「数字を使った会議」ってやっていますか?
いろいろな経営方針や考え方や組織への浸透のさせ方などがあると思いますが、その中で「数字を使ったミーティング」が必要な場合とそうでない場合があります。
ここではそれまでやっていなかった、数字を使ったミーティングである「店長会議」を立ち上げた事例をご紹介します。
「会議の進め方」の参考になれば幸いです。
目次
- 若社長の想い
- 若社長とのやりとり
- 店長会議の発足
- 先代社長とのやりとり
若社長の想い
とある地方都市で、和菓子屋を製造販売している企業の事例です。
創業140年を超え、4店舗を経営している、地元では超がつくほどの老舗企業で、誰でも知っている優良企業です。
ここの経営者は、先代であるお父様から引き継いだ若社長でした。
先代はいわゆる職人さんで、「俺の言った通りに作れ〜」という感じのワンマンで存在感のある社長(現会長)でした。
しかし今後の経営を考えた時に、若社長には「組織を創りたい」という思いがありました。
では「どうやって組織を創りたいのか?」と聞くと、「そのやり方がわからないから教えて欲しい」ということでした。それが若社長と私の出会いでした。
組織を創る前に、次の2つのことを明確にしました。
- 「どんな会社にしたいのか?」
- 「いつまでにしたいのか?」
その上で今ある資源「もの・金・情報・時間」を見つめ直し、目の前にある課題にどうやって取り組むかを考えていこうと打ち合わせをしました。
そうすることで、創りたい組織の全貌が見えてきます。
この作業を若社長としていく中で、これからの会社に望む組織を考えていくと、あるニーズが生まれてきました。
若社長とのやりとり
若社長:やっぱり・・・4店舗を各店長に任せられるようにしたいね〜。
私:なるほど〜そうですよね〜。その「任せる」というのはどういうことですか?
若社長:店舗管理ができるようになることですかね〜。
私:店舗管理ですね〜。では、それができるようになるためには、何ができればいいんでしょうか?
若社長:まずは店舗の収益を把握して、必要な利益を上げられるように管理してほしいです。
私:なるほど〜。そういうことですよね〜。
店長会議の発足
こんな打ち合わせをしていく中で、数字を使った会議(店長会議)を行うようになりました。
でもそれまでは、強烈な個性を持つ先代の指示のもと、言われたことを忠実に正しくこなしてきた人たちに、いきなり数字を使って自分で考えなさいといっても無理があります(笑)
そこで数字に対する抵抗を少なくするために、ミーティングでは専用の用紙を作成し、そこに記入するという方法をとりました。
白紙の用紙を渡されて「自分で考えて書いて」と言われるとなかなか難しいものですが、空白の欄に次のような数字を埋めてくださいと言われると少しハードルが下がりますよね。
だからこの店長会議でも、このステップを踏むことにしました。
そして、運営側で大切なことは、その会議の意義や目的を共有し、その会議が自分たちの未来に繋がることをイメージさせること。
さらに、数字を使った会議が初めてであっても、楽しく前向きに取り組めるような雰囲気づくりが重要です。
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視点が変わると、考え方が変わります。
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考え方が変わると、発言が変わります。
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発言が変わると、行動が変わります。
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行動が変わると、結果が変わります。
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結果が変わると、自信が芽生えます。
自信は「成功」という結果で身につくものではなく、全力で取り組んだ「結果」を前向きに捉えることで芽生えてきます。
すると次は、「結果」を前向きに捉えた中で、その数字で表された「結果」を変えるという難しさに直面します。その数字(結果)を変えるためにはどうしたら良いのか???
それが、店長会議の議題となっていきます。
目的を理解し、共有した上で行う「数字を使った会議」とは、実に面白いものなのです。
先代社長とのやりとり
先代社長(会長)はいわゆる職人気質の方で、数字を使った会議などはせずに、自分の頭の中で完結できる方でした。何かあっても「そんなことは俺に聞けば全てわかっている」というタイプでした。
事前に企業改革のプランは若社長と打ち合わせをして、合意していました。そして改革着手の前に、会長のもとへご挨拶に行きました。すると・・・。
今だったら東京から金沢まで行けちゃいます(笑)
その挨拶の時間も、こちらが挨拶に行ったのに、99%「聞く」一方で、その大半は戦前戦中戦後の日本の話でした。
そしてあるタイミングで先代が・・・、
「コーヒーを2つ持ってきてくれ!」
と社員さんに言われました。
そのコーヒーがどちらもアイスでした。
そこで、「なんでアイスなんですか?」と会長に聞くと・・・、
「テレビで食後にいいってやっていたんだ」と。
厳密にいうとその時は、食後ではなかったのですが(笑)
「そうなんですね〜。なんでアイスコーヒーが食後にいいんですか?」と聞くと・・・、
「そんなもんテレビでやってたんだから、いいに決まってるだろ!知りたかったらテレビに聞いてみなはれ」
こんな会話をしたのを覚えています。私自身もそれまでのかしこまった話し方から、素の話し方に変わってくれたことが嬉しかったし、距離が縮まるとどんどん話しやすくなりますし、何よりもこういう頑固な方が、私は大好きです(笑)
昔話と共に、その時代を生きてきた方の経験から、多くを学ぶことができます。
ちなみに後から若社長に聞くと、「コーヒーを2つ」というのが認められたサインだそうです。
ここで会長からダメ出しをされたら、改革は頓挫するかもしれなかったとのことです(笑)
「社長〜それ先に言ってよ〜」という感じですが、こんな不器用な合図の出し方も素敵ですし、何よりも認められて良かったです(笑)
数字力に興味のある方は、こちら【「数字に弱い」社会人のための苦手意識を克服する方法】もぜひご覧ください。