仕事で、たたき台を作成することはありますか?
ひょっとしたら仕事以外でも、たたき台を作成することがあるかもしれません。
たたき台を作成する行為はとても尊い仕事で、「ゼロからイチを生み出す」大切な役割を担っています。
誰でもできる簡単なたたき台はこちら「たたき台とは【問いかける技術の活用】〜簡単編〜」でご紹介しました。
その上で今回は・・・
「たたき台とは【問いかける技術の活用】〜ビジネス編〜」をご紹介します。
目次
- たたき台の簡単編
- 深いレベルへの入口
- たたき台の効果
たたき台の簡単編
たたき台にはレベルがありますが、「たたき台とは【問いかける技術の活用】 〜簡単編〜」を少しおさらいします。
たとえ浅いレベルのたたき台であっても、次のような効果があります。
- 「相手の思っていることが分かる」という効果。
- 「相手からアイディアを引き出せる」という効果。
- 「相手の批判を引き出せる」という効果。
例えば、こういうことです。
A4の真っ白い紙を渡して「どうしたらいいと思うか書いてみて」と言われてもなかなか書ける人はいません。
だいたいの人は「えっ!?私が!?」という反応です。
しかし「たたき台」を示して「私はこう思うけどどう思う?」と聞いたら色々な意見やアイディアを言ってくれるものです。
たたき台という「問いかける技術」によって、相手の心を開くことができるのです。
深いレベルへの入口
ここからは、浅いレベルからもう少し掘り下げた「ビジネス編」を紹介します。
ビジネスにおいてたたき台を活用すると、より深いレベルの話ができるという事例をご紹介します。
ある社長から「人が辞めちゃって困ってるんですよね〜」という相談を受けました。
その言葉だけをとると「人が辞めないようにするにはどうしたら良いでしょうか?」という相談です。
しかし、ここで最も良くない対応は「人が辞めないようにするために〇〇をしたら良いと思います」と答えることです。
問いの見極め方については、こちら「交渉術の基本 / 間違った問いを見極める②」をご覧ください。
この時点でもっている情報は「人が辞めて困っている」ということだけですので、提案をするには他にも情報が必要になります。
その新たな情報をとることが、たたき台の深いレベルへの入り口になります。
たたき台の効果
今回の事例では、ある社長から「人が辞めちゃって困ってるんですよね〜」という相談を受けたのが、たたき台を作成するきっかけでしたが、ビジネスにおけるたたき台の作成には、3つのポイントがありますのでご紹介します。
①情報を集める
先ほどご紹介したように、浅い情報のままたたき台を作成しても、そのレベルは低いものになってしまいます。
レベルが低いたたき台では、相手の心に響かないので、結果的に相手の心を開くこともできません。
②言葉の裏側に提案する
情報を集めると、こちら側で仮説ができるようになり、その仮説が相手に響くかどうかは、洞察力と提案力にかかっています。
「人が辞めちゃって困ってるんですよね〜」というコメントは「今」を見つめてのコメントですが、その背景には「未来」を見据えた欲求や不安があるのです。
だから「人が辞めて困っている」という言葉の裏側にある「未来」に提案することが大切で、そのようなたたき台が、相手の心に響くのです。
③具体的な行動を提案する
たたき台とは「問いかける技術」です。
相手の心の声を引き出し、前向きな行動に繋げていくことが価値のあるたたき台となります。
今回の事例では「人が辞めちゃって困ってるんですよね〜」という社長に対して、1つ質問をさせていただいました。
人が辞めると困ると思うのですが、それを防ぐために何か考えていることはありますか?
すると社長は「いや〜どうかな〜。正直、どうしたらいいかが見えてないんですよね〜」
そこで今回の事例では次のような「たたき台」を提案しました。
「人が辞めちゃって困ってるんですよね〜」という社長に対して、「良い社員が辞めずに、生き生きと働いてくれるような、良い会社を目指しませんか?」と提案しました。
そして、たたき台では、具体的な行動を提案することで、より相手の声を引き出すことができます。
つまり、こういうことです。
「会社の未来を明確にした方が良いと思いますよ」という提案よりも「1ヶ月後に全社員に会社のビジョンを社長から話す機会をつくったらいかがでしょうか?」と具体的な行動を提案することです。
「会社の未来を明確にした方が良い」とアドバイスされても、「それはそうだと思うけどなかなか出来ないんですよね〜」という曖昧な返事しか返ってきません。
しかし「1ヶ月後に全社員に会社のビジョンを社長から話す機会をつくったらいかがでしょうか?」と提案されると、どうでしょうか?
答えがYESであれば、たたき台を具体的な行動に繋げることができます。
答えがNOであれば、その理由を共有することで、新たな欲求や不安を知ることができます。