大切であり効果的なのです。
なぜ効果的かというと、意識がしやすく、さらに出来ているかどうかが分かりやすいからです。
「考え方」を正すと「言葉遣い」も変わっていきますが、これは時間がかかります。
一方で「言葉遣い」を変えることで「言葉遣いが悪い」ことが直るだけでなく、結果的に考え方が変わるという方法もあるのです。
「形を変えて心を変える」ですね!!
言葉遣いの続きはこちら「伝える技術の基本 〜言葉遣い編〜」もご覧ください。
習慣化する時には、とても大切な思考回路です。
最後に・・・マザーテレサさんは次のように言っていました。
「思考」に気をつけなさい、それはいつか「言葉」になるから。
「言葉」に気をつけなさい、それはいつか「行動」になるから。
「行動」に気をつけなさい、それはいつか「習慣」になるから。
「習慣」に気をつけなさい、それはいつか「性格」になるから。
「性格」に気をつけなさい、それはいつか「運命」になるから。
コミュニケーション能力の基本については、ぜひこちらもご覧ください。