営業において、紙に1つの図を描くだけで「考える力」が変わります。
私はそれを「イメージマップ」と呼んでいますが(イメージを絵にするという単純なネーミングですみません 笑)、今までかなりの数の「イメージマップ」を描きました。
営業において、頭の中だけでグルグルと思いを巡らすだけだと「考える力」に限界を感じることがあるかもしれません。
しかし、紙に1つの図を描くだけで、物の見方が変わり、違った捉え方ができるようになることで「考える力」がアップしていきます。
考える力をレベルアップさせていく方法はいろいろあるかもしれませんが「イメージマップ」の事例が1つの参考になれば幸いです。
目次
- 自分視点の描き方
- 相手視点の描き方
- 過去のクレームの事例
自分視点の描き方
私の「イメージマップ」では、基本的に次のような図を描きます。
慣れてくると、頭の中でこの図をイメージできるようになりますが、慣れない間は紙に落書きするような感覚で描いてみることをお勧めします。
ちなみに私はこの落書きが大好きで、心おきなく罪悪感を持たずに描けるように、コピー用紙の裏紙をたくさん利用しています。
ここで、経営コンサルタント時代の事例を1つご紹介します。
入社1年目のTさんは、仕事で悩んでいました。
新しいお客様を見つけるための新規営業で、結果を出せずにいました。
そこで「イメージマップ」を描いたところ、次のような言葉が出てきました。
(理想)
- 契約成立
- 本日即決で成約をいただく
- 契約金は1千万円超
(現状)
- サービスや商品が伝えきれていない
- 信頼を勝ち取れていない
- 会社のことをまだ理解してもらえていない
- 本音を聞けていない
- 心を許してもらっていない
「イメージマップ」を描いて、理想と現状を考えるだけでも、課題や対策が見えてくるようになります。
このように営業において「考える力」に限界を感じたとしても、頭の中だけで考えるのではなく、紙に図を描くだけで、改善されることは大いにあるのです。
しかし、営業という観点においては、先程の図は不十分なのです。
相手視点の描き方
営業という観点において、先程の図では何が不十分なのでしょうか?
それは、視点です。
つまり、先程の図は自分の視点で描いたものであり、相手の立場に立てていないのです。
※「相手の立場」については、こちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」をご覧ください。
では、相手の立場に立って「イメージマップ」を描くと、どのようになるのでしょうか?
例えば、次のような感じです。
(理想)
- 会社の未来が見えてきた
- これで変革ができそうだ
- 俄然やる気になってきた
- お金はかかるけど、未来に投資してみよう
- 後は行動するだけだ
(現状)
- どうしていいか分からない
- 自分1人ではちょっと厳しい
- このままでは会社が傾いてしまう
- 短期と中期のそれぞれの課題を見つけたい
- 後継者の息子がまだまだ未熟だ
このように、視点が変わると全てが変わるのです。
営業におけるこの視点の重要性を、1つのクレームをもとにご紹介します。
過去のクレーム事例
この事例は、経営コンサルタント時代のある人(Mさん)がもらってしまったクレームの話です。
経営コンサルタントの仕事では、基本的に最初に決算書をいただきます。
そして、その決算書をもとに分析をしながら、先方社長に今後の提案をしていくのが基本的な経営コンサルタントの営業スタイルです。
この営業スタイルで、最もクレームをもらう経営コンサルタントはどのような人だと思いますか?
- 知識がない人!?
- 経験がない人!?
- 自信がない人!?
実は、下手に知識や経験があって自信を持っている人が、相手の立場に立てない時にクレームを起こすことが最も多いのです。
では、経営コンサルタントのMさんは、どのようにクレームをもらってしまったのでしょうか?
Mさんは、簿記1級の資格をもっているなど、数字の知識が豊富で仕事に対しても自信を持っていました。
そして決算書の分析報告をする時に、問題点を的確に指摘し、その上でその原因が社長であると言葉にしました。
その後Mさんが「社長どう思われますか?」と感想を求めると、先方社長は怒ってしまったのです。
なぜだと思いますか?
きっと言い方の問題も、あったと思います。
言い方が悪くなければ、次の話を聞くという未来があったかもしれません。
一方で言い方の問題がなくても、先方社長は納得していなかったでしょう。
その理由は、社長の次のコメントで分かります。
・・・・・
そんなことは、言われなくても分かっている。
それよりも、それを踏まえてどうするのかという話を聞きたいんだよ。
社長として、数字が悪い時に、どうしたらいいかを考えて今までやってきた。
今までは自分が行動すれば良かったが、社員が増えてきて、自分1人では手に負えなくなってきた。
だから、どうやって社員を巻き込めばいいのか、どうやって仕組みを作っていけばいいかを悩んでいたんだ。
だから偉そうに分析なんて説明されても、そのくらい言われなくても分かってるんだよ!
・・・・・
先方社長が怒った原因は、このようなことだったのです。
そして見方を変えると、Mさんは「人としての信頼を勝ち取る」という、営業のファーストステップでしくじってしまったのです。
イメージマップの活用事例については、こちら「ルート営業におけるイメージマップの活用」をぜひご覧ください。
交渉について興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
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