話すことが上手な人っていますよね?
私も人生の中で何人も会っています。
例えばその人の話を聞いていると、こっちまで元気になったり勇気づけられたり。
そんな話し手に憧れて、ちょっとチャレンジしてみたら、ちょっと失望してみたりして(笑)
しかし、いくら話が上手でも、「言葉選び」と「言い方」が悪いとせっかくの「トーク力」も台無しになってしまいます。
目次
- 高単価の契約
- 熱いトーク
- 社員と対峙
- 取り返しのつかない一言
- やんちゃな人ほど誠実
高単価の契約
事例と共にご紹介します。
コンサルタント会社に勤務する期待の若手ホープであるKくんは、抜群のトーク力を持っていました。
そのトーク力は、人の心に火をつけ、モチベートするパワーに溢れていました。
そしてそのトーク力は、そのコンサルタント会社の新規営業に活かされていました。
つまり経営者に対して、理想の会社づくりにおけるコンサルタントの必要性を伝え、1,000万円を超える契約をとってくるのです。これは凄いことなのです。
形のあるものを販売する営業とは違い、目に見えないサービスを提案するコンサルタントの営業では、トーク力や相手に未来をイメージさせるようなツールが大切になってきます。
熱いトーク
1,000万円を超える投資を考える時に、経営者はどのような気持ちでしょうか?
その投資は正解なのかどうか、最悪の場合はどのようなことが起こる可能性があるのかなど迷いも生じます。
そのような時には、その決断を後押しするような力が必要になる時もあります。
コンサルタントが契約を取るクロージングという行為は、決して「相手を言いくるめるような行為」ではなく、「相手が決断できるようにするための後押し」なのです。
そしてそこには、相手の心に火をつけるためのたくさんの言葉が用いられます。
例えば・・・。
- 社長の決断が、会社の未来を決めるのです。
- 新しいことは誰でも決断しにくい。だからまず社長がするのです。
- 会社は、社長の器以上には大きくはなりません。
- 社長のチャレンジする姿を、社員は見たいのです。
- 社長の変わる姿を、社員が待っているのです。
- 失敗しないためには挑戦をしないことですが、最も後悔することは「やらなかった」という決断です。
こんな熱いトークを織り交ぜながら、コンサルタントは決断の後押しをしていきます。
社員と対峙
クロージングでは、理想の会社づくりに向けて経営者と約束をするのですが、改革は社員を巻き込んでいくものです。
だから、この契約に至った経緯と、今後の方針を社員と共有していくことが大切になります。
また社員にその説明をする時には、説明だけでなく社員と共に同じゴールを目指していくという、信頼関係づくりも大切になってきます。
そんな時にも、トーク力が活かされるのです。
しかしこの場面で、Kくんは取り返しのつかない一言を言ってしまったのです。
取り返しのつかない一言
その一言とは・・・。
「人間は2通りしかいない。自ら目標を持って周りを振り回すか、目標を持っている人に自分が振り回されるかのどちらかです」
これは、目標を持つことの大切さを伝える言葉ですが、これが取り返しのつかない一言になってしまったのです。
この言葉を聞いたFさんという社員が次のような言葉を発しました。
- ふざけるな
- お前に何がわかる
- お前に会社は託せない
- いいから出ていってくれ
- 二度と会社に来ないでくれ
なぜだか分かりますか?
この会社は、社員30名ほどの建設土木業を営む中小企業です。
そして仕事の大半は公共工事であり、決められた納期までに仕事をしなければなりません。
つまり自分で目標を持つことは難しく、迫りくる納期に振り回される仕事なのです。
つまりFさんにとって、先程の一言は「自分たちの存在を否定された」ように感じたのです。
「そんなつもりでは言ってないです」といっても「時すでに遅し」でした。
やんちゃな人ほど誠実
社長がOKを出した契約であっても、ときには振り出しに戻ることがあります。
それはどんな時でしょうか?
このFさんは現場社員をまとめる現場監督で、周囲からも信頼と人望のある重要人物だったのです。
そして、仕事は常に一生懸命で、曲がったことは許せない男気溢れる人だったのです。
たとえ言葉選びや言い方が悪いということが原因であっても、一度傷つけられたプライドは反応し続けます。
Fさんはすぐに社長に対して、「あんな奴の言うことを聞くくらいなら、俺は会社を辞める」と言い放ったのです。
万が一Fさんが会社を辞め、周りの人がそれに続いて辞められてしまっては、中小企業にとって致命傷になってしまいます。
一方でこんな一途でやんちゃな人こそ、向かうゴールを共有できると驚くほどパワーを発揮するものです。
相手が社長なのか社員なのか、それによって使う言葉選びも変わり、言い方も変えなければいけないのです。
どんなにトーク力があっても、最終的には常に相手と向き合い、誠実な姿勢が大切であり、それが言葉選びに反映され、それが思いやりなのです。
言葉遣いについては、こちら「伝える技術の基本 〜言葉遣い編〜」をご覧ください。
「伝える力」については、ぜひこちらもご覧ください。
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