現代の採用市場は、売り手市場と言われています。
つまり企業が人材を欲しいと思う人数に対して、働きたいという人が不足しているという現状です。
具体的には、大学を卒業して就職活動をすると、学生は複数の企業から内定をもらえるという状況があります。
就職氷河期と言われた1990年代後半から2000年代前半に就職活動をしていた人にとっては、信じられない状況かもしれません。
だから企業としては、採用活動に力を入れていくと共に、今いる社員をいかに大切にしていくかということも、より求められる時代なのです。
目次
- とある事例
- 噛み合わないコミュニケーション
- 必要条件のコミュニケーション
★とある事例
とある会社で、とある社員が「辞める」と言い、その理由が「忙しすぎる」というものでした。
それを聞いた上司は「昔話をして、それと比べればまだまだ忙しくもないし、一緒に頑張ろう」という話と、会社が考えている未来を説明し「やりがいのある仕事だ」ということを伝えていました。
そこで、その話をした上司に部下の反応を聞くと「全然心に響かないんですよ」という返事でした。
この返事を聞いて、あなたはどう感じますか?
「響かない」という相手は確かにいますが、ここでの課題は「響かない」ということではなく「噛み合わない」ということです。
★噛み合わないコミュニケーション
では、なぜ「噛み合わない」のでしょうか?
物事を整理できれば、簡単な話です。
退職希望者は「忙しすぎる」から辞めたいと思っています。
(実際の現場では、それが表面的な理由なのか、真の理由なのかを見極める必要がありますが・・・)
その「忙しすぎるから辞めたい」と言っている社員に対して、上司の対応は「そこまで忙しくない」というメッセージと「会社のやりがい」を伝えていました。
こうやって書き出すと、噛み合うはずがないことを理解できるかと思います。
このような噛み合わない上司と部下のコミュニケーションが辞める理由になってしまうのです。
人は、次の3つのどれかで、働く価値を見出していく場合がほとんどです。
①やりがい(心のバランス)
やりたいことがある人などは、それが実現できる環境や企業に価値を感じていきます。
また多くの場合、そのような人は企業においても影響力のある人になる場合が多いものです。
②プライベートとの両立(時間のバランス)
仕事を疎かにするわけではないけれど、仕事以外の時間を大切にするような人です。
仕事以外の時間とは、趣味だったり家族だったり人それぞれになりますが、その時間が一定量確保できないと、辞める理由になる可能性が増えていきます。
③収入(経済のバランス)
人間は欲深いもので、極論欲にはキリがないものです。
しかし、その欲が全てにおいて悪いわけではなく、生きる原動力やエネルギーになる場合も多くあります。
ただそれが私欲になっていると、周囲から煙たがられる存在になってしまうかもしれません。
★必要条件のコミュニケーション
この①〜③のいずれかの満足が、前向きに働く理由になっていくのですが、仮にこの①〜③のいずれかの満足があったとしても「辞める理由」が生まれてしまう場合があります。
その多くの場合は、その原因が人間関係にあります。
そして、人間関係の良し悪しに、大きく影響するのがコミュニケーションです。
複数で共同作業をする企業活動においては、必ず存在するのがコミュニケーションです。
そのコミュニケーションが円滑に交わされ良い人間関係が構築できないと、先ほどの①〜③のいずれかの満足があっても、それは一瞬にして台無しになってしまう恐れがあります。
そうすると「○○で辞めたいです」という辞める理由が聞こえてきてしまうのです。
だから、この満足と不満足のバランスは、人のモチベーションに大きく影響するのです。
人の辞める理由にもなりかねない、満足と不満足のバランスについて興味のある人は、ぜひこちら「人が辞める理由は2つある 〜ハーズバーグの二要因理論〜」もご覧ください。
そして、コミュニケーション能力に興味のある方は、こちらもご覧ください。