私は20代で経営コンサルタントの職を選び、様々なことを学びました。
「ブラック企業」という言葉がありますが、自ら進んでやりたくてやっている仕事だと「ブラック」という認識はなく、「このままおいていかれたらヤバイ」という良い意味での「危機感」が勝っています。
20代で最初に経営コンサルタントの世界に飛び込んだ時には、まさにそんな感じでした。
今思えば「ちょ~ブラック」でしたが(笑)
でも批判的なことはまったくなく、皮肉の意味もまったくなく、感謝の気持ちでいっぱいの「ブラック」です。
もちろん世の中も常識も変わってきているので、昔のままでいいということは全くありませんが・・・。
そんな時に教えていただいた言葉が、この「木を見て森を見ず」です。
目次
- 木を見て森を見ずとは
- ありがちなミス
- 森を見るとは?
- 森の視野
木を見て森を見ずとは
まず「木を見て森を見ず」とは「物事の細部に捉われると、全体を見失う」という意味の言葉です。
「木だけを見ていると、森全体を見ることができない」ということから「細かいことにこだわりすぎると、大局的な視点を失ってしまう」という戒めで使われます。
ビジネスにおいては、目の前の仕事や目先の利益に捉われて、本来会社が進むべき方向や目的を見失っている時に使われたりもします。
例えば・・・。
木を見て森を見ず!!
いいか~そんなことはどうでもいい!!
銀行の全体の利益を考えろ!!!
ちなみにこの台詞(せりふ)は、ドラマ「半沢直樹」で大和田さんが半沢直樹に発した言葉です(笑)
ありがちなミス
例えば、製造業で「整理整頓がされていない現場」があって、5Sを意識して「工場をキレイにしよう」と呼びかけていたとします。
そうすると、色々な意見が出てきます。
- これはあっちに置いたほうがいいんじゃない?
- 片付けはこういうルールの方がいいんじゃない?
- これ以上の在庫はしない方がいいんじゃない?
そうすると次は、今出た意見に対して様々な新しい意見が出てきます。
こうなってくると、色々な意見が活発に出て良い印象もありますが、気づくと堂々巡りの会話が飛び交う経験はありませんか?
こんな時はまさに「木を見て森を見ず」になっているかもしれません。
森を見るとは?
では「森を見る」とはどういうことでしょうか?
まずは、こちらの図をご覧ください。
つまり「工場をキレイにしよう」ということは「ムダな在庫をなくす」ためであり「原価を下げる」ためであり「収益を上げる」という目的で行っているのです。
そしてどの視点で物を見るかということは、その人の立場によって変わってきます。
だから人それぞれの目標設定が必要なのです。
例えば・・・
- 一社員の視点:工場をキレイにしよう
- 管理者の視点:原価を下げていこう
- 経営者の視点:収益を上げていこう
このように立場によって役割と責任が変わってきます。
そして本来「原価を下げる」役割を担っている管理者が「工場をキレイにする」ことだけに目を向けていたとしたら・・・
それは「木を見て森を見ず」の状態になっているのです。
森の視野
会話においても「木を見て森を見ず」は重要です。
例えば、こんな人は周りにいませんか?
- いつも細かいところに話が行き、ついつい話がそれてしまう人。
- 1つの意見に固執して、なかなか話が広がらない人。
- 色々な意見をしても、最終的に結論にたどりつかない人。
こんな人は「木を見て森を見ず」の状態になっているかもしれません。
そんな人が、しっかりと「森の視野」を確保するための簡単な対策を1つご紹介します。
それは話の冒頭に「私が今から伝えたいことは3つあります」と言うことです。※もちろん数はいくつでもよく、1つでも2つでもOKです。
自らこのように切り出すと、大項目の3つを伝えようと意識をします。
つまり、こんなイメージです!
あなたが水色の場所に立って下を見ると、大項目の3つ(緑色)も見えますし、小項目の9つ(黄色)も見えます。これが「森の視野」です。
そして大項目が1つしか見えず、小項目も3つしか見えないのが「木の視野」です。
本当は「森の視野」で話したかったのに、話していくうちにいつの間にか「木の視野」になったとか、人から質問されて気づいたら「木の視野」になったとか。
そんな時に冒頭の「私が今から伝えたいことは3つあります」という言葉を思い出して「森の視野」を意識することができれば「木の視野」から「森の視野」に戻ることができるでしょう。
会社であれば経営者やリーダーやファシリテーターの役割を担っている人などは、特にこの「森の視野」が大切であり、頭の中で今回の事例のような「絵」を描けることが重要です!
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