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交渉力, 営業の仕組み化

相手に喜ばれる交渉術のコツ 〜言葉の裏を知る〜

相手に喜ばれる交渉術ということは、相手の欲望や要望を叶えてあげることがコツという言い方ができるかもしれません。

例えば「◯◯したい」とあなたが思ったとします、そしてその後に「◯◯が叶った」という未来があったら、それは嬉しいですよね。

人間には「欲望」がありますが、その「欲望」が満たされると、その先には「満足」という未来が待っているのです。

そして交渉においては、最終的に相手(お客様)がYESという意思表示をしてくれると、交渉成立となります。

具体的には「この内容で問題ないようであれば、契約ということでよろしいでしょうか?」と問いを相手に投げて、相手が「はい、契約でお願いします」と返事をしてくれると、契約成立となるのです。

目次         

  • 言葉から読み解く
  • 「裏を知る」努力
  • 真意は言葉の裏にある

言葉から読み解く   

交渉において、相手の要望に応えていくことは、とても大切です。

しかし「◯◯したい」という言葉に従うことが、必ずしもその人の喜びに繋がるとは限らないのです。

このへんが人間社会の難しいところですね(笑)

しかし交渉という観点では、このへんが腕の見せ所になります!!

先日、次のようなことがありました。

・・・・・・・・・・・

Mさんが、交渉相手であるKさんから次のような連絡をもらいました。

「先日はありがとうございました。社長と共にお話を聞かせていただいた結果、前向きに進めていこうということになりました。そこで社内で稟議を上げたいので、先日見せていただいた資料を送っていただけますか?」

Mさんは喜んで「はい、かしこまりました」と言って、資料を送る手配をしていました。

そりゃ〜嬉しいですよね!

だって、先方社長も同席した上での説明だったので、前向きに進めたいということは、交渉成立のようなものですよね!?

しかし結論から言うと、このまま資料を送っても、交渉成立とはならなかったのです。

言い方を変えれば、このまま資料を送っても、お客様の喜びには繋がらなかったのです。

それは、なぜでしょうか?

「裏を知る」努力   

交渉においては「相手の立場に立つ」ということが重要になります。

詳しくは、こちら「相手の立場に立って考える人と考えられない人」をご覧ください。

今回は「資料を送ってほしい」と声をかけてくれたKさんの立場に立って考えると「はい、かしこまりました」ではなく、その裏を知る必要があったのです。

その裏とは、次のようなことです。

①今回の話を前向きに進めたい

具体的には、何に興味を示してくれたのだろうか?

②稟議を上げたい

具体的には、誰に対して稟議を上げて、決裁者は誰なのか?

③資料を送っていただきたい

具体的には、その資料は稟議書に添えるのか、それとも口頭で説明する機会があるのか?

このように、言葉の裏に何かあるかもしれないという気づき力と、その裏を知ろうとする努力が交渉の結果を左右するのです。

真意は言葉の裏にある 

今回の事例では、言葉の裏に次のようなことがありました。

①具体的には、何に興味を示してくれたのだろうか?

全体的に興味を持ったとのことですが、特に新しいチャネルで販売できることが魅力的とのことでした。

つまり、新規開拓の可能性ですね!!

②具体的には、誰に対して稟議を上げて、決裁者は誰なのか?

これは形式的なものではなく、決裁者であるオーナー(会長)に対しての、大切な稟議とのことでした。

ちなみに現社長はオーナーの息子ではありますが、現時点ではほとんど決裁権がないとのことでした。

創業者から二代目のバトンタッチというのは、とても難しいものです。

③具体的には、その資料は稟議書に添えるのか? それとも口頭で説明する機会があるのか?

資料を口頭で説明する場はなく、稟議書に添えるだけとのことでした。

ということは、この資料はめちゃめちゃ大事だということですね!!

ここまで裏を知ることができれば、1つ断言できることがあります。

それは「資料を送ってほしい」という声を聞いて、以前社長とKさんに説明した資料を送っても、交渉成立とはならないということです。

もし交渉の最後に、相手からYESという声をいただけるとするならば、次のようなケースです。

A:決裁者であるオーナーにアポを取り、直接クロージングをします

(これがセオリーです)

B:決裁者であるオーナーが、見ただけでOKを出すような資料を作成し送付します

(これはアポが取れない場合の代替え案です)

ここで伝えたいことは、AとBのどちらが良いかということではなく「資料を送ってほしい」という相手の要望に応えるだけでは、成約にならないだけでなく、相手の喜びにも繋がらなかったということです。

交渉における大切なコツは、常に相手の立場に立つこと。

さらに、その言葉の裏に真意が存在するという理解が大切です。

これが、相手に喜ばれる交渉術のコツです。

詳しくは、こちら「ビジネスシーンで使える相手に喜ばれる交渉術」もぜひご覧ください。

ちなみにこの事例の結末は、めでたく成約でした!!