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色々なスキル, コミュニケーションの仕組み化

文章の書き方次第で、人の感情は見え隠れするものです。

私が手帳に挟んでいる、マザーテレサさんの次のような言葉があります。

 

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

 

このように、思考は言葉になり、言葉は行動になっていくのです。

だからこそ言葉は重要なのですが、その言葉を繋ぎ合わせた文章もとても大切になってきます。

良くも悪くも、文章の書き方次第で、人の感情は見え隠れするものなのです。

目次         

  • 言うべきことを◯◯◯
  • 感情は言葉に出る
  • 文章の書き方は「締め」

言うべきことを◯◯◯ 

仕事をしていると「言うべきことを言うように」というフレーズが出てくることってありませんか?

多くの場合、このフレーズの背景には、周囲の反応を過剰に気にして、自己防衛のために「言いにくいことを言わずにいる」という状況があります。

 

しかし、本当に相手の立場に立ったら「言わなければいけない」とか「気づかせてあげないといけない」という状況があります。

そんな時に自己防衛よりも、相手の立場を優先すると「言うべきことを言うように」なれるのかもしれません。

 

そして「言うべきことを言うように」することは大切ですが、もっと大切なことが「言うべきことを伝える」ということです。

仮に言うべきことを言っても、それが相手に伝わっていなかったり、正しく伝わっていなかったりすると、意味がなくなってしまいます。

感情は言葉に出る   

しかし「言うべきことを伝える」ということは、意外に簡単ではありません。

さらに口頭で伝えるよりも、文章で伝えることの方が、難易度が上がっていきます。

そして難易度が高いということは、文章の書き方によっては、感情が見えやすくなってしまうということなのです。

 

ここで1つ事例をご紹介します。

これはコロナ禍の中で、ある社長が社内に向けて送ったメールです。

 

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今コロナの感染で休みが増えてきて、2割近くの社員が自宅療養になりました。

みんな少しでも具合が悪いと「感染したかも」っていう雰囲気がある中で、少し体調が悪いけれども、朝の会議に出ようと頑張って出社した社員がいます。

熱があって汗がびっしょりになっていたので帰ってもらったけど、そういう人がいることもぜひ知っておいてください。

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この時に、社長は何を言いたかったのでしょうか?

それは・・・

 

大変なことはあるけど、気概を持ってやってほしいということでした。

さらに、感染が広がり出勤する社員が減っていることに対する焦りと苛立ちも少しあったようです。

1人の行動を讃えつつも、その他を否定するような印象はありますよね。

 

では、メッセージを受け取る側はどうでしょうか?

 

多くの人は「何が言いたいのか分からない」という反応でした。

「少しくらいの熱だったら無理しても出てこい!」と受け止めた人もいましたし「ちょっとくらいのことだったら検査なんかに行くな!」と受け止めた人もいたようです。

さらにある人は「休むなっていうことなの!?」と受け取っている人もいたようです。

こうやって客観的に見ると「言うべきことを言っている」けれども「言うべきことが伝わっている」という状況になっていないことが残念ですね。

これがもし口頭であれば、相手の反応を見て補足するチャンスが訪れますが、一方的にメッセージを届ける文章では、残念ながらそのチャンスが訪れません。

文章の書き方は「締め」

では、どうすれば良かったのでしょうか?

結論からいうと「言いたいことを語尾に書く」ということです。

つまり「締めの一言」です。

冒頭に書くことも大切ですが「締め」には必ず書くことがポイントです。

先程の文章の締めは「知って欲しい」でしたので、文章を読んで「知ることができた」のであれば、めでたしめでたしなのですが、この社長の文章が報告ではなくメッセージであることを社員は理解していました。

そして残念ながら、そのメッセージが伝わっていなかったのです。

そうならないための文章の書き方として、語尾を明確にすることが重要になってきます。

そこで、2つ参考事例をご紹介します。

 

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今コロナの感染で休みが増えてきて、2割近くの社員が自宅療養になりました。

そんな中、少し熱があっても頑張って出社してくれた社員がいました。

その意気込みは素晴らしいし、同じ思いの人もいるでしょうが、今は感染防止を最優先し、少しでも体調に異変があったらすぐに上司に報告して、診療を優先してください。

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このように書くと、何を言いたいのかが分かります。

意気込みのある社員を讃え、同様の気持ちを持った他の社員を肯定しつつ、最終的には「診療を優先してください」という内容が伝わります。

 

さらに次のような語尾が加わると、伝わる内容も変わってきます。

 

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さらに体調が良くなったら、家でできることを考え、もし良いアイディアがあったらメールをください。

今回の件は、結束力を強める良い機会だと思うので、会社に来られる人もそうでない人も、同じ仲間として乗り切ってきましょう。

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コミュニケーション能力の「伝える力」においても、語尾である「締め」は重要ですが、文章の書き方においては、さらにその重要度が増すのです。

伝える力については、ぜひこちら「話が分かりやすい人になる」もご覧ください。

文章の書き方に興味のある人は、こちら「ビジネスに必要な文章力の基本が分かる本」もぜひご覧下さい。