事業を進める中で、またはサービスを提供する中で、大切なことは顧客の立場に立つということです。
事業が世の中に受け入れられるということは、それはその事業が顧客に認められているということであり、サービスが喜ばれるということは、そこには満足している顧客がいてくれているということです。
だから顧客の立場に立つということは、とても大切なのです。
詳しくは、こちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」をご覧ください。
その上で大切なことは「顧客とは誰か?」を明確にすることです。
目次
- ペルソナ設定とは
- 在庫は顧客のため!?
- ベンツに惚れた理由
ペルソナ設定とは
顧客の立場に立つということは大切ですが、顧客とは誰なのでしょうか?
この時にターゲットとする顧客を明確にすることが大切であり、それをペルソナ設定といいます。
ペルソナ設定とは、端的にいえば架空の顧客像を設定することです。
ペルソナはラテン語で「仮面」を意味していて、マーケティング用語として使われる「ペルソナ」は、商品を購入したりサービスを利用する架空の顧客という意味で使われます。
架空の顧客を想定する時には、年齢・性別・価値観・ライフスタイル・家族構成など、かなり詳細に設定していきます。
そして市場規模が大きければ大きいほど、このペルソナ設定が大切になってきます。
たくさんの人に買って欲しいと思うと、たくさんの人が顧客に見えてきますが、それではターゲットとする顧客にメッセージが届きにくくなるのです。
そして「たくさんの人に買ってほしい」という思いの根底に「たくさん売りたい」という自我があり、それが強くなってくるとペルソナ設定が曖昧になってしまいます。
「自分が提供するサービスは〇〇の人に喜んでもらうためのものです」と明確に言えるようにするためにも、ペルソナ設定は大切なのです。
またペルソナ設定を考えるということは、自分自身のサービスや自社の事業を見つめ直すきっかけにもなります。
在庫は顧客のため!?
経済が右肩上がりの時には「在庫は多く持った方が良い」と言われていました。
なぜならば、経済が右肩上がりの時には「ますます売れる」という見込みがあったからであり、在庫をより多く持てば、それだけ売れるチャンスを逃さずにすむからです。
しかしその在庫の考え方も、不変ではありません。
具体的に在庫の考え方を変えざるを得ない出来事の1つに、2011年の東日本大震災があるのではないでしょうか。
それまでは「在庫は多く持った方が良い」と言われていましたが、東日本大震災直後には「在庫はあまり多く持たない方が良い」と色々なところで言われるようになりました。
その変化は当然であり、それまでの「ますます売れる」という見込みがなくなってしまったという証でもあるのです。
売れる見込みのある在庫はお金に変わる大切な商品ですが、売れる見込みのない在庫はただのものであり、お金をかけて仕入れていることもあり、損切りをしてでも現金を回収しなければいけないものになってしまいます。
このように在庫の考え方は不変ではありませんが、一方で変わらないものがあります。
それは「人は己の損得で物事を判断する」という考え方です。
これは生きていくために当然の考え方ともいえます。
ベンツに惚れた理由
「人は己の損得で物事を判断する」ことは誰もが納得すると思いますが、一方で「己の損得を超えろ」という言葉もあります。
要は「己の損得を超えた考え方が大切だ」ということです。
これも言葉としては理解できますし、伝えたいメッセージも正しくキャッチできますが、実践となるとそう簡単ではありません。
しかし、それを実践している事例を耳にすることがありました。
この話は、日本にあるベンツのグループ会社の社長から教えてもらいました。
東日本大震災以降は「在庫はあまり多く持たない方が良い」という風潮がある中で、ベンツは珍しい色の車を必ず「在庫するように」と指示をしたそうです。
珍しい色の車とは、言い方を変えればよく売れる車ではありませんし、売れるまでに時間がかかってしまう車です。
そのような在庫を抱えていると、車の置き場を確保するためにコストがかかってしまいます。
だから今の風潮で言えば、あまり在庫しない方が良い車なのです。
ではなぜベンツは「在庫するように」という指示をしたのでしょうか?
このグループ会社の社長曰く「珍しい色の車を注文する人は、ベンツのコアなファンだから、注文をいただいてから納車までの期間を少しでも短くし、すぐにお届けできるようにするため」とのことでした。
この言葉を聞いて、私は素直に感動してしまいました。
これはまさに「己の損得を超えた考え方」ではないでしょうか?
誰を顧客とするのか、そしてその顧客をどのように大切にするのか、その顧客の立場に立ってどうしたら喜んでくれるかを考えることが、己の損得を超えた考え方なのです。
そしてこの事例がまさに「顧客とは誰か?」を考えるベースであり、私がベンツに惚れた理由なのです。
私は車に特段の興味を持っていませんが、経済的に余裕があったらベンツに乗りたいなと思っています。
私は単純なのです(笑)