人として考え方は大切ですし、技術も大切です。
では上司力として「考え方と技術のどっちが大切ですか?」と聞かれたら、あなたは何て答えますか?
私はちょっと考えた末に「どっちも大切です」と答えると思います。
ただ「今は考え方が重要だ!」と思う時もあれば「あの人には技術が足りていない」と思う時もあります。
だから部下を持つ上司としては、タイミングや状況を踏まえて、その人の課題を明確にすることが大切なのです。
目次
- 人間は感情の動物
- 言葉から読み取る
- アドバイスは1つじゃない
人間は感情の動物
先日ある会社で、次のようなメールのやりとりがありましたので、ご紹介します。
A課長が貿易に関する契約内容について、どうしたら良いか悩んでいて、隣部署のB部長に相談すると「◯◯にしたらいいと思うな〜」と返事が来ました。
それを踏まえてA課長は「一度C部長に聞いてみます」と言いました。
ちなみにC部長とは、A課長の直属の上司になります。
あなたがB部長だったらどう思いますか?
ちなみにB部長は「そんなんだったら最初からC部長に聞けばいいじゃないか〜」と憤慨したそうです。
もちろん、憤慨しない人もいますが、人間は感情の動物なのです。
ちなみにB部長に相談してやや怒らせてしまった後に、C部長に相談をしたところ「君だったらどう思う?」と逆に質問をされて「私は◯◯にしたらいいと思います」と言うと「それはどうかな?ちょっと違うんじゃない!?」と返事が来たので「これはB部長に相談した時に教えてもらったことなのです」と言ったそうです。
ちなみにC部長は「確かに相談をした人から聞いたことかもしれないけど、人のせいにするような言い方をしていては、人から信用されなくなるぞ」と憤慨したそうです。
もちろん、憤慨しない人もいますが、人間は感情の動物なのです。
言葉から読み取る
あなたはA課長についてどう思いますか?
- ずるい。
- 卑怯。
- 無責任。
- 恩知らず。
- 信用できない。
などと思う人が多いのではないでしょうか?
しかし別の角度から見ると、次のような捉え方もできるかもしれません。
- 自分に自信がない。
- 相談の仕方が分からない。
- C部長は話しにくい。
- 自分の意見がない。
- 自分事として捉えていない。
人間は感情の動物ですから、誰でも瞬時に感じることがありますが、感情のままに行動してしまうと、それは必ずしも良い結果に結びつくとは限らないのです。
直感力を鍛え大切にしながらも、目の前の言葉から読み取る冷静な捉え方も大切になってくるのです。
こんな時に、上司としてはどのようなアドバイスをすれば良いのでしょうか?
アドバイスは1つじゃない
こんな出来事があり、A課長から「私はどうしたら良いのでしょうか?」と相談を受けました。
根本的には「考え方」を直さないといけないのですが、あなただったら、どのようなアドバイスをしますか?
ちなみに、この問いに対する正解のアドバイスは、1つではありません。
なぜならば、正解は相手や場面やタイミングによって変わってくるからです。
ちなみに、この時に伝えたアドバイスは「考え方」ではなく「技術」に関することでした。
根本的には「考え方」を直さなければ成長は期待できないのですが、その「考え方」の理解ができていない人に対しては「考え方」の話をしても改善は期待できないのです。
言い方を変えれば、心に響かないのです。
実際にこの時は、問いの「技術」についてアドバイスをしました。
つまり、人に問いかける時にはこういうことに気をつけた方が良いという内容です。
その時のA課長が最初に言った言葉は「やっぱり気遣いですね」というものでした。
つまり私は「技術」についてアドバイスをしたのに、A課長は「考え方」として捉えていたのです。
私の経験上、大体このパターンで終わる時には、その人は変わりません。
気遣いの意味を理解している人であれば、この答えでも成長は期待できますが、残念ながらA課長は気遣いを根本的に分かっていないからです。
このように目の前の人の理解力を見極めるのが、上司力の1つになります。
ちなみにこの時の具体的なアドバイスは、今までの「どうしたらいいですか?」という問い方をやめて「私はこのように思いますが、いかがでしょうか?」という問い方をするようにというものでした。
2つの問い方については、こちら「クローズドクエスチョンとオープンクエスチョン 〜会話が続かない人へ〜」をご覧ください。
「考え方」を改めると「行動」が変わることもありますが、逆に「行動」を変えるとその後に結果として「考え方」が変わることもあります。
この後者のパターンの時には、まず技術を教えます。
そして、その技術を実践することによって行動を変えて、行動が変わり習慣化されてきて考え方を変える準備が整った時に、最も大切なことを伝えるという順番が大切な時もあるのです。