コミュニケーション能力を高めるにはたくさんの要素が必要です。経営コンサルタントとして学んだこと・経験したこと・日々の業務で感じることなど「コミュニケーション能力」に関する情報を中心に配信しています。皆さまの未来に少しでも貢献できれば幸いです!

交渉力, 営業の仕組み化

営業においても「人間は欲望の塊」です!

「人間は欲望の塊だ~」なんていう言葉を聞いたことがあると思いますが、あなたはどう思いますか?

ちなみに、私だったら「まさに、その通りです!!」と答えます。

しかし、その欲望にも色々なものがあります。

一般的によく言われる「三大欲求」として「睡眠欲」「食欲」「性欲」というものがありますが、それ以外にも色々な欲望があるでしょう。

「人間は欲望の塊だ~」という言葉が、悪いイメージで伝わることがあります。

しかし、それは「理性に関係なく欲望のままに生きてはいけない」という戒めであり、欲望を持つこと自体が悪いわけでは決してありません。

見方を変えれば、欲望は人間が生きていく上で重要なエネルギーになりますし、人はその欲望を満たすために生きているともいえるのです。

目次       

  • 夢や願望
  • 不安や恐怖

夢や願望       

あなたは「マズローの5段階欲求」というものをご存知でしょうか?

心理学者のアブラハム・マズローさんが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階に理論化したものです。

5段階の欲求を順番に、少しだけご紹介します。

 

第1段階:生理的欲求

生きていくために必要な「食欲」や「睡眠欲」などが当てはまり、これらが満たされなければ生命の維持ができません。

 

第2段階:安全欲求

安心・安全な暮らしへの欲求です。

治安の良い日本では、改めて意識することは少ないかもしれませんが、世界には日々「安全欲求」を求めて過ごしている国もあるでしょう。

 

第3段階:社会的欲求

友人や家庭、会社から受け入れられたいと思ったり、集団に属することや愛情を求める欲求です。

この欲求が満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じ、時には鬱状態に陥ることもあります。

 

第4段階:承認欲求(尊重欲求)

他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求です。

名声や地位を求める欲求も含まれ、第4段階からは内的な心を満たしたい欲求へと変わってきます。

この第4段階の欲求が妨害されると、劣等感や無力感などの感情が生じます。

 

第5段階:自己実現欲求

自分の人生観に基づいて「あるべき自分」になりたいと願う欲求です。

この第5段階だけはこれまでの欲求とは質的に異なっているとされています。

 

マズローさんは最初の4欲求を「欠乏欲求」、最後の1つを「存在欲求」とまとめており、自己実現を達成できた人は数少ないとされているようです。

このような欲求の中で、まず分かりやすいものが夢や願望と言われる「〇〇したい」や「〇〇を得たい」という気持ちです。

だから営業においては、相手の気持ちの中にどんな「〇〇したい」や「〇〇を得たい」という思いがあるかを把握することが大切です。

この「〇〇したい」や「〇〇を得たい」という夢や願望は、子どもの頃は特にやる気の原動力となります。

さらに子どもは感情表現がストレートなので、アピールが大げさであり、上手であったりもします。

もちろん大人になっても「〇〇したい」や「〇〇を得たい」という欲望は尊いもので、生きる目的になったりする人もいます。

そんな「〇〇したい」や「〇〇を得たい」という欲望が叶えられるかもしれないと思ったら、話を聞こうと思う人が多くいるでしょう。

マズローの5段階欲求について興味のある方は、ぜひこちら「マズローの5段階欲求を踏まえた伝える力」もご覧ください。

不安や恐怖      

さて、営業として相手の「〇〇したい」という夢や願望を把握することが大切だとご紹介しましたが「〇〇したくない」や「〇〇を失いたくない」という不安や恐怖も重要です。

たまに「〇〇したいことがない」と言う人がいますが、仮に「〇〇したくない」や「〇〇を失いたくない」ということがあれば、間違いなく「〇〇したい」や「〇〇を得たい」ことがあるのです。

 

つまり、こういうことです。

①金持ちになりたいとは思わないけど、貧乏にはなりたくない。

これは言い換えると、生活に困らない程度の収入が欲しいということです。

そんな時に「これをやらないと3年以内に収入が半分になってしまう可能性がありますが、とりあえず話だけ聞いてみませんか?」と言われたら、話を聞かないとまずいと思う人がいるかもしれません。

②全身全霊で仕事に打ち込むつもりはないけれど、つまらない仕事はやりたくない。

これは言い換えると、楽しいと感じられる仕事がしたいということです。

そんな時に「この試験で成績が悪いと、あなたが望まない第3工場での仕事に回ってしまう恐れがありますが、大丈夫ですか?」と言われたら、今までとは違ってより真剣に試験勉強に取り組む人がいるかもしれません。

③たまに残業をするのは良いけれど、毎晩8時を過ぎるような仕事はしたくない。

これは言い換えると、毎日7時から8時の間には退社できるような仕事をしたいということです。

そんな時に「今のままだと、毎日8時過ぎの残業になる可能性が高いです。しかしそうならないチャンスが1つだけありますが、興味はありますか?」と言われたら、とりあえず話だけ聞いてみようと思う人がいるかもしれません。

このように「〇〇したくない」や「〇〇を失いたくない」という不安や恐怖から発生する気持ちが、何かの意思決定に繋がることは往々にしてあるのです。

そして時には「〇〇したい」や「〇〇を得たい」という夢や願望よりも強いエネルギーになることも多々あるのです。

やっぱり、営業においても「人間は欲望の塊」の理解は大切ですね!