営業という仕事の先には、一般的に成約というゴールがあります。
そのゴールは、営業サイドから見ると1つのゴールに見えるかもしれませんが、購入した側にしてみると、それはゴールではなくスタートであるかもしれません。
商品を購入したり、サービスを使う契約をした時に、その効果を期待していても、それを実感するのはその後になります。
営業において「相手の立場に立つ」ことが大切だとするならば、営業におけるゴールは、営業がゴールだと思っているその先にあるのです。
だから営業においては「ゴールを正しく見極める」ことが大切になってきますが、これはコミュニケーション能力においても重要なことです。
私にとっては、経営コンサルタントの仕事を通じて、多くの学びがありました。
その中で「ゴールを見極める」上で、印象深く残っている話をご紹介します。
経営コンサルタントといっても、各社で様々な特徴があります。
その特徴を、他社と差別化して営業をしていきます。
私が所属していた経営コンサルタント会社は、数字と人に焦点を当てて経営を改善させていくことが得意な会社でした。
創業者が税理士だったこともあり、数字をもとに、数字で結果を出すことを使命としていた会社です。
しかし、数字だけを分析し、問題点や課題を明確にしても、結果となる数字が変わらないという現実を前にし、人にも焦点を当てていくことが大切だということで、数字と人の両面をサポートする会社でした。
そんな中、私の背筋が伸びた話をご紹介します。
私が最初に担当した会社(もちろん最初なので社内には明確なアドバイザーがいましたが・・・)が、売り上げが約30億円の規模で、前期の経常利益が1億円の赤字という会社でした。
そんな会社の社長に対して、3期分の決算書分析報告を行った時に「社長は何とか人を育てたいという思いが強いんですね?」と問いかけると、次のような返事が返ってきました。
「それが1番じゃないよ。まずは赤字の解消が先決だ。企業としてこの結果は必ず変えないといけない。でも、もし自分がこの赤字を解消しようと思ったら、今まで通りワンマンでやっていくしかないし、それはできると思っている。でもこのピンチをそうやって乗り切ってしまったら、この先の後継者問題から組織づくりまで全てをダメにしてしまう。だから今までと違う形でこの赤字を解消するために、君にお願いしたんだ」
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この時の会話を、私は一生忘れることはありません。
未熟な自分に誠実に思いを伝えてくれたこの社長に、大感謝なのです。
営業において、お客様と目指すべきゴールを共有することが大切です。
ここがずれていたら、いくら一生懸命営業しても、お客様には喜ばれません。
営業は、契約を取ることが仕事ではなく、お客様に喜んでいただくことが仕事です。
しかし、喜んでいただくだけではビジネスが成り立ちません。
だからお客様に喜んでいただくことで、利益につながる仕組みづくりが大切になってくるのです。
仕事においては、常に責任が伴います。
だから感情の起伏があり、達成感があり、結果的にそれが「面白い」ということに繋がっていくのです。