経営コンサルタントを本業にしている時に教えてもらった、次のような言葉があります。
教育とは命令だ!!
最初にこの言葉を聞いた時は、ものすごく違和感がありました。なんか高圧的なイメージがあって、素直に受け入れられない自分がいました。
特に「命令」という言葉が引っかかりました。
しかし部下を持ったり、子どもを持ったりしていくと、この言葉の意味が「なるほどな〜」と思えてくるのです。
目次
- はじめに
- 必ず「命令」ではない
- 「命令」が必要な時・・
- 風土づくりの「命令」
はじめに
部下を持ち、管理者となり、支社長となり、組織をつくる立場になるにつれて、「教育とは命令だ」という言葉の違和感が少しずつ薄れていき、徐々に納得感が増してきました。
例えば、こんな感じです。
組織づくりにおいて、人材育成の一環で「考える力をアップさせる」という目的で様々な企画を考えることがあります。
その時によく感じることは「考える力には想像以上に個人差がある」ということです。
そして基本的に「考える力がある人はそんなに多くない」ということです。
しかし、一般的な組織の構造を考えると、決しておかしいことではないかもしれません。
上司から指示を受け、それに対して忠実に従おうとすれば、考えることよりも「いかに正しく行動するかを優先する」ことは、当然のことです。
一方で往往にして会社は、一人一人の社員には「もっと主体的に動いて欲しい」とか「もっと考える力をつけてほしい」と願う場合が少なくありません。
必ず「命令」ではない
では、どうしたら良いのでしょうか?
例えば・・・。
呼びかけます。
「みんなしっかり考えましょうね〜」と、呼びかけてはどうでしょうか?
例えば・・・。
説明します。
「考えるということは、とても大切なことなんです。なぜならば・・・」と、説明するのはどうでしょうか?
このようなアクションをとると、人は成長するでしょうか?
もちろん答えは、人によって様々でしょう。
主体性のある人や、目標を持っている人や、向上心の強い人は、変わるきっかけとなることもあるでしょう。
しかし多くの人は、「頭で納得し、行動が変わらない」というパターンが多いのではないでしょうか。なぜならば、このような働きかけは、「気づきを与える」行為でしかないからです。
ではどうしたら良いのでしょうか?
「命令」が必要な時・・
そこで出てくるのが・・・、
教育とは命令だ!!
端的にいうと「やりなさい」ということです。
これは「気づきを与える」行為ではなく「行動を促す」行為です。
組織において、当たり前のことですが、やらなければいけないことは、やらなければいけません。
これが組織の成立における最低条件です。
個人の目線でいうならば、やるべきことをやらずして自分の特徴を発揮するのはわがままでしかありません。
しかし組織のルールを守った上で自分の特徴を発揮すれば、それが個性として組織に融合されるでしょう。
この優先順位を履き違えてしまうと、貧弱な組織が出来上がってしまいます。
そんな時には、意味や目的を伝えるという手法だけではなく、時と場合によっては、意味や目的が分からなくても「まずやりなさい」というコミュニケーションが必要な場合もあります。
行動した後で、意味や目的を理解する方が成長に繋がる場合もあります。
子育てなどでも、当てはまる場面が多いかもしれません。
しかし逆に主体性のある人に「まずやりなさい」というコミュニケーションをとってしまうと、長所を消してしまうことにも繋がる恐れがあるので要注意ですね。
こういったコミュニケーションの取り方や人との関わり方は、その人の「性格」や「心境」や「スキル」を考慮しないといけませんね。
風土づくりの「命令」
そして「教育とは命令だ!!」と伝える際に、とても大切なポイントがあります。
それは「強制と感じさせない強制力」です。
結論は強制であり、やるべきことや必要なことをさせるのです。
でもそれを「やれ」とは言わずに、別の伝え方で発信するということです。
そんなことが企画担当者や人事担当者の腕の見せ所かもしれません。
社員教育において「個性を大切にする」という大切な考え方があります。
しかしその「個性」も、社会性の中で発揮されて初めて武器となります。
「個性」を発揮する最低条件は、社会性を実践することなのです。
そしてそんな社会性を理解する時には、考えるだけでなく「命令」という行為が必要な時もあるのです。
まだ何も分からない子供に対して「考えてみなさい」だけでは、教育は不足してしまうのです。
「教育とは命令だ!!」
この短い言葉が、教育の真髄であり、原点であるかもしれません。
言葉だけではなくその背景にも目を向けると、この言葉は社員教育の原点と言えるのかもしれません。
そして上に立つものは、自信を持って「命令」できる自分づくりが必要なのです。
コメント
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