先日、ある社長とご縁をいただき、貴重なお話を聞かせていただきました。その中でも印象的だったのが・・・。
「シンプルな理念」!!
この方は、年商300億円企業の4代目社長です。
4代目といってもいわゆる創業者一族ではなく、中途入社の一社員から社長になった方です。
どういう会社かというと・・・、
西日本を中心に、スーパーマーケットを30店舗以上経営している会社です。
目次
- 会社の特徴
- 業界の特徴
- 卑怯の定義とは・・・
- さいごに
会社の特徴
では、どんな特徴のある会社なのかというと・・・
食品添加物を極力使わない本物思考の食品を届ける「安心安全な食」にこだわっている会社です。
例えば・・・、
大手企業から知名度のある商品供給を良い条件で提案されても、全くぶれることなく判断します。
つまり、その商品が「安心安全な食」でなければ、ぶれることなく断るということです。
例えば・・・、
当社は「カビの生えるパン」を販売していますと、冗談混じりに言います。
これは「関係性が薄い人に情報が不足して伝わると誤解を招くので、あくまで信頼関係のある人に対しての言い方ですよ」とも話していましたが・・・。
つまり、食品添加物を使用しないパンというのは、2〜3日もするとカビが生えて当たり前とのことです。
ここでも「当社は食品添加物を使っていない」という正々堂々とした強いメッセージを感じます。
業界の特徴
ではこのような会社は、消費者であるお客様の立場からすると、どのように映るのでしょうか?
基本的にお客様は、次の2つの願望を持っています。
- 健康的で美味しい食を選びたい。
- 少しでも安い価格で購入したい。
では、この2つのニーズを持つお客様を相手に、食品業界はどのようにしてきたのでしょうか?
食品業界に疎い私に対して、この社長は次のように教えてくれました。
お客様の興味を惹くためにずるいことをしている、まだまだレベルの低い業界です・・・。
例えば・・・、
「〇〇産の商品」を扱っている時に、産地をアピールしたいために「〇〇産」という大きなパッケージやポップを作ります。
しかし実際には「〇〇産」の原材料は、ほとんど入っていないということが多々あるようです。
しかし、これが法に触れることがあってはいけません。だから法に触れないように、ごまかすことをしてきた業界だと、社長は話していました。
つまり、お客様に正々堂々と向き合うことなく、自社の利益を上げるために何をすべきかを優先してきたとのことです。
・・・・・・・・・・・
経営者は、会社を経営していく上で、次の2つのことに留意します。
- 「人」として、正しいことをしなければいけない。
- 「企業」として、存続するために利益を上げ、生き残らなければならない。
しかし、この2つの両立は大変なことであり、世の中の企業はこの狭間の中でどのようにバランスを取るかを考え、日々の業務に励んでいます。
・・・・・・・・・・・
二宮尊徳さんは、次のような言葉を残しています。
「道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である」
本田宗一郎さんも、同じような言葉を残しています。
「理念なき行動は凶器であり、 行動なき理念は無価値である」
卑怯の定義とは・・・
ではこの会社では、どのような理念を掲げているのでしょうか?
それは、極めてシンプルなことでした。
「卑怯なことはするな」
では「卑怯なこと」とは、どのようなことなのでしょうか?
この社長は、次の3つのことを教えてくれました。
- 嘘をつかない。
- 「自分さえよければ良い」という考え方をしない。
- 言わなければ済む場面で、黙っていることはしない。
特に印象に残ったのが3番目です。
「卑怯」というのは、何かをするから「卑怯」だという考え方を持っていました。
しかし何かをしないから「卑怯」という考え方があることを教えられました。
人は、誰かに何かを言って「その人からこう思われたらどうしよう?」と心配すると、なかなか言えないものです。
だって、誰だって人から嫌われることは避けたいことですよね。
では、どんな相手だったら言えるのでしょうか?
例えば、親子の関係などは「言える」でしょう。
どう思われるかと心配することがない人間関係が構築されていて、相手の立場に立って考え・・・、
- 「これは知らないと大変だ」
- 「今伝えないと恥をかいてしまう」
- 「今これを言わないと危ない」
と思ったら言えるものです。
だから「言わなければ済む場面で、黙っていること」は、「自分さえよければ良い」という考え方であり、「卑怯」だということになります。
さいごに
では、何でも言えば良いのでしょうか?
残念ながら、人間社会はそんなに甘くはありません(笑)
そこで、どのように伝えるかということが大切になってきます。これはマインドの問題であり、スキルの問題でもあります。
だからこそ「コミュニケーション能力」というスキル(技術)が重要になってきます。
詳しくはこちら「あなたの・・・コミュニケーション能力の課題が分かる本」をご覧ください。
「卑怯なことはするな」というシンプルな理念の背景に、お互いの立場に立って気遣いをする中で、お互いに高め合う組織を構築していこうという強いメッセージを感じました。
そんな素敵な気づきと良いご縁をいただいた、大阪出張でした。