仕事をする中で、何かを説明したり、報告する場面があると思いますが、そんな時に1つの分かれ道がやってきます。
それは「数字で見る」か「数字で見ない」かという分かれ道です。
前者は相対的に共感を得られることが多く、後者はひょっとしたら伝えたいことが半分も伝え切れないという未来がやってきてしまうかもしれません。
なぜならば「数字で見る」という視点には、インパクトがあり、説得力があり、その結果相手が納得しやすいという力があるからです。
当然のことですが、数字をたくさん並べて、専門用語を満載にして話す伝え方はNGです!!
「伝える力」の大原則は「相手の目線に合わせる」ことですので、詳しくはこちら(伝える技術の基本「言葉遣い編」)をご覧ください。
さらに、あなたが伝え方について課題を感じている場合には、こちら(話が分かりやすい人になる「伝える力」をグングン伸ばす5つのステップ)をご覧ください。
目次
- 報告する目的は何?
- 数字力は気づき力
- 根拠は算数で確認
報告する目的は何?
ある会社で次のような在庫報告がありました。
在庫報告というと、どのような場面を想像しますか?
ちなみにその報告の目的を聞くと「現場の在庫状況を共有すること」とのことでした。
そこで、主な報告内容は次の3つです。
- 在庫品数
- 在庫金額
- 在庫単価
この3つの指標はとても重要ですので、正しい数字を報告することはもちろん大切ですが、ここで終わってしまったら残念ながら50点なのです。
なぜならば大切なことは「現状の在庫状況を共有すること」だけでなく「それをどのように捉え、何が課題で、何をすれば良いかを共有すること」だからです。
そのために大切なことは、客観的な視点です。
そのために、相場や過去と比較することはとても有効になります。
今回の事例では、前の週との比較で1つの変化が見えました。
数字力は気づき力
この時の変化は、次のようなものでした。
(ここでは、分かりやすく説明するために、実際の数字を一部変更しています)
ここで大切なことは、気づき力です。
- 「あれっ!?」
- 「これは何!?」
- 「どういうこと!?」
こんな感情を抱くことが気づき力であり、数字力の根源にある大切なスキルなのです。
この先週対比を見て、1つの質問をしました。
それは「前の週と比べてなんでこんなに在庫単価が下がっているの?」というものでした。
するとその後、次のような報告がありました。
①大口のお客様に単価の高い商品を販売したからです
②単価の低い商品を多く仕入れたからです
ちなみに、その時の周りの人の反応は薄いものでした。
根拠は算数で確認
なぜ周りの人の反応は、薄かったのでしょうか?
それは共感を得られていないからであり、つまり納得感がないのです。
では納得してもらうためには、何が必要なのでしょうか?
その時に活躍してくれるのが「数字」なのです。
(掘り下げステップ1)
先程の①と②を、数字で掘り下げてみると次のような感じです。
①大口のお客様への販売
- 販売品数:50品
- 販売金額:2,800千円
- 販売単価:56,000円
②低価格帯の仕入
- 仕入品数:200品
- 仕入金額:8,000千円
- 仕入単価:40,000円
ふむふむ、確かに言葉だけではなく、数字がついてくると具体的な印象になってきます。
しかし、この情報だけで「前の週と比べてなんでこんなに在庫単価が落ちているの?」という答えになっているかというと、少し物足りないですね。
それでは次に、算数を使ってもう少し掘り下げてみましょう。
(掘り下げステップ2)
先週の在庫から、大口のお客様への販売実績(①)を加味すると・・・
在庫の状況は次のように変化しました。
- 在庫品数:480台→430台
- 在庫金額:24,000,000円→21,200,000円
- 在庫単価:50,000円→49,302円
ふむふむ、確かに在庫単価は下がっているけど、まだ46,000円とは開きがあるね。
(掘り下げステップ3)
ではさらに、低価格帯の仕入れ実績(②)を加味すると・・・
在庫の状況は、次のように変化しました。
- 在庫品数:430台→630台
- 在庫金額:21,200,000円→29,200,000円
- 在庫単価:49,302円→46,349円
ここまでくるとどうでしょうか?
- 「なるほどね」
- 「これだと確かにこの2つが原因だね」
- 「これで納得したわ」
このような反応をもらえるのではないでしょうか。
実際に、この事例でも同様の反応でした。
こうやって数字を使って説明をしたり報告をするということは、説得力が増すだけではなく、何よりも楽しいのです!!
しかし振り返ってみると、この数字力の元となっているのは、小学生が習う足し算、引き算、掛け算、割り算なのです。
つまり社会人の数字力といっても、小学生のスキルを正しく発揮することが出来れば、十分に通用するのです。
ではなぜ数字に強い人と弱い人がいるのかというと、それは数字の細かい知識ではなく、考え方や捉え方の問題がほとんどなのです。
数字の使い方にもっと興味のある方は、こちら「数字に強い人と数字に弱い人の違い」もぜひご覧ください。
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