ここでは「べき論は無能の証明」ということを事例と共にお伝えします。
その前に・・・
先日ボクシングの世界バンタム級の統一戦がありましたが、中谷潤人選手対西田凌佑選手の史上初日本人無敗同士のチャンピオン対決はご覧になりましたか?
知らない方にとっては、マニアックな話なので、ここは飛ばして目次に進んで下さい(笑)
ボクシングファンの私としては、ド頭の1Rからハラハラドキドキワクワクゾクゾクの最高の試合でした。
試合は中谷選手が6ラウンド終了後にTKOで勝ちましたが、一部の人はその戦い方がクリーンではなかったと言っていたそうです。
私は全くそう思いませんし、プロの技術に魅せられ、そのプロ意識の高さに感銘を受けました。
何よりも敗れた西田選手が、何の言い訳もせずに「完敗でした」と話していたところに、この試合にかけた2人の思いが感じられました。
また、ルールの上に成り立つボクシングという競技の素晴らしさを改めて実感しました。
このようにルールがあるから、スポーツは面白いのです。
目次
- 認識のズレ
- 正しいことの価値
- 正しい以上の価値
認識のズレ
人が生きていく中でいくつかのルールがあり、その1つが法律です。
さらに仕事をしていく中でも、様々なルールがあります。
ルールや規則のように明確になっていれば分かりやすいのですが、価値観という基準が曖昧なものもあります。
この価値観が合っていると物事は進みやすくなりますし、一方で価値観が合っていなくても様々な気づきが得られるということがあります。
だから、仮に価値観が一致していてもいなくても、捉え方次第なのです。
ジョイントベンチャーという組織体があります。
(「ジョイントベンチャー(以下JV)」とは、複数の企業や組織が共同で出資し、特定の事業を行うために設立する事業組織体のことで「合弁事業」や「共同企業体」とも呼ばれます)
ここでは、JVに出資した2つの企業を、仮名でA社とB社とさせていただきます。
この2社が合同で目標未達の要因を分析し、それを踏まえた対策会議をしていました。
その中でB社が、できない理由や言い訳を多く話す時間がありました。
あなたはこのような場面に、遭遇したことはありませんか?
また、そんな時にはどうしたら良いでしょうか?
正しいことの価値
この会議の後に、A社の社長は社内会議で次のように熱く語っていました。
あれはダメだわ〜。
できない理由を言うのではなく、できる方法を考えていくべきだ。
基本的な考え方がなってないわ〜。
いかがでしょうか?
このコメントはまさに「その通り」であり、まさに「正しい」のです。
京セラやKDDIの創業者であり、JALの再建も成し遂げた稲盛和夫氏は経営哲学において、次のように言っています。
人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力
つまり、考え方がめちゃめちゃ大切だということです。
だから「できない理由を言うのではなく、できる方法を考えていくべき」でありますし、これがいわゆる「べき論」なのです。
しかし、このまま社内会議は終わって良いのでしょうか?
正しい以上の価値
「できない理由を言うのではなく、できる方法を考えていくべきだ」というコメントはズバリ正しいのですが、人によっては「それはそうだけど、全てがそうとは限らないでしょう。あるべき論を語るなら誰にでもできるけど、現実はそんな簡単じゃないでしょう」と言う人もいるでしょう。
もしこのように言われてしまう人がいるとしたら「べき論は無能の証明」であると理解することが大切です。
そしてなによりも、その人の考え方が正しいかどうかという議論をすることも大切ですが、企業としては結果を出していくことが重要です。
では、どうしたら良いのでしょうか?
それは「相手はできない理由を考え、言い訳を言う傾向がある人だ」ということを踏まえて接することです。
できない理由を考え、言い訳を言うだけで終わるのは良くないことです。
だから、そこで終わらないように、つまり「べき論」で終わらないようにすれば良いのです。
具体的には・・・
- それでは「どうしたらいいと思いますか?」と投げかける。
- 「こんなやり方はどうですか?」と投げかける。
- 「目標を達成させるためには何が必要ですか?」と投げかける。
- 「目標の達成に向けて大きな障害は何ですか?」と投げかける。
- 「つまり何があれば目標を達成できますか?」と投げかける。
このように、言い訳を次の発言の材料にすれば良いのです。
だから、相手のコメントに一喜一憂せずに、そのコメントを逆に利用するような問いかけやコミュニケーション能力が大切になってくるのです。
そう考えられれば、相手の考えていることが正しいかどうかなんてことはどっちでも良いのです。
もちろん考え方を直して成長して欲しいと思う相手には、どっちでも良いなんてことはないのですが・・・。