営業成績を上げるために顧客管理をして、顧客をランク付けするということはよくあることかと思います。
しかし、その営業管理を失敗してしまうと結果に結びつきません。
そしてさらに大切なことは・・・。
営業管理の本質を、失敗から学ぶことです。
ここではそんな失敗の事例をご紹介します。
目次
- はじめに
- 営業管理の目的は?
- 営業の可能性を見える化
- 営業の課題を正しく把握
はじめに
今回ご紹介する事例の営業は、いわゆるルート営業です。
そして営業成績を上げるために、管理を強化しようとしていました。
この時に行っていた営業管理とは、現状の自社シェア率の情報を顧客ごとに集め、それをランク付けしていくというものでした。
自社シェア率の高いお客様は自社を第一に考えてくれているので、そのお客様を大切にしようという趣旨です。
もちろんお客様はどなたでも「ありがたい」存在です。
その中でも自社への貢献度の高いお客様を大切にしようという気持ちって大切ですよね。
でもでもでもでも・・・。
この営業管理で、営業成績はアップするでしょうか???
営業成績を上げるための顧客管理という観点ではいかがでしょうか???
おそらくここでランク付けされた顧客のランクは、単純に営業マンが接しやすいそして関係性ができているお客様の順番でしょう。
しかし、この顧客管理では営業成績を上げるための大切な要素が抜けています。
マネージャーがこのことを理解し、営業マンに指示できなければ営業成績は上がりません。
まさに、失敗から学ぶ営業管理の事例なのです。
営業管理の目的は?
営業成績を上げるために抜けている大切な要素とは、顧客の「購入キャパシティ」という情報です。
顧客の「購入キャパシティ」を把握した上で、自社のシェア率を重ね合わせることで、今後の販売の可能性が見えてきます。
「購入キャパシティ」の意味も含め、次の図をご覧ください。
つまり・・・。
マネージャーは、自社のシェア率よりも、どれだけ「販売の可能性」が残されているか(購入キャパシティ)を把握することが必要です。
営業の可能性を見える化
下記をぜひ一緒にお考えください!
A社は、月間8,000個を購入できるキャパシティがありますが、1,000個しか購入していません。
B社は、月間3,000個購入できるキャパシティがありまして、2,400個購入しています。
- A社の月間購入数 / 1,000個
- B社の月間購入数 / 2,400個
- A社の自社シェア率 / 12.5%
- B社の自社シェア率 / 80.0%
これだけを見て、ここの会社が当初行っていた自社シェア率を指標にランク付けをすると、圧倒的にB社が上になります。
しかし、営業成果を上げるという目的に対して、見込み度はどのくらいあるのでしょうか?
それが「購入キャパシティ」です。
ではその指標とはどのようなものでしょうか?
それは・・・、とっても簡単です。
- A社 / 販売の可能性 7,000個(8,000個-1,000個)
- B社 / 販売の可能性 600個(3,000個-2,400個)
「販売の可能性」は一目瞭然です。
この7,000個を自社の販売に切り替えられれば、営業成績はアップします。
B社は、自社を優先してくれる、とても大切にしたお客様ですが、「購入キャパシティ」という観点では魅力的ではありません。
営業の課題を正しく把握
しかし多くの場合、ここでもう1つの課題が出てきます。それは・・・。
顧客の購入キャパシティを知るためには、公にされている情報だけでは把握できないことがほとんどです。
そこで必要になってくることが、営業マンのヒアリングスキルです。
そこでよく聞かれる営業マンからの言葉としては・・・。
「お客様はなかなか話してくれません」「お客様はそういったことまではオープンにしてくれません」というものです。
これを聞いて、マネージャーはどうするでしょうか?
「それは仕方がない」と捉えるマネージャーがいたとしたら、それはマネージャー失格です。
そして課題を明確にできない場合もマネージャー失格です。
次の図をご覧ください。
今回の失敗から学ぶ営業管理では、課題の捉え方がポイントです。
- 間違った課題:「お客様がなかなか話してくれない」
- 正しい課題:「お客様が話してくれる関係を、営業マンが構築できていない」
そのためにマネージャーは、営業マンを育てる必要があります。
話しやすく、関係ができているお客様を大切にすることは重要ですが、それだけでは営業成績は向上しません。
関係ができていないお客様に対しての活動が、営業成績の向上に繋がっていきます。
なぜならば、同業他社の営業マンも良い関係を構築できていない場合が多いからです。
だから、話しにくかったり、とっつきにくいお客様を相手にする時にこそ、営業マンのスキルが発揮されるのです。
考えてみれば当たり前のことですが、自分が「この人ちょっと苦手だな〜、嫌だな〜」と感じている人であれば、周りの人も大体同じように思っているものです。
そうすると、そういう人に対して話しかける人も少ないので、人間関係ができている人も少ないわけです。
だから、営業チャンスが溢れているのです。
「失敗から学ぶ営業管理」の事例からは、大切な考え方も学ぶ機会をいただきました。
営業マンを育てる1つの例として交渉力のトレーニングがあります。
交渉力の向上と、組織の仕組み化について興味がある方は、「交渉の仕組み化」のコーナーもぜひご覧ください。
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