私の好きなサッカーのカズ選手が、以前次のように言っていました。
世界に目を向ければ、人はいつでも謙虚になれる。
視野を広げ、目標を高く持つことの大切さを実感した言葉です。
カズ選手についての詳細は、こちら「三浦知良さんってこんな人」をご覧ください。
その言葉と同じようなことを感じた、野球の桑田真澄さんのエピソードをご紹介します。
目次
- 桑田真澄さんとは
- 取手二高との死闘
- 桑田真澄さんの失踪
- 桑田真澄さんの魅力
桑田真澄さんとは
桑田真澄さんをもしかしてご存じでない方がいるかもしれませんので、簡単にご紹介させていただきます。
桑田真澄さんは、1968年生まれの元プロ野球選手です。
元プロ野球選手といっても、ただの選手ではなく、偉大な一流の投手です。
高卒のドラフト1位で読売ジャイアンツに入団し、入団1年目からエースナンバーの18番を背負って投げ続けた大投手です。
晩年にはメジャーリーグにも挑戦しましたが、不運な怪我もあり、そのままアメリカでユニフォームを脱ぎました。
故野村克也氏が、野球に向き合う姿勢はプロ中のプロだと絶賛していたことを覚えています。
そんな桑田真澄さんですが、高校時代からずば抜けた結果を残しています。
まず、本業の投手として、甲子園(全国大会)で多くの記録を残しています。
- 通算勝利数:20勝(歴代2位)
- 通算奪三振:150個(歴代1位)
- 通算登板数:25試合(歴代1位)
- 通算投球回数:197回2/3(歴代1位)
さらに打者としても、歴代2位の6本のホームランを甲子園で打っています。
ここでご紹介する試合は、桑田真澄さんにとって夏の甲子園で唯一の敗戦となった、1984年の決勝戦です。
取手二高との死闘
1984年の決勝戦は、茨城県代表の取手二高との死闘でした。
茨城県出身の私にとっても小学校5年生の時のことですし、鮮明に覚えています。
この時、桑田真澄さんは2年生でしたが、予選からエースとしてチームを引っ張ってきました。
そんな王者PL学園に立ち向かう取手二高は、対照的なチームでした。
選手の意識を高めるために、木内監督が「今日の試合に勝ったら、明日はみんなで海水浴に行くぞー」などと、当時の規律を重んじる高校野球では考えられないような指導を行っていました。
そんな笑顔が絶えない、のびのび野球の取手二高が、王者PL学園に立ち向かった決勝戦は、延長10回に4点を取った取手二高が、8対4で初優勝を飾りました。
桑田真澄さんの失踪
そんな劇的な決勝戦から、数ヶ月が経過した時に、桑田真澄さんがPL学園の寮から失踪したという話がありました。
実際は失踪したのではなく、寮生活で外出禁止のルールがあったので、仕方なく強行手段に出たそうですが、桑田真澄さんはどこに向かったのでしょうか?
その行き先はなんと、取手二高だったのです。
その理由は、決勝で負けた取手二高がどんな高校なのかを見に行くためでした。
甲子園で死闘を演じた決勝戦で、桑田真澄さんは1つの疑問を持っていたそうです。
それは「甲子園という真剣勝負の場なのに、なんであんな笑顔でいられるのだろうか」そして「なんでベンチがお祭りみたいな雰囲気でいるのだろうか」という気持ちだったそうです。
そこから「いったいどんな高校なんだろう」そして「どんな学生生活を送っているのだろう」という好奇心が芽生えていったそうです。
甲子園の決勝戦の後に全日本チームで、取手二高の選手たちとも交流が生まれた時に「今度高校を見に行っていいですか?」と相談したところ、1つ学年が上の3年生から「いいよ」と言ってもらい、取手二高を1人で訪問したそうです。
桑田真澄さんの魅力
冒頭にカズ選手の「世界に目を向ければ、人はいつでも謙虚になれる」という言葉をご紹介しましたが、同じようなことを感じる出来事です。
しかし、当時の王者PL学園は、取手二高よりもはるかに実績がある強豪チームです。
そんな強豪チームのエースが「勉強させてください」という謙虚な姿勢と向上心を持って行動を起こしているところに、桑田真澄さんの魅力があります。
そして実際に見た取手二高はどうだったのかというと「ただの公立高校」だったそうです。
専用グランドも室内練習場もなく、練習する時には音楽を聴きながら行うこともあったそうで、桑田真澄さんにとっては衝撃的だったそうです。
そんな桑田真澄さんを、取手二高のメンバーも歓迎し、その日の晩は、吉田主将の実家に泊めさせてもらったそうです。
この時、桑田真澄さんは「それまでは方法は1つしかないと思ってたけど、目標地点に行くのに、色んな方法があるんだ」ということを学んだと語っています。
確かに桑田真澄さんは、才能に恵まれた選手だったかもしれませんが、謙虚な姿勢と向上心を忘れずに、高いプロ意識と日々の実践があったからこそ、大投手になれたのだと思っています。
見習いたいものです。
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