何かを伝えるという行為は、なかなか難しいものです。
つまり「思い通りに伝えられた〜」と思えることって、話す度にいつも得られるものではないのです。
だから「伝える」という行為について掘り下げて考えていくことが大切になっていきます。
一方で「伝える」という行為について掘り下げて考えていくと、忘れてしまう視点があります。
それは、どのような視点か分かりますか?
そんな大切な視点を、この後事例と共にご紹介します。
目次
- 要約の工夫
- 相手の立場に立つ
- 目的の履き違え
要約の工夫
先日、とある後輩(Mさん)から相談をもらったのですが、その相談とは次のようなものでした。
M:今度高校生の前で話をする機会をもらったのですが、悩んでいるのです。
私:悩んでるのね〜。何かこっちでできることある?
M:できれば、アドバイスをいただきたいのですが・・・
私:おー喜んで! それでどんな相談?
M:今回私が発表する時間が15分あって、その時間を使って高校生にミッションを提示することになっているんです。
でもですね、そうすると会社の紹介をする時間が3分から5分くらいしかないので、どうやってその短い時間で説明すればいいかを悩んでいます。
さ〜なんて答えましょう。
あなただったら、どうしますか?
相手の立場に立つ
ここで大切なことは、どんなことでしょうか?
まずは、相談の視点が正しいかどうかを見極めることです。
そしてそれを見極めるためには、相手の立場に立った視点が必要になります。
「話す」という役割を持ったこちら側の視点で考えると、いかに短い時間で簡潔に会社のことを伝えられるかということが大切になってきます。
しかし「聞く」という役割を持った相手側の視点で考えると、どうでしょうか?
きっとここに来る高校生は、話を聞きたくてウズウズして仕方がないという状況ではないかと思います。
どんな話なのか、お手並み拝見というような、手探りの状況ではないでしょうか?
そんな「聞く」という役割を持った相手側の立場に立つと、最初の5分間はどのような意味があるのでしょうか?
まずはこのように、相手の立場に立って考えることが大切なのです。
目的の履き違え
何かを伝える時には、相手の立場に立って、さらに目的を考えることが大切です。
そのことを踏まえて、改めて今回の最初の5分を考えるとどうでしょうか?
当初「話す」という役割を持ったこちら側であるMさんが考える理想のゴールは、5分で「会社のことがよく分かった!」と理解してくれることでした。
しかしその後「聞く」という役割を持った相手の立場に立って考えてみると「この会社って面白いかもしれないし、少しこの先の話も聞いてみよう」と意欲的になることが理想のゴールに変わっていました。
このような視点が、とても大切になってきます。
言い方を変えれば、このような視点があれば大体のことは上手くいくのです。
それでは、この視点を踏まえて、具体的にどんなことをすれば良いのでしょうか
ここは、アイディア勝負です。
参考までに、この事例の続きをご紹介します。
- Before
パワーポイントで10枚のスライドを作成し、それを説明する原稿を用意していました。
- After
まず現在流れているTVCMを流し「これを見たことはありますか?」と問いかけ「どんな会社だと思いますか?」と投げかけました。
そして次に、過去に名誉ある賞をいただいたことを紹介し「なんでこんな賞をいただけたと思いますか?」と問いかけ「この会社はどんな会社だと思いますか?」と投げかけました。
その後「これから会社の紹介と共に、皆様にミッションを与えますのでよく聞いてください」と伝えました。
この時点で会社のことを100%理解できた状態ではありませんが、この会社に対して100%興味を持っている状況はつくれました。
当初の理想のゴールとは違いますが、相手の立場に立って考え直した理想のゴールに到達することができたのです。
このように「伝える力」を発揮するために、相手の立場に立って、目的から逆算して考えることがとても大切なのです。
「相手の立場」については、こちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」もぜひご覧ください。
「伝え方」自体に興味のある方は、こちらもぜひご覧ください。
あなたの・・・コミュニケーション能力の課題が分かる本2: 話が分かりやすい人になる 「伝える力」をグングン伸ばす5つのステップ