少しだけ、日本経済の話からさせていただきますが・・・。
これからの日本経済は、正直決して右肩上がりの状況にはないかと思います。
コロナ禍の影響で半導体の不足などにより、自動車をはじめとした生産の遅延があります。
さらにコロナ禍とは関係なく、日本には人口減少、さらに少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少という未来があります。
生産年齢人口とは、生産活動の中心にいる人口層のことで、15歳以上65歳未満の人口がこれに該当します。
日本国内の生産年齢人口は1990年代がピークで、それ以降は減少傾向が続いており増加の見込みもないのが現状です。
さらに、以前は海外に行けば色々なものが安く変えた円の価値も、今では逆に外国の人が日本に行けば色々なものが安く買えるという状況になっています。
あの桑田佳祐さんも、2002年に発売した「ROCK AND ROLL HERO」で、今から20年前になりますが、既に次のように歌っていました。
華やかなりしあの頃の
円(¥えん)で勝つ夢はMelt away
後は修羅場だ
泡沫(あわ)のようにすべてが消えた
そんな日本で仕事をする私としては、思考と行動、そして柔軟な発想と共に、これからは協調が必要だと感じています。
しかし「伝え方」が下手だと、その協調も台無しになってしまうというお話です。
目次
- 協調の事例
- 伝え方が下手だと・・・
- 先にYESをもらう
協調の事例
人口が減り、さらに少子高齢化に伴う生産年齢人口が減っていく中で、目の前に訪れる現実は「受注難」です。
簡単に言えば、今まで通りでは仕事が減っていくということです。
仕事が減るということは、お客様が減るということです。
そして、お客様がいなくなってしまうと、事業を継続することができません。
だから、イノベーションが必要なのかもしれませんが、事業の原理原則を痛感させられる貴重な時期が、今の日本であるとも言えるかもしれません。
そして、数年前から二極化が進む中で、問い合わせが一社に集中するという現実が起きています。
そしてそれを他社に振り分け、手数料をいただくビジネスも多く見られます。
これを仕組み化できると、事業が成長期に入っていきますが、仕組み化の前に交渉が必要になります。
ここで「伝え方」を間違ってしまうと、相手にとってせっかく良い話でも、面倒な話と捉えられてしまうので、要注意です。
伝え方が下手だと・・・
ここに2人の営業マンの事例がありますので、その場面を想像し、考えながら読んでみてください。
Aさんが、お客様に次のように言いました。
お問い合わせの一部を、同業他社さんにご協力いただきたいと思っています。
そこで、次のシステムを利用して、こちらが指定するように入力していただきたいのですが、いかがでしょうか?
このように問い合わせをすると、そのシステムや入力方法を確認したお客様は、次のように答えました。
いや〜これは難しそうですね。うちはITレベルが低いので、もう少し簡単にならないでしょうか?
するとAさんは「貴重なご意見をありがとうございます。上司に相談してみますので、少々お待ちください」と、返事をしました。
ここで詳しい説明は割愛しますが、大切なことは、受注難でありがたいはずの問い合わせの話が、面倒な話と捉えられてしまったということです。
ここにはシステム改善のヒントも隠されていますが、ここでは「伝え方」にフォーカスしてご説明します。
悪気はなくても「伝え方」が下手だと、せっかくの良い話も面倒な話と捉えられてしまうのです。
先にYESをもらう
では、なぜありがたい話が面倒な話と捉えられてしまったのでしょうか?
それは「入力は大丈夫ですか?」という部分にフォーカスしてしまったからです。
これはお客様ではなく、Aさんが導いた結果なのです。
では、どうすれば良かったのでしょうか?
それは、先にYESをもらうことです。
そこで、Bさんの事例をご紹介します。
Bさんが、お客様に次のように言いました。
お問い合わせの一部を、同業他社さんにご協力いただきたいと思っていますが、いかがでしょうか?
するとお客様は、次のように答えました。
それは、こちらとしてもありがたいです。ありがとうございます。
そしてBさんは「ありがとうございます。では、案件をお渡しする際に使用するシステムと入力方法をご案内しますが、どなたにご説明すれば良いでしょうか?」と尋ねると、お客様は「それでは今担当を連れてきますので、少々お待ち下さい」と答えました。
AさんとBさんの違いは、何でしょうか?
言葉を選ばずにいうと「お仕事を回したいけど、欲しいですか?」という問いに対して、先にYESをもらっているかどうかということです。
Bさんの場合は、先にYESをもらっているので、お客様はとてもありがたい話と捉えられます。
その先のシステムや入力方法の話は、そのありがたい話を実現するために、お客様が努力すべき話となるのです。
このように悪気はなくても「伝え方」が下手だと、相手の捉え方は全く変わってしまうのです。
日々のコミュニケーションにおいては、どんなに良いことでも、伝え方で全てが変わるということを念頭において、相手と対峙することがとても大切なのです。
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