「話を聞いてほしい」という時に、その本心には色々な場合があります。
困っているので「答えが欲しい」と思っている人もあれば、気持ちがおさまらないので「とにかく聞いて欲しい」と思っている人もいるでしょう。
だから「話を聞いてほしい」という相談を受けた時には、その人の本心は何なのかと考え、それを把握することが大切です。
傾聴力がないと言われないためにも、聞く力の簡単なポイントを押さえておきましょう。
大切なことは、相手が問いかけてくれなければ「聞く力」の出番がないのです。
そして、相手から問いかけてきてくれた時には「聞く力」の出番です。
だから、コミュニケーションにおける最初のステップは「問いかける」ことなのです。
目次
- まさかの展開
- 聞く力(傾聴力)の偉大さ
- 存在価値を認める
まさかの展開
ある会社で起きたことですが、私が「聞く力」の大切さを改めて実感した事例をご紹介します。
まずとてもシンプルにこの事例をご紹介すると、次のような出来事でした。
真面目で頑張り屋のYさんが「業務量が増えてきて、自分1人では抱えきれなくなってきたので、業務改善について相談したい」と思って、上司に話しかけました。
しかしその30分後になんと、会社を辞めることになってしまったのです。
まさかの展開です!!
きっとこの展開に、誰よりもびっくりしたのはYさんでしょう。
しかしその背景には、聞く力のない上司の存在があったのです。
聞く力(傾聴力)の偉大さ
私は同席していたわけではないので、Yさんの真意は分かりませんが、後日関係者から聞いた情報から推測すると、1つだけ言えることがあります。
それは上司の「聞く力」の欠如です。
「聞く力(傾聴力)」で、まず大切なことは「見た目」です。
見た目で安心を感じられない人に対して、人は心を開きません。
だから「聞く力」においては、まず気持ちよりも見た目が大切なのです。
詳しくはこちら「傾聴力がある人の共通点 〜コミュニケーション能力を高めるには〜」をご覧ください。
そして、聞く力というキーワードでは、様々な技術(テクニック)が必要になってきますが、大枠でいうと「見た目」の次に大切なことは「相手の真意を把握すること」です。
「相手の真意を把握する」というステップに入ると「聞く力」が「聴く力」に変わっていきます。
「聞く力」が「hear」であれば「聴く力」は「listen」というイメージです。
今回の事例で「見た目」が及第点を得ていたかは分かりませんが「相手の真意を把握する」ことに関しては、できていなかったのです。
このように「相手の真意を把握する」ことができていないと、最初は「相談したい」という気持ちで始まった話し合いも、その道中で「この人に相談してもダメだわ」という心境の変化が生まれ、最終的には会社を辞める気はそこまでなくても、そして本意ではないのにも関わらず「こういうことができないということは、この会社で仕事を続けてはいけないと言うことかな!?」なんて上司から言われてしまい「辞めたい」というよりも「この人はムリ」という理由で「このままだとご迷惑をおかけしてしまうので、辞めさせていただきます」という、極めて曖昧な断り文句が口をついて出てきてしまうのです。
存在価値を認める
人間は、とても感情豊かな動物です。
「怒ったり」「泣いたり」「笑ったり」「喜んだり」「おどけたり」など、人間からこの感情がなくなったらと考えるとゾッとしますね。
一方で人間は、本当に些細なことで、テンションが上がったり下がったりします。
やはり根本的に人間は、脆く儚い生き物だから、お互いに助け合って励ましあって生きることが大切ですね。
だから「話を聞いて欲しい〜」という時には、その人の存在価値を認めてあげることが大切です。
- 「こういうことに悩んでいたんだね〜」
- 「仕事のことを真剣に考えてくれてありがとうね〜」
- 「話してくれてありがとうね〜」
人間は自分の存在価値を認めてもらえると、その認めてくれた人に対して心のガードが下がるものです。
それが、人に対する安心感というものです。
たとえ指摘をされたり、指導されるような時でも、存在価値を認めてもらっているという信頼関係があると、その人の言っていることを受け入れられるものです。
そうすると、いわゆる腹を割って話し合うことができるようになります。
その結果、些細なことや小さな食い違いは、その場で解決できたり、冗談で終わったりします。
つまり「大したことない」のです。
しかしこのような信頼関係が構築できずに、表面上での話し合いを進めると、今回の事例のように大問題になってしまうのです。
「大したことない」出来事が、傾聴力がないために、大問題になってしまうことはよくあります。
どこでもよくあるのではなく、傾聴力のない人の周りでよくあるのです。
「ちょっとしたことなんだからこれから気をつけます」ではまたやってしまうのです。
そこには「スキル不足がある」という謙虚な認識が必要なのです。
だから傾聴力のない人にならないためにも、コミュニケーション能力を高めるためにも「相手の真意を把握する」という聞く力の基本が大切なのです。
「傾聴力」に興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。