「伝える力」には色々な要素がありますが・・・
今回のテーマは「目的を添えるだけで伝える力が変わる」です。
今回ご紹介するのは、本当にちょっとした言い方で、誰にでもすぐにできますので、お楽しみに!!
目次
- AさんとBさんの事例
- 3人の石工のお話
- おさらい
AさんとBさんの事例
あなたは、部下であるMさん(事務職)にあることを伝えようとしています。
その内容とは・・・、
「来月から少しだけ現場の仕事を手伝って欲しい」ということです。
こんな時は、どんな言い方がいいのでしょうか?
2つ例をあげてみましょう。
・・Aさんの例・・・
Aさんは、そのまま直接内容を伝えます。
来月から少しだけ現場でも仕事をしてほしい
するとMさんは「はい分かりました」と返事をします。
しかし心の中では次のように思っています。
- なんで私だけなの?
- これっていつもの仕事はダメってこと?
- これからも現場要因になるってこと?
返事は「YES」でも不安ばかりです。
そしてそれが不満にも繋がっていきます。
・・Bさんの例・・・
Bさんは、そのまま直接は伝えません。
Mさんも知っているように、いま会社では働き方改革をやっていて、その中で部門の垣根を越えた業務の平準化を目指しています。
その一つとして事務職でもできる現場仕事は、事務サイドで引き受けるようにしていこうと思っています。
そこで1番現場の人とコミニケーションが取れているMさんに、まずはこれを任せたいと思っているけど、業務の風穴を開けてもらえないかな?
AさんとBさんとでは、どのような違いがあるでしょうか?
他にももっと良い言い方があるかもしれませんが、ポイントは目的を添えて話していることで、伝える力が変わっていることです。
上司が部下に伝えることは指示だけではなく、期待が大切なのです。
ちょっとした言い方で、相手の受け止め方は変わってしまいます。
そしてその受け止め方で、仕事の質が180度変わってしまいます。
3人の石工のお話
さらに、伝え方のコツである「ちょっとした言い方」で大切なことは、目的を伝えることです。
最後に私の好きな、有名な「3人の石工の話」をご紹介します。
世界中をまわっている旅人がいました。
その旅人がある町外れの一本道を歩いていると、1人の石工に出会いました。石工は難しい顔をして石を削っていました。
旅人は「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねると・・・、
「何って、見れば分かるだろう。石を削ってレンガを積んでるんだよ!」
「なんで、こんなことばかりしなければならないのかって思ってるし、全く俺の人生ついてないよ」
旅人は、その男に慰めの言葉を残して、再び歩き始めました。
もう少し歩くと、2人目の石工に出会いました。旅人がまた、
「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねると・・・、
「何って、見れば分かるだろう。石を削ってレンガを積んでるんだよ!これが俺の仕事で、これで俺は飯を食ってんだよ!」
旅人は、男に励ましの言葉を残して、再び歩き始めました。
さらに旅人は歩いていくと、3人目の石工に出会いました。そして、
「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねると・・・、
男は明るく顔をあげて、こう答えました。
「旅人さん、よくぞ聞いてくれました。私は今、後世に残る町の大聖堂を造っているんだ!」
「この大聖堂ができたら、多くの人々がお祈りできるようになるんですよ。多くの人々の役に立つ仕事ができて、私は幸せですよ」
「是非、教会が完成したら見に来てくださいな」
旅人は、またこの地を訪れることを約束して、3人目の石工と別れました。
おさらい
このとき、3人の男たちにとって「目標」は同じです。
- 1日に何個のレンガを積む、とか。
- 何時間で効率よく積む、とか。
- 工期を守るために自分の担当している作業をいつまでに仕上げる、などなど。
しかし3人の男たちにとって「目的」は同じではありません。
- 1人目の男は、目的を持っていません。
- 2人目の男は、生活費を稼ぐことが目的になっています。
- 3人目の男は、歴史の一部に自分が関わり、世の中の役に立つことが目的となっています。
目標は、他人から与えられることが十分にありえます。
しかし、目的は他人から与えられません。
その意味は、自分で見出すものだからです。
でも、その目的を意識するチャンスを、他人から与えられるとしたらどうでしょうか?
だから目的を持った問いかけ方は大切なのです。
人間なんて弱いもので、とても些細なことで傷ついたり、ちょっとした一言でモチベーションが上がったり、人との関わりで気持ちが揺れ動いていきます。
もちろんセルフコントロール力を向上させて、常に自己肯定感を自ら保てるようにする努力は必要ですが、周りの人に支えられながら生きているのが人間です。
だから、周りの人に良い影響を与えられる「言い方(気づかせ方)」を身につけ意識し行動することで、自分自身の人生も豊かなものになっていきます。
だからこそ、相手に目的を伝え、お互いに目的を共有できるような言い方が、大切ですね♩