専門的な知識や技術を積んでいくことで、社会における市場価値を高めていくことができます。
スポーツ選手であれば、他のチームがお金を積んで「ぜひうちのチームに来て欲しい」というオファーを出すと共に、移籍金という形で市場価値が見えます。
システムやITという分野に詳しい人は、サイバーセキュリティーというような国を守る尊い仕事に就く可能性があります。
しかし、使い方を間違ってしまうと、サイバー攻撃に加担し、犯罪を犯してしまうかもしれません。
だから知識や技術を持っていても、その活用方法が大切になってくるのです。
しかし、見方を変えれば、犯罪を犯しているような人から学ぶこともたくさんあります。
ここでは、詐欺師の特徴に学ぶコミュニケーション能力についてご紹介します。
そんな詐欺師の特徴に学ぶコミュニケーション能力ということを考えていると、人を動かす「6つの心理的原理」(影響力の武器)を知ることになりましたが、とても面白いのでご紹介します。
これは、社会心理学者のロバート・チャルディーニさんが提唱した、人が思わず「YES」と言ってしまう心理的なメカニズムで、詐欺師はこれらを意図的に活用していると言われています。
その6つとは、次のようなものになります。
①返報性(へんぽうせい)
原理:人は他人から何かをしてもらうと、お返しをしなければならないと感じる心理。
詐欺師の手法
最初に小さな親切(無料のプレゼント、特別な情報、お世辞など)を個人的に提供し、相手に「貸し」を作ります。
その後、その恩義を利用して、より大きな要求(契約、金銭の支払いなど)を突きつけます。
②コミットメントと一貫性
原理:人は一度自分の言葉や行動を決めると、それを貫き通したいとか、矛盾した行動をとりたくないと感じる心理。
詐欺師の手法
最初に小さな、受け入れやすい要求(アンケートへの回答など)に「YES」と言わせます。
一度「YES」と言った相手は、その後のより大きな要求に対しても、自分の「一貫性」を守るために、断りにくくなります。
③社会的証明
原理:人はどう行動すればよいか分からない時、他人の行動を参考にして決めるという心理があり「みんながやっている」ことは正しいと信じがちになってしまう。
詐欺師の手法
「すでに多くの人がこの投資で利益を出しています」といった嘘の情報を提示したり、サクラ(偽の顧客)を用意して、相手に「自分も乗り遅れてはいけない」と思わせます。
④好意
原理:人は自分が好意を持っている人、自分に似ている人、自分を褒めてくれる人の言うことを聞きやすいという心理。
詐欺師の手法
共通の話題や趣味を見つけたり、外見を整えたり、巧みに褒めたりして、相手からの好感度を急速に高め「この人の頼みなら・・・」と思わせる信頼関係を、短期間で作ります。
⑤権威
原理:人は、専門家や有名人や役職者など「権威」のある人の言葉には盲目的に従いがちという心理。
詐欺師の手法
偽の医師、警察官、弁護士、投資家などの肩書きを名乗ったり、高級なスーツや時計を身につけたりして、自らを「権威」ある存在として演出します。
その「権威」を利用して、相手の判断力を奪います。
⑥希少性
原理:人は、手に入りにくいものや機会が限られているものほど、価値が高いと感じ、手に入れたいと強く思う心理。
詐欺師の手法
「今だけ」「あなただけ」「残りわずか」といった言葉で時間的・数量的な制限を強調し、相手に焦りや「失うことへの恐怖」を植え付け、冷静な判断をする時間を奪います。
いかがでしたか?
こういった6つの心理的原理(影響力の武器)を土台にしつつ、さらにターゲットの感情や思考をコントロールする具体的な手法を使います。
それが、次の4つです。
①感情の揺さぶり
恐怖、欲望、同情、焦りといった人間の原始的な感情を強烈に煽ります。
例えば・・・
オレオレ詐欺では親心(同情・恐怖)を刺激し、投資詐欺では欲(欲望)を刺激し、架空請求詐欺では法的措置(恐怖)をチラつかせます。
感情が爆発している時、人は理性的な思考ができなくなります。
②味方のフリ
ターゲットが抱える問題や不満に対して、一緒に戦う「味方」であるかのように振る舞います。
例えば・・・
ターゲットを騙そうとする、架空の悪徳業者の存在を匂わせ「私だけはあなたの味方です、一緒に解決しましょう」とアプローチし、信頼を独占します。
③情報の悪用
ターゲットが知らない、あるいは確認が難しい情報を、あたかも事実であるかのように提示し、情報の「格差」を利用して支配します。
例えば・・・
偽のニュース記事、偽の政府文書、独自のデータなどを提示し、相手が「自分が無知である」と感じるように仕向けます。
④自己開示
詐欺師が自らの(嘘の)失敗談や秘密をあえて打ち明けることで、相手に「自分を信頼してくれている」と感じさせ、相手からも秘密や個人情報を引き出します。
例えば・・・
事前に相手の過去の情報を集めて、同じような失敗談を話し、共感を得て信頼を勝ち取ります。
いかがでしたか?
このような詐欺師の特徴であるセオリーやテクニックは、確かに人間の心理を深く理解した、冷徹でハイレベルな技術と言えるかもしれません。
しかし、その技術は決していたずらに称賛されるべきものではなく「私たちが騙されないために、どのような心理的トラップ(罠)が存在するのかを知る」ための教訓として活用するような心構えが大切になります。
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