以前こちらの「交渉術の基本 / 間違った問いを見極める①」でもお伝えしたように「正しい問いに間違った答えをするよりも、間違った問いに正しく答える方」が罪なのです。
そうはいっても、なかなか言葉だけでは伝わりにくい部分もあるので、今回は事例と共にご紹介します。
交渉術の基本は、コミュニケーション能力の延長ですから、誰にでもスキルアップできる分野なのです。
目次
- はじめに
- 問いは正しいのか
- ある人のアドバイス
- 問いには問いで返す
- さいごに
はじめに
今回の事例は「説明会集客における電話営業」の事例です。
具体的には、2ヶ月後に開催する説明会のDM (ダイレクトメール)を事前に郵送し、そのフォローを電話でするというものです。
だからこの電話営業の目標は、当然「説明会に参加します」という答えをもらうことですが、仮にそれが難しくても「DMが届いていました」というDMの到着確認をするという最低限の目標もあります。
そんな中、Mさんが電話をしていると、次のようなやりとりが発生しました。
Mさん:2ヶ月後に開催する説明会のDMを社長様宛に送らせていただいたのですが、届いておりますでしょうか?
お客様:そうなんですね。そのDMはまだ見ていないのですが、どんな説明会なのでしょうか?
問いは正しいのか
「どんな説明会なのでしょうか?」という問いに対して、次のようにやりとりが進みました。
お客様:そうなんですね。そのDMはまだ見ていないのですが、どんな説明会なのでしょうか?
Mさん:それはですね、□□システムに関する説明会なのです。
お客様:そうなんですね。ではその□□システムというのは、どのようなシステムなのでしょうか?
Mさん:それはですね、◯◯というような機能を持ったシステムなのです。
お客様:そうなんですね。それだったらうちは必要ないかもしれないですね。
Mさん:えっ!?でもこのご案内は経営者様向けの説明会なので、いちど社長様に見ていただきたいのですが。
お客様:はい、では一応伝えておきます。
交渉術を踏まえて考える時には、この「どんな説明会なのでしょうか?」という問いが正しいかということを考える必要があります。
「いきなりそんなことを言われてもよく分からない」という方もいらっしゃると思いますが、よく分からないままで良いので、次をお読みください。
ある人のアドバイス
このMさんのやりとりを見て、ある人が次のようにアドバイスをしました。
□□システムの説明よりも、△△サービスの説明をしたほうがいいんじゃないでしょうか?
「システム」という言葉はちょっと専門的でハードルが高いと感じる人が多いので、「サービス」という言葉を使って説明した方が良いと思います。
このアドバイスは、いかがでしょうか?
説明の仕方を教えるアドバイスとしては良いのかもしれませんが、今回の電話営業の目的は説明会集客です。
だから説明を求められた時に、どのように答えるかは重要ではないのです。
「え!?どういうこと!?」
つまり「どんな説明会なのでしょうか?」という問いに対して、正しく答えようとしてはいけないのです。
「いやいや、ますます分からない(笑)」という方もいらっしゃると思いますが、よく分からないままで良いので、次をお読みください。
問いには問いで返す
まず「どんな説明会なのでしょうか?」という問いは「正しい問い」なのでしょうか?
交渉術の基本という観点では「正しい問い」ではありません!
なぜならば今回の説明会は経営者向けなので、経営者ではない電話に出られた方に説明しても意味がないのです。
では今回の「どんな説明会なのでしょうか?」という問いに対して、どうすれば良いのでしょうか?
交渉術の基本は「問いには問いで返す」です。
つまり説明をしないということです。
「え!?どういうこと!?」
例えば、こんな感じです。
お客様:どんな説明会なのでしょうか?
あなた:これは経営者様向けの説明会なのですが、社長様はいらっしゃいますでしょうか?
お客様:すみません。今不在なのですが・・・。
あなた:そうでしたか。どういう説明会かということも分かる資料を同封していますので、社長様にお渡しいただきたいのですが、そもそも資料は届いていらっしゃいますでしょうか?
お客様:ちょっとお待ちください今確認します。お待たせしました。確かに資料が届いていましたので、社長に渡しておきます。
あなた:ありがとうございます。
さいごに
交渉術の基本は「問いには問いで返す」です。
それと共に大切なことが「間違った問いに正しく答えようとしないこと」です。
言葉だけでは伝わりにくいので、事例と共にご紹介しましたが、お分かりになりましたでしょうか?
「交渉術」と聞くと特別な人だけのことに聞こえるかもしれませんが、交渉術は誰にでも向上することのできるスキルです。
コミュニケーション能力を高めるには、交渉術を知ることも大切なのです。
交渉に関して興味のある方は、こちら「コミュニケーション能力の課題が分かる本3 〜相手に喜ばれる交渉術の5ステップ〜」もぜひご覧ください。
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