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交渉術の仕組み化③ / ロープレの導入

交渉術の仕組み化② / 問う技術の重要性」を読んでいただいた方には、交渉において問いには問いで返すと言う技術が、どれだけ重要かはお分かりいただけたと思います。

ここでは交渉術の仕組み化におけるロープレの事例をご紹介します。

交渉においては「常に問う側が主導権を持っている」わけですが、どうやって交渉の現場で活用していけばいいでしょうか?

そのためには、頭で理解しているだけでは不十分であり、トレーニングが必要でありそれがロープレなのです。まず「やってみる」ということです。

目次         

  • ロープレで得られること
  • ロープレの準備
  • ロープレの実践

ロープレで得られること

ロープレとは?

ロールプレイング(Role Playing)の略で、役割演技法と訳されます。

役割演技とは、現実に起こる場面を想定して、複数の人がそれぞれ役を演じ、疑似体験を通じて、ある事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする学習方法の一つです。

ロープレをせずに頭で理解しようとすると、それなりに上達します。

しかし頭で理解するだけでは得られないものがあります。

それは対応力です。

頭だけの理解では、自分のイメージ通りにストーリーが出来上がっていきます。つまり交渉が順調に進むということです。

しかし交渉の現場ではそうはいきません。

残念ながら、予期せぬことがたくさん起きます(笑)

だから困るし、戸惑うし、上手くいきません(笑) 

そこでロープレが必要なのです。

予期せぬことに対応するためには、事前に予期せぬことを体験し、予期できることに変えることが必要なのです。

そして「やってみる」というロープレを通して得られるものは、「分かっていなかった」という実感です。これがとても大切です。

これを早く体感できると、成長スピードもぐんぐんアップします。そして、交渉中に対応できる引き出しが、たくさん準備できることに繋がっていきます。

頭で「分かった」という状態だけでは、実践では何も使い物にならないということです。

だからトレーニングが必要であり、それがロープレなのです。

ロープレの準備    

それでは、どんなロープレが良いのでしょうか?

いくつかポイントがあります。

まず大切なことは、目的を明確にすることです。

何のためにロープレをするのですかという問いに、答えられなくてはいけません。

ロープレをする中で、会話が途切れずに弾むように心掛けると思います。しかしそれは目的ではなく、手段であり技術です。

交渉の場において、目的はなんでしょうか?

例えば・・・。

  • 目的は、相手のニーズを知ること。だからこんな情報が欲しい。
  • 目的は、契約書にサインをしてもらうこと。だからそのネックを解消したい。
  • 目的は、年間の受注契約をとること。だから競合他社情報を引き出したい。

このように、ロープレにおいても、目的を明確にすることが大切です。

次に大切なことは、相手役の設定を明確にすることです。それも詳細に設定をします。

例えば・・・。

  • 企業名
  • 役職
  • 名前
  • 年齢
  • 趣味
  • お困りごとなど

交渉に関わる基本的な情報をなるべく細かく設定します。

この相手役を考えるという作業においても、「お客様目線」を養うことができます。

そして相手役を演じる人は、その設定情報を見ながら、決して交渉担当者には設定情報を見せません。

そして交渉担当者は、その必要な情報を一つ一つ「問い」を投げかけながら、答えを見つけていくことがロープレの基本になります。

当然、ロープレは真剣に行いますが、ゲーム感覚を盛り込む意味でも、制限時間の設定や、この情報を聞き出せたら何点獲得など、オリジナルルールを設けるとなお良いかと思います。

ロープレの実践    

相手役が1つ心掛けることは、「問い」をもらっていないのに、やすやすと必要情報は答えないということです。

良い人を演じないように心がけてください(笑)

それではやってみましょう!!

例えば、あなたが会計士さんでこの会社に営業をかけているとします。

そして、相手役の設定がこんな感じだとします。

  • 企業名:斉藤商事株式会社
  • 役職:代表取締役社長
  • 名前:斎藤誠
  • 年齢:61歳
  • 趣味:ゴルフ
  • お困りごと:後継者である息子が数字に弱くまだまだバトンタッチ(事業承継)できないこと。現状の会計士さんにも不満あり。

さーてどうやって15分後に相手から「じゃ会計士の変更を考えてみようと思うので、一度見積もりをいただけますか?」という言葉を引き出しますか??

目的に向かってどんどんと「問い」を投げていってください。

これをやると必ず実感することがあります。

それは「問い」って難しいということです。

そうなんです。「問い」って難しいんです。

だからロープレが必要で、それを組織で行うことで「交渉術の仕組み化」に繋がっていきます。

そしてロープレを何度も行なっていくと、「難しい」が少しずつ「易しい」に変化していきます。

そして気づけば「自信」が芽生えていくのです。

交渉に関して興味のある方は、こちら「コミュニケーション能力の課題が分かる本3 〜相手に喜ばれる交渉術の5ステップ〜」もぜひご覧ください。