上司として部下にコミュニケーションを通して好影響を与えることは、大切な役割ですが、与えようという気持ちが強すぎて、押し付けてしまわないように気をつけなければいけません。
その押し付けてしまう可能性が最も高いものが「あるべき論」です。
「あるべき論」について調べてみると、次のように書かれています。
- 義務を果たすこと
- 理想を実現しなければならないことなどを強く主張する論調
- 「そうするべき」「こうあるべき」という言い回し
「あるべき論」は、自分自身の信念とするような使い方は有益ですが、相手に押し付けてしまうと、時には不必要なものになってしまう可能性があります。
だから、伝え方に気をつけなければいけないのです。
誰もが納得する社会のルールにあるような「時間を守りなさい」とか「約束を守りなさい」ということを守らせることは、間違いなく上司の役目となります。
なぜならば「当たり前のことを当たり前にやる」ということは、組織を構築する上で初歩的なことであり、礎となるものだからです。
しかし「やりがいを持って仕事をするべきだ」とか「果敢に挑戦するべきだ」というようなことは、誰に対しても当てはまるわけではないので、伝え方に気をつける必要があります。
※「あるべき論」については、こちら「べき論で人は動かない」もぜひご覧ください。
目次
- 3つのタイプ
- モチベートは人それぞれ
3つのタイプ
「あるべき論」は大切ですが、伝え方に気をつけなければいけないとしたら、何を意識すれば良いのでしょうか?
それは、相手を知ることです。
もっと具体的にいうと、部下のタイプを知ることです。
仕事をする上で、どんなことに重きを置くかということは、次の3つのタイプに分けられます。
①やりがい
このタイプの人は、自分がやりたいと思っている仕事があります。
このタイプの人は、面接で目立ちますし、受けが良いです。
逆にこのタイプは、相手が「やりがい」を持っていないと「それでいいのか!?」と自分の価値観を押し付けてしまう傾向があるので注意が必要です。
②お金
このタイプの人は、お金に対する貪欲さを持っています。
例えば、途上国から日本に働きに来ている人などは「お金を稼ぐ」ということに凄く執着心を持っています。
なぜならば、稼がなければいけない状況があるからです。
マズローの5段階欲求でいうところの、安全欲求に該当している状況なのかもしれません。
③時間
このタイプの人は、仕事以外のことも大切にします。
ワークライフバランスという言葉もありますが、24時間の使い方を大切にしていて、そのバランスが崩れることに不満を感じてしまいます。
この3つのタイプを考えるだけでも、一辺倒な伝え方では物足りないことが理解できるかと思います。
さらにこのタイプ分け以外にも、人それぞれの個性があります。
だから常に、部下の立場に立ってコミュニケーションが上司には求められるのです。
モチベーションを高く保って仕事をすると、良いパフォーマンスを発揮しやすくなりますが、何によってモチベーションが上がるかは人それぞれなのです。
モチベートは人それぞれ
先ほどご紹介したような、部下のタイプを理解して接することが上司には求められますが、これがビジネスシーンでコミュニケーション能力を活かすということです。
このことを理解していないと、次のようなことが起きてしまうかもしれません。
やりがいを持つことでモチベーションが上がる上司が、部下に「やりがいを持って仕事をするべきだ」と言いながら、新しい仕事を任せたら、その部下はどんどんやる気を失ってしまうことが起きるかもしれません。
逆に、時間を大切にしている上司が、勤務時間内で出来ることを前提にして、部下に仕事を任せていると、やりがいを求めている部下は、いつの間にか転職を決意するということが起きてしまうかもしれません。
このように、人がモチベーションを上げるきっかけは、人それぞれなのです。
例えば、次の3つの言い方であれば、あなたはどれが最もしっくりきますか?
①この仕事は君だからこそ任せられるものなので、ぜひやってくれないか?
② 1ヶ月家を空けることになるけど、手当だけで10万円プラスになるし、ぜひ行ってくれないか?
③もし定時までに終わらなければ、何が終わっていないかを報告してくれれば良いので、この業務を引き受けてくれないか?
あなたのモチベーションの源は、どこにありそうですか?
部下のタイプを知ることで、コミュニケーションを通して心に火をつける伝え方ができるようになるのです。
逆にそのタイプを見誤ってしまうと、心が離れてしまう危険性もあるのです。