言葉というのは、時としてもの凄いパワーを発揮することがあります。
そしてそのパワーは、刹那的に考え方を変えることもあれば、その後の人生の礎を築いてくれることもあります。
ことわざ:「野に遺賢なし」
私がこの言葉を聞いたのは、何気ない雑談の中でした。
その時に初めて聞いた言葉でしたが、その言葉の響きが印象的でした。
ちなみにこの言葉を辞書で調べてみると、次のように書いてあります。
すぐれた人物はすべて官について民間に残っていない。
人材が集まって正しい政治が行われていることをいう。
私が聞いた時は、上記の状況を踏まえて、さらにその奥にある意味を教えてもらいました。
大切なことは、言葉によって当時の記憶が蘇り、それがいつでもモチベーションのスイッチをONにしてくれるということなのです。
目次
- 人は育てられない
- 育つ環境を創る
- 育つ人は◯◯◯◯◯
人は育てられない
仕事をする中で「人材育成」や「部下育成」という言葉をよく聞きますが、企業においてはとても大切なことです。
私も以前は意識していましたし、大切にしていましたが、今分かることは「人を育てる」ことなんて、できないということです。
だから「子どもを育てよう」なんて思っていません(笑)
「え〜そこを諦めちゃうの??」なんていう声が聞こえてきそうですが、決して「どうでもいい」ということではありませんし、もちろん子どもには良い人生を送って欲しいと思っています。
しかし「俺が育ててやるぜ〜」なんていうかことは思っていませんし、そんなことができるほど立派な人間でもありませんという意味です(笑)
残念ながら「子どもは親の言う通りにはならず、親のようになるのです」
詳しくは、こちら「子どもは親の言う通りにはならず、親のようになる」をご覧ください。
育つ環境を創る
仕事をする中で、組織力やチーム力はとても大切ですから、当然「人を育てる」ということは重要ですが「人を育てることはできない」としたら何をしたら良いのでしょうか?
それは「人が育つ環境を創る」ということです。
例えば、あいさつができない人がいたとします。
その人にあいさつの大切さや、方法論を教えることよりも、素晴らしいあいさつをしている集団の中に入れてしまったほうが、きっとあいさつができるようになります。
例えば、モチベーションが低い人がいたとします。
その人にモチベーションの理屈や上げ方を教えることよりも、前向きで意欲的な集団の中に入れてしまったほうが、きっとモチベーションが上がるようになります。
「人を育てたい」という気持ちがあっても、残念ながら育つかどうかは相手(本人)次第なのです。
本人に「成長したい」とか「変えてみよう」とか「やってみよう」などという気持ちがないと、なかなか難しいものです。
しかし、成長にはきっかけが必要な時もあります。
だから、周りの人にできることは、成長するきっかけとなる「気づきボール」を投げ続けることなのです。
ボールが相手に届かない時には、投げ方を工夫してみることも大切です。
対人関係は、常に真っ向勝負とは限らないのです。
このように企業においても、家庭においても「人が育つ環境を創る」ことが大切なのです。
育つ人は◯◯◯◯◯
さて、冒頭でご紹介した「野に遺賢なし」ということわざですが、私は次のような意味で最初は聞きました。
一流の人はどんな環境であっても、自らの力で上に上がっていくもの。
つまり・・・
すぐれた人物は、すべて官について民間に残っていない。
人材が集まって、正しい政治が行われていることをいう。
ということは・・・
すぐれた人物は、どんな環境であっても、上に上がっていく。
辞書を引くとピッタリと一致する意味ではありませんが、私の中では「野に遺賢なし」ということわざを聞いて、その意味を理解することで、自分の脳に濃く記憶されています。
先ほどモチベーションの例え話をしましたが、私の好きなプロサッカー選手のカズ選手(三浦知良選手)は、ある時次のように話していました。
アナウンサーが、カズ選手への質問として、次のコメントを紹介しました。
プロになって間もない若い選手から「モチベーションが下がった時にはどうしたら良いと思いますか?」という質問をいただいたのですが、カズ選手はどう思われますか?
するとカズ選手は、即答で「やめたほうがいいんじゃないですか」と笑いながら答えていました。
この若い選手の立場に立って考えると、チームとしては「人が育つ環境を創る」ために何ができるかを考えていくことが大切なのですが、一流の人はどんな環境であっても育っていくのです。
このカズ選手の答えを聞いた時に、瞬時に「野に遺賢なし」ということわざを思い出しました。
この言葉を思い出すということは、私の中では「一流の人はどんな環境であっても自らの力で上に上がっていくもの」という考え方を思い出すということであり、言葉の力を実感しエネルギーをもらうということなのです。