ファシリテーションの技術は、会議やミーティングで発揮されるものですが、その会議やミーティングの意味を感じていないと、せっかくの技術も価値が薄れてしまいます。
極論になってしまいますが、会議やミーティングに価値がなければ、やらなければ良いのです。
マンネリ化している定例会議などを振り返ってみると、毎週の開催を隔週に変えてみたり、定例のルールを必要時のみに変更することが得策の場合もあるかもしれません。
このように、ファシリテーションの技術を考える前に、会議やミーティングの価値を認識しておくことが大切なのです。
目次
- 価値は目的による
- 3人の石工の話
- 目的は◯◯
価値は目的による
では、会議やミーティングの価値とは何なのでしょうか?
それは、目的によって決まります。
何事も、価値は目的によって決まるのです。
視野を広く考えると、人生の価値も目的によって決まっていきます。
何のために生きているのかという目的を認識している人にとっては、その人の人生に大きな価値が生まれていきます。
企業の活動においても、同じことがいえます。
お金を儲けるために事業を行っている企業もあれば、儲けることを手段と捉え、その先に目的を見出している企業もあります。
仕事も同様です。
この世の中にいるほとんどの人は、仕事をしています。
その共通の目的は、生活をしていくためということでしょう。
当たり前のことですが、生活していくためにはお金を稼ぎ生活費を捻出しなければいけないのです。
しかし、お金を稼ぐこと以外にも、仕事の目的を見出している人もたくさんいます。
3人の石工の話
目的の価値をご紹介するために、私の好きな3人の石工の話をご紹介します。
あるところに、世界中をまわっている旅人がいました。
その旅人がある町外れの一本道を歩いていると、1人の石工に出会いました。
石工は難しい顔をして、石を削っていました。
そこで旅人は「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねると・・・、
「何って、見れば分かるだろう。石を削ってレンガを積んでるんだよ!」
「なんで、こんなことばかりしなければならないのかって思ってるし、全く俺の人生ついてないよ」
旅人は、その男に慰めの言葉を残して、再び歩き始めました。
それから、もう少し歩くと、2人目の石工に出会いました。
旅人がまた「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねると・・・、
「何って、見れば分かるだろう。石を削ってレンガを積んでるんだよ!これが俺の仕事で、これで俺は飯を食ってんだよ!」
旅人は、男に励ましの言葉を残して、再び歩き始めました。
さらに旅人は歩いていくと、3人目の石工に出会いました。
そして「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねると・・・、
男は明るく顔をあげて、こう答えました。
「旅人さん、よくぞ聞いてくれました。私は今、後世に残る町の大聖堂を造っているんだ!」
「この大聖堂ができたら、多くの人々がお祈りできるようになるんですよ。多くの人々の役に立つ仕事ができて、私は幸せですよ」
「是非、教会が完成したら見に来てくださいな」
旅人は、またこの地を訪れることを約束して、3人目の石工と別れました。
この時、3人の男たちにとって「目標」は同じです。
1日に何個のレンガを積む、とか。
何時間で効率よく積む、とか。
工期を守るために自分の担当している作業をいつまでに仕上げる、などなど。
しかし、3人の男たちにとって「目的」は同じではありません。
1人目の男は、目的を持っていません。
2人目の男は、生活費を稼ぐことが目的になっています。
3人目の男は、歴史の一部に自分が関わり、世の中の役に立つことが目的となっています。
目標は、他人から与えられることがしばしばありますが、目的は他人から与えられることは多くはありません。
なぜならばその意味は、自分で見出すものだからです。
目的は◯◯
このように、価値は目的によって決まりますが、改めて会議やミーティングについてはどうでしょうか?
「そんな固いことを言わずに、もっとざっくばらんに話し合ったらいいんじゃないですか?」と言われる人もいますが、その時にも目的があります。
例えば「アイディアを出す」とか「ディスカッションをする」という目的で開催する会議やミーティングもあります。
一方で「アイディアを出す」という目的ではなく「決定する」という目的で開催する場合もあるかもしれませんし、時には「情報を共有する」という目的で開かれる会議やミーティングもあるかもしれません。