あなたの周りで「人が辞める」と言い出したら、あなたはどう思いますか?
心を揺さぶられ、動揺することもあれば、一方で「そうなんだ〜」と大きな変化が起きないこともあるでしょう。
その違いは、どこにあるのでしょうか?
原因は色々あるでしょうし、もちろんそれまでの会社に対する貢献度の違いもあるでしょうが、人は辞め方が大切だという見方もあります。
「この会社を辞めよう」と思ったら「早く次へ行きたい」という気持ちと共に「しっかりとけじめをつけたい」という気持ちもあるでしょうが、そのバランスがとても大切です。
人の辞め方で分かることは、その会社への貢献度だけではなく、その人の生き様が見えるのです。
詳しくはこちら「会社の辞め方(3人の事例)」をご覧ください。
目次
- 「人が辞める」ってどう?
- ハーズバーグの二要因理論
- アプローチは丁寧に
「人が辞める」ってどう?
一般的に「人が辞める」ということは、悲しく残念というネガティブなイメージがありますが、本当に悪いことなのでしょうか?
定着率100%(つまり退職者ゼロ)という組織があったとしたら、それは健全で良い組織なのでしょうか?
健全で良い組織では、適正な範囲の中で人の入れ替わりがあるものです。
一般社会よりも、現役生活が短いプロスポーツの世界で考えると分かりやすいかもしれません。
良いチームは、メンバーが変わっても良い成績を残していきます。
一方で特定の選手に頼っているチームは、その選手がいなくなると、一気にチーム力が低下してしまいます。
だからそんな時には、未来を見据えて、人の補強や入れ替えが大切なのですが、これは一般社会でも同様です。
そして大切なことは、どんな人が辞めるのかということです。
簡単にいうと「良い人が辞める」という組織は要注意です。
ハーズバーグの二要因理論
それでは、人はどんな時に辞めるのでしょうか?
さらに掘り下げると、人が辞める理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
「そんなことは分からないし、それは人それぞれでしょ〜」なんて社長や幹部が言っているとしたら、その組織の未来は不安定なものになるでしょう。
人が辞める理由には、大きく2つあります。
それは「不満を感じる」か「満足を得られない」かのどちらかです。
「えっ!?それって同じことじゃないの!?」と思う人もいるかもしれませんが、それが違うということをこれからご説明します。
そこで必要な予備知識が「ハーズバーグの二要因理論」ですので、まずはそのことをご紹介します。
「ハーズバーグの二要因理論」とは、モチベーション理論のひとつであり、人の仕事に対する欲求を「衛生要因」と「動機付け要因」の2つの要因に整理した理論です。
「衛生要因」とは、次のようなものです。
- 人間関係
- 職場の雰囲気
- コミュニケーションの取りやすさ
- 給与(低くないか)
- プライベート時間の確保
一方で「動機付け要因」とは、次のようなものです。
- 仕事の達成感
- 組織における存在価値
- やりがい(権限委譲)
- 成長の実感
- 承認や評価
ここでのポイントは「衛生要因」と「動機付け要因」は個別のものであり、連動しないということです。
つまり不満に感じることはないけれど、満足を得られないとモチベーションが下がり、会社を辞めてしまうかもしれません。
一方で、満足を感じることがあっても、何かで不安に思うことがあると、一気にモチベーションが下がり、会社を辞める可能性が生まれてしまうのです。
アプローチは丁寧に
先ほどの「ハーズバーグの二要因理論」を踏まえて、退職未然防止のチェックシートのようなものをつくることができます。
そして、そのチェックシートを活用していくためには、対象となる人の現状把握が大切になりますが、アンケート調査のようにヒアリングをしても、相手は本音を語ってくれません。
そこには、普段の人間関係と共に「問い方」というコミュニケーション能力が大切になるのです。
ここでコミュニケーション能力というキーワードで課題を認識できているかどうかで、その後の成果が変わってきます。
そのくらい自分自身のコミュニケーション能力の課題を把握しておくことは、大切なのです。
さらに先程のような、相手の本音を聞き出そうとするようなセンシティブな「問い」だと、なおさら重要になってきます。
ここで大切なことは、あなたが「話す」よりも「聞く」ことを優先するということです。
そのために「問い方」が大切になってきます。
相手との間にコミュニケーションが生まれる会話の中で、気持ちが往復するような中で、情報収集をしていくことが大切なのです。
こうして「話す」ことではなく「聞く」を促す「問い」の技術を持っているかどうかで、上司や幹部としてのコミュニケーション能力に差が出てくるのです。
コミュニケーション能力の基本については、ぜひこちらもご覧ください。